架空三ツ星レストランのメニュー ・終楽章
さて三ツ星レストラン最後のメニューは、「運命交響曲」の3・4楽章が続いて演奏される慣習となっているから、それに倣うこととする。
ソナタ形式とは、大雑把に言えば、離反する第1主題と第2主題が、紆余曲折・・・変身しながら最後にはには融合していくものだ。
そんなことから、弁証法と似通ったところがあることを指摘する人もいる。
ベートーヴェンの「運命交響曲」は、俗に「苦悩から歓喜」との表現であるという人も「闇から光明」であるという人もいる。
3楽章から4楽章フィナーレに続くところの「ブリッジパッセージ」は、そのあたりの意識の経過を表すといっても良いだろう。
聞くたびごとに新たなる感動を呼び込み、そして新たなる発見をさせてくれる音楽は総ざらにはない。
好き嫌いという概念などを、はるかに超越したところに、この交響曲は存在している。
古今東西老若男女・・だれかれとなく、今風の若者でさえ冒頭の音型
「運命の動機」を口ずさむことは出来よう。
しかし残念なことに、のだめブームの波に乗ったものが、コンピレーションアルバムを買い求めてから、それぞれのハイライトされた曲を全曲聞くに及んだのだろう。
料理でも音楽でも、コース全体で料理であり音楽であるから、やはりハイライトばかりではその真髄に触れることは難しい。
まして料理においては、素材や調理法のみならず盛り付ける「器」、同時に提供される引き立て役でもあり、時には自らを主張する「飲み物類」当に「酒」、そしてテーブル演出、空間演出など、その全てが重要ポイントであろう。
ギネスの「鑑定人」たちが、どのくらい優れた美意識と美的感覚を持っているかは不明だが、「ギネスの星」は、今までは相対的にそれなりのステータスがあった。
創設のコンセプトが忘れ去られてないといいと思うのは小生だけではないはずだ。
最後の料理は、勿論「素材の融合」である。
今まではそれぞれの素材の持ち味を「主題と変奏」のようにアレンジしてきたつもりだが、やはりソナタ形式風料理の最後は、「融合・統合」であることはロンを待たないであろう。
そんなわけで考えたのが
「鴨と鰻のギャランティン・シャスールソース」
勿論これも小生の架空のレシピだ。
鴨をやや荒めのミンチにし、中に鴨の肝と白トリフを細かく切って入れ塩コショウで味を調える。
筒状にした鴨ミンチに、捌いた鰻を巻きつけ、八幡巻きのようにする。
その表面を軽く焼き色を付けたものを、専用の魚蒸し器で蒸してから、円筒にカットし、シャッスールソースで食べる。
ソースヴァンルージュあるいはグラスビアンソースで食しても美味しい。
野性味がお好きな方には、ミンチに鴨の血を加えるがこの場合はソースヴァンルージュが最も合う。
付け合せは、やはりきのこ類が良いと思う。
「衣笠茸」か「クロイグチ」があれば申し分ない。
トロッケンべーレンアウスレーゼ・・・貴腐ワインを食後にどうぞ。
by noanoa1970 | 2007-12-23 10:36 | 「食」についてのエッセイ | Comments(0)