東京物語を見る・・・・映像の表情と対比
物語最初の映像。船は左から右に進行する。海に向かうのか川上に向かうのか、港に帰るのかはハッキリしないが、それはどちらでもいいのだろうが、この映像は川上、あるいは港に戻る船と見てよいかもしれない。
2枚目のの映像が恐らく「母なる海」へと出向する船なのだろう。
単純に考えれば、最初の映像はお昼近くそして2枚目の映像は明け方あるいは早朝であるから、当然船の進行方向は逆でよい。
しかしただそれだけではないような隠された表現がありそうなのを強く感じる。
1枚目が希望に満ちた思いの東京行き・・・すなわち、生き生きとした「生活力」の象徴すなわち、尾道の日常。。
2枚目は肉親の「死」を体験して、漸く湧きあがってきた「静謐」すなわち尾道の非日常。
ほとんど同じような2枚の「静かで美しい「映像」から受ける印象が、物語の展開によって、かくも異なることに驚いてしまう。船の進行方向は、そんのほんの小さなことに過ぎないのだろう。
by noanoa1970 | 2006-08-31 07:30 | 小津安二郎 | Comments(0)