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謎のレコード盤・・・・モーツァルトと同世代の仏音楽家作品

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先日の「ドラランド」の「我・深き淵より」の音盤と同様、過去ほとんど聞かずじまいで、そのままになっていたレコードを引っ張り出しておいたので、聴いてみることにした。
白いジャケットカバーには何もかかれてないので、レコードのセンターの円盤の表記を頼るしかないのだが、実を言うと、この音盤を「モーツァルト」の作品だとばかり思っていたのであった。
「contemporains francais de mozart」と題された音盤で曲目が「symphonie concerrtante」などとかかれてあったので、てっきりフランスの演奏家による、モーツァルトの協奏交響曲などとばかり思っていたが、聴いてみると、どうも様子が違うことに気が付いた。

良く似てはいるのだが、モーツァルトをもっとPOPにしたような・・・ノビやかさと、軽快さと、社交的、影の部分が少ない・・・そんな感じのする曲であった。
どうも、今まで聞いたモーツァルトにはない新鮮さを感じたので、細かい字を読み取るために、例によってスキャナーで読み取って眺めると、とんでもない勘違いに気が付かされた。
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「フランス」と「モーツァルト」ということにばかり目が行っていたのだが、良く見ると、それは「フランス人のモーツァルト演奏」などではなく「モーツァルトと同じ世代の仏作曲家」という意味であることがヤット分かった。
さらに見ると、作曲家の名前らしきもの・・・・

「St GEORGES」=「サン=ジョルジュ」そして「M・AーGUENIN」シャルパンティエに習って読めば「マーカントワーヌ・ゲナン」でよいのだろうか・・・
ともかく2人の作曲家と思しき人の名前が読み取れた。
いずれも小生には初耳の人であるから、俄然興味が湧き、彼らの心地よい音楽に耳を傾けつつ、彼らの情報を得ようとした。

しかし情報らしい情報は、ほとんどなかった。
が、それでも「サン=ジョルジュ」については、ちょっとビックリするような情報が、マイナーレーベル専門の通信販売のサイトにわずかながらあった。

それによると
『ジョゼフ・ブローニュ・サン=ジョルジュ』は
1739年グアドループ島に生まれ、今から200年前1799年パリで没した、クラシック界でも指折りの数奇な人生を送った作曲家。
 黒人の血を引いていたという彼の精悍な容貌はその肖像画からも明らかであるが、フランス革命という大きな動乱期にあって、当時ヨーロッパで最も強い剣士であったという。

13歳から武術を習い、その後訓練学校を出てから、作曲をゴセックに、ヴァイオリンをルクレールに学んだといわれる。
ヴァイオリンと指揮、そして作曲で食いつないでいたらしいが、失業と同時に当時のヨーロッパを巻き込んだフランス革命に参加するために自ら軽騎兵隊を結成、ただ全く戦果をあげることができず、結局最終的には追放処分となる。

その後各地で音楽生活を続けながら放浪生活を送るが、新しい世紀への希望を見出せぬままパリで死す。彼の数奇な人生は様々な芸術のモチーフとして用いられているようだが、最も有名なのはボーヴォワールの4巻の小説である。
バロックと古典派の音楽の境目に生まれた一輪のあだ花とでもいおうか。
これまでCDはほとんどなかったが、ここへきて注目すべきアルバムが何点かリリースされたので軽く特集してみた。とくにスイスAVENIRAのアイテムは初回限定入荷・…』
と記されているではないか。

黒人奴隷との間に出来た子で、フランス革命に深くかかわり、作曲家であもあり、自ら兵士として戦争に参加する・・・・・なんという男なのであろうか。
「生粋のアンガージュマン男が、モーツァルトと同時代のフランスにいたのである」

曲想からは想像だにできないことであるから、政治と文化の表現方法の違いを、キッチリと分けて考えていたその巧には、頭が下がる思いである。
このような情報を与えられると、なんだか「情が伝染って」しょうがない。
急ぎ発売されているCDを探すと、NAXOS他から数枚出ているようだから、いずれ入手してみようと思っている。

もう一人「ゲナン」については情報もCDも何も無いようだからこの「見本盤」は貴重であることが分かった。

『モーツァルトと同時代のフランスの作曲家たち』
「サン=ジョルジュ」:協奏交響曲ト長調op.13、交響曲ト長調op.11-1
「ゲナン」:交響曲ニ短調op.9-3、協奏交響曲ホ長調op.3-2

演奏
パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団 モノラル録音 録音年・・・不明

by noanoa1970 | 2006-08-18 20:17 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by ryoi4141 at 2011-07-16 12:19
こんにちは。 古い記事へのコメントお許し下さい。
実はこのレコードの国内盤を持っていて、ヤフオクで売れるかな?と検索してヒットしました。 サン=ジョルジュのLPヴァイオリン協奏曲集は2枚所持していますが、CDも出ていてヤフオクに出品されています。
さてゲナンですが、マリー・アレックサンドル・ゲナンが本名です。
Commented by noanoa1970 at 2011-07-16 13:29
ryoi4141さま
コメント有難うございます。
この見本盤は、学生時代のサークルで行うレコードコンサートおよび研究の材料にと、レコード会社から寄付していただいたものです。

>さてゲナンですが、マリー・アレックサンドル・ゲナン
そうでしたか情報が無くて勝手に判断してしまいました。

この盤はこれからも再発売の可能性が少ない貴重なものでしょうから、是非お持ちになっておられたらいかがでしょう。