無常の喜び:オイロディスクヴィンテージシリーズ
昨年コロムビアから発売となった「オイロディスクヴィンテージシリーズ」はすでにVol5となって、現在も続いている。
内容は1950年代から70年代付近の「オイロディスクレーベル」原盤のCD復刻である。
40年~50年ほど前には、LPで発売されたものがほとんどであるのだが、当時はクラシック音楽の巨匠時代。
トスカニーニ、フルトベングラー、ワルターが、そしてカラヤンやベームが華々しくクラシック音楽界をけん引した時代であった。
そんな中、初録音にもかかわらず、そのような巨匠たちの陰に隠れ、廉価版として密かに発売されたのが「オイロディスク」の演奏家たちであった。
小生がここに収録されている演奏家の名前や演奏を聴いたのは、1962年・・・小生が中学2年生の時、家にやってきた「ステレオ」と、次いで父親が購入したコロムビアからのクラシック音楽大全集という50枚のLPによるもの。
その中には今まで…音楽雑誌などの情報源からは程遠い、見知らぬ名前の演奏家たちがたくさんいたのだった。
その実力とは遠い評価などは全く存在すらなかったような、それらの演奏家の録音で、小生はクラシック音楽に目覚め、育ってきたといえる。
しかしよく聞くうちに、巨匠とは言えないような彼ら演奏家の中で、心を打つものが何種類か存在したのだった。
小生が好むフランツ・コンヴィチュニー、若き日のイストバン・ケルテス、フリッツ・ブンダーリッヒの「水車小屋旧録音」、素晴らしかったウイーンコンチェルトハウス弦楽四重奏団、そしてパウムガルトナーのモーツァルト、並びにブルショルリのモーツァルト20.23のP協奏曲。
そしてレオポルドルートビッヒによるチャイコフスキーの5.6番交響曲。
中にはオイゲンヨッフムの兄弟のゲオルグルートビッヒヨッフムのロシアもの、そしてこれも珍しい、ピエールデルヴォーとハンブルグ響の近代仏ものがあったのだ。
これらは今であれば、クラシックマニア垂涎の録音なのだが、その存在さえ知られてないものも多い。
こともあろうに・・・といったのは、決して商業ベースには乗らないであろう、これらの昔の録音の数々をシリーズ化して、しかもリマスターで、中には世界発CD化というものまである。
手元に残るLPもあるにはあるが、すでに紛失してしまったものもある。
そこで今回一連のシリーズの中から、以前に入手して、復刻状態が非常によいのを確認できたので、さらに今回追加発注をしたのが以下のもの。
レオポルド・ルートビッヒとハンブルグ響による交響曲で、小生は彼のチャイコフスキーで5番と6番を知ることとなった。
またブラームスの1番の初聴き体験もルートビッヒとハンブルグ響の演奏であった。
今回はその懐かしいものと、これは初出ではないかと思うが、同じく彼のベートーヴェンの第9交響曲。
それに、パウムガルトナーとブルッショルリの前回買いそびれたものを注文した。
ケルテスのベートーヴェンの序曲、昔聞いた時には何と凄い識者がいるものだと、感動すら覚えたもので、バンベルク交響楽団とのその演奏も、シリーズには2番、4番の交響曲と同様収録されている。
オイロディスクのエンジニアの、「マスターテープ」についてのコメントがあって、非常に興味をそそられるのだが、今回は外したので、次回またにする。
以前コロムビアに問い合わせたところ、コンヴィチュニーがバンベルク響と録音した「新世界より」も来年には発売予定とのこと。
オイロディスクの隠れ名演奏の数々が、このような形で復刻されることは、小生にとって今一番の楽しみである。
by noanoa1970 | 2008-10-24 10:22 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)
確か当時の東側の演奏家の録音を沢山西側で紹介していたレーベルでしたね。
録音バランスが東の原盤とかなり異なる仕上がりでしたが、レコードの盤質はずっと上でした。
他にMozart魔笛のスウィートナー盤とか出てましたね。
まだ、レコード持っているかもしれません。
パウムガルトナーのモーツァルトは、あのような演奏スタイルを好む人には応えられないものです。古い演奏スタイルですが、今では逆に新鮮に映るかもしれません。