これがドビュッシー「海」の楽譜の北斎画だろうか?
初版のデュラン版の楽譜表紙に描かれた《神奈川沖波裏》とは以下の図のことであろうか?


オリジナルと比べると、恐らくだが写真を撮ったものを切り取り加工して「写真印刷」に掛けたものではあるまいかとも思えるのである。
今で言うコピーツウコピーか孫コピーなのか余りにも色合いが悪すぎる。
波裏の「群青色」の色合いも、太すぎる輪郭線も、オリジナルの雰囲気を大いに損ねている。
しかし、いかに「海」の楽譜といえどもこのように生命線なるものを無残に切り取ってしまっては、オリジナルの持つ「構図」のたくみも、「波と富士の三角形」の織り成す絶妙なバランスも、「遠近法を凌駕」する画法も何もなくなってしまっている。
誰の手になるものかは定かではないが、少なくともドビュッシーはこれを了承したであろうから、やはりこの辺りが外国人・・・フランス人の「北斎」を見る目の限界であったのかもしれない。
ただ、三艘のお「おしおくり船」を同時に取り去ったことで、この図は「北斎」を、または「日本」を意識したものでなく、「単にデザイン」として使ったことが分かるような気がする。
そうなるとドビュッシーが「北斎」の「神奈川沖裏」から直接インスピレーションなるものを受けたという説はとたんに「眉唾」めいてくる。
さて皆さんはどのように思われるでしょうか。
by noanoa1970 | 2005-11-06 18:57 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(1)