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とうしもん

5年前、長浜の骨董屋で見つけ、「いいな」と思ったが、高額だったので入手をためらった。
店を出てしばらくすると、家内が「でも、あれ良かったね」という。小生も心を惹かれるものが残ったので、再度店に引き返し、改めてジックリ眺めることにした。
店主によると、長浜から近い近江の古い町の旧家・・・近江の豪商の蔵から出たものという。
代替わりして・・・若い女性が相続したのだが、相続税などで困り、お金になりそうな財産を処分にかたその中の一品であるらしい。このシリーズは同じデザインの、ここにはない種類ものが他にもあったそうで、元の数は10客有ったらしいというから、金持ちの商人が冠婚葬祭時にでも使うつもりで、特注したものではないかと思われる。
時代は明治期か江戸の末期のことであろう。
どこで焼かれたものか、ハッキリはわからないが、北陸金沢あたりではないだろうか。
復興九谷風なところもある器である。

タイトルの「とうしもん」とは、全セット揃ったものを言う骨董用語だから、このセットは本来的意味での「とうしもん」ではないことになる。

店に有ったのが入手した全てで、7寸、8寸、9寸の皿に大小の膾皿、そして蓋つきの碗である。
9寸皿はかなり珍しいといい、特別あつらえの根拠となるようだ。
「鉢」の類、「お手塩皿」、コーヒーカップとしても利用できる少し深めの「猪口」、あるいは酒器などがあったかもしれないが、おのおのが別の骨董商により、個別に売られたのか、全てのセットで残ってないのは残念だが、現代では、フルセットでの利用価値も無いから、仕方ないのだろう。
現に躊躇している小生たちに、店の主人は、よろしければ9寸皿だけでも、膾皿だけでもよろしいですという。
しかしフルではないがここにこうして集っていることにも意味はあると思い、「清水の舞台・・・・」の心境で、思い切った。

デザインも、彩色も素晴らしく、ほとんど未使用なのか表面には擦り傷ひとつない。
長い間「蔵」の中で眠っていたのだろうか、まるで今出来のもののように綺麗だ。
裏面には伝統的な「錠前」のデフォルメされた文様が、書かれてあり、いずれもが卓越した職人の技を見せる。

小生は、ほとんどの骨董の器を常用するのだが、貧乏性なのか、これだけは大胆に使ったことがない。
このまま眠らせておくのはもったいないと、全てをテーブルに並べ、写真を撮って、ブログに残しておくことにした。
この器は、並大抵の料理では、料理が負けてしまいそうで、その意味でもなかなか思い切って使うことが出来ないでいる。

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5点のセット6点をセットにしてみた。本来ならもっと多くの器で構成されたのだろう。
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この中で一番大きい、9寸皿。この大きさはまなり珍しいらしい。
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ついで、8寸皿。
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7寸皿。
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膾皿大小。膾皿はとても使いやすい器だ。
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セット前景。
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かなり凝ったデザインで細工が細かい。真ん中は「「染付け」の「牡丹」が絵付けされる。
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裏面のデザインも面白く、手が込んでいる。「鍵」がデフォルメされて絵付けされている。
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膾皿の裏面。渦福あるいは角福のマークが入っている。
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「椀」は、小ぶりで、持った感じが非常に良い。栗ご飯が似合いそうだ。
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もう一度全景。全部並べて見たのは初めてだが、やはり壮観だ。全てが揃っていたら、ものすごいことになりそうだ。
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by noanoa1970 | 2007-02-01 11:41 | 骨董で遊ぶ | Comments(2)

Commented by like_a_blossom at 2007-02-06 17:13
こんにちは。はじめまして。「とおしもん」という言葉でたどりつきました。
溜息のでるような素晴らしい金襴手のとおしもんですね。惚れ惚れして
何度も拝見させて頂きました。実は私の所有している伊万里の手塩皿、向付と同じ図柄の七寸皿を別の骨董屋さんで見つけ、今手に入れようか
どうしようかと悩んでいるところなのです。もしかしたら同じ家で使わ
れていた「とおしもん」かもしれないとお店の方から言われ、そうすると
運命の出会いのような気持になり、手持ちのものと一緒にしてあげ
たいのですが・・・・。美しいお写真を拝見させて頂き、心を決めました。
それにしても九寸皿、ホントに珍しいですね。立派なお宅で注文された
ものだったのでしょうね。大きさといいまるで洋食器のようです。
これからも時々お邪魔させてくださいね。
Commented by noanoa1970 at 2007-02-07 09:35
ブロッサムさんこんにちは、コメント有難うございます。「とおしもん」がソロって市場に出ることはない世の中になったようで、おっしゃるものは、きっとそうだと思いますから、是非入手されることをお勧めします。10客のものや場合により20客あったものもあると聞きますが、再販されない代物でしょうから、好きな人のところに収まるのが器にとっても良いことです。小生ももっともっと、いろいろな機会に使っていこうと思っています。こちらこそよろしくお願いいたします。