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間宮芳生、合唱のためのコンポジションから「鳥獣戯画」京都初の想い出とともに

鳥獣戯画は最初に下宿した最初に見に行ったものであるから、想い出とともに語ってみることにした。

間宮自身の解説の中に、《曲の中に基本的に重要なエレメントとして民俗音楽または仏教音楽からの引用がいくつかある。第1楽章には、華厳宗の声明(しょうみょう)、つまり東大寺二月堂のお水取りの法要のうた、第2楽章に愛媛の田の草取り唄、そして第4楽章に新潟の綾子舞のうた》

3楽章に触れてないのは、民族音楽でも仏教音楽でもないからなのか。
それはともかく、鳥獣戯画は京都の高山寺にあり、1967年3月京都に下宿生活をした直ぐにでかけて行った。長い階段を息を切らせて登って行き、鳥獣戯画を拝見したことを、覚えているが、動物がいっぱい出てきて、マンガチックだなと思ったぐらいで、世相風刺を込めたものなどとは理解できなかった。

有名だからと友人と出かけたまでで、当時はこういうものには興味がわかずに、寺に行っても宗派ど関心もなく、庭の見方・・・借景なんていうものは意味もわからない状態だった。

それが急激に変化してゆくのが「白沙村荘」で過ごした4年があったからだった。
白洲正子さんともお会いしたこともあるし、長山藍子が酔っ払って管を巻いたのもここだった。

脚本家依田義賢さんは、毎晩白沙村荘の「お菜ところ」に飲みに来て、我々バイト仲間とも昔の歌をうたったりした。彼の名前は、酔うた機嫌からつけたという話も聞いた。

陶芸家の小山富士夫さんには小生が料理を作ってお出ししたこともあった。
魯山人の本物を見たのも白沙村荘。
関雪の絵もさすがだが、ここに集まるメンバーと言ったらそれはすごい人たちばかり。
相国寺、銀閣寺の住職もよくお酒を飲みに来ていた。

1967年の白沙村荘の「お菜ところ」は関節の息子の嫁が担当していた関係で、旧来の知人たちが集まってくる場所となった。
関雪の息子節哉下相当なもので、祇園で毎晩のように遊んでいたというから凄いものだし、交際の範囲も広く、江戸川乱歩も白沙村荘に寝泊まりしたことがあり、一緒に谷崎潤一郎の潺湲亭を訪問したという。
谷崎と関雪の、結びつきは強く関雪の孫娘が谷崎家に嫁に入ったからである。

それにしてもあの時代日本画壇で有名とはいえ、銀閣寺の傍に3000坪の敷地と広大な庭、そして4つも茶室を持ち、中国から石像を運び、鎌倉時代のものなど数知れず、個人収蔵品の中には古代ペルシャのガラスのうつわや古代ローマの収集品まで有る。
そんなことことが可能だなんて、たいていの画家は生きているうちは貧乏だったように聞くから、大したものである。

バイト仲間で麻雀をすることがあったが、部屋は誰も入らないような2階の小さな部屋、そしてマージャン牌なはなんと象牙の下駄牌だったから驚くことしきり。
しかしこういう家があるのだということを深く知ってからは、なにがあっても驚くことは少なくなった。

まるで良き時代のサロンと言う感じであった。
まだ行かれてない方のために写真を幾つか。
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by noanoa1970 | 2013-01-14 21:11 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(6)

Commented by Abend5522 at 2013-01-14 22:05
sawyer様、こんばんは。
この曲を初めて聴いたのは、高校時代だったと記憶しています。
「阿」と「吽」の真言が面白く使われていますね。第3楽章では、僧を揶揄するかの如く聞こえます。「阿」が「あは~ん」と歌われるところなど最高です。
Commented by noanoa1970 at 2013-01-14 23:21
Abendさま。
最初に出てくるのは、解説によると、華厳宗mの声明だそうです。奈良の二月堂のお水取りの際に奏されるとありましたが、仏教音楽に疎い小生ですのでよくわかりませんでした。
三楽章などは「やっぱりそうよ」と聞こえてしまいました。
Commented by Abend5522 at 2013-01-14 23:40
sawyer様
第2楽章と3楽章を取り違えていました。すみません。
3楽章は「やっぱりそうよ」と言っているとしか聞こえません。
お水取りの行は達陀(だったん)といいます。パーリ語で「焼く」を意味するtattaの音写で、佛教では火を使う行法をいいます。YouTubeにあったので、ご参考までに。
http://www.youtube.com/watch?v=1Kuf-TNjQzo
Commented by noanoa1970 at 2013-01-15 11:14
Abendさま。
先ほどお水取りの声明聴きました。
これを取り入れたことはなんとなくわかりますね。
Commented by Abend5522 at 2013-01-15 17:44
sayer様、こんばんは。
明らかに達陀を取り入れていますね。鳥獣戯画のある高山寺は真言宗のお寺ですが、ここを興隆させたのは鎌倉期の華厳宗の僧である明恵ですから、達陀を取り入れたのは適切だと思います。
Commented by noanoa1970 at 2013-01-15 21:21
Abendさま、こんばんは。
今録画しておいた、ヤンソンスのベト3を聴きました。ベト5に入ったのですがあまりに馴染めないので途中でやめてしまいました。
ところで明恵上人が華厳宗の人とは知りませんでした。どうやら間宮さんの狙いが繋がったようですね。ご教示ありがとうございました。