新しい酒を古い器で
ことわざに「新しい酒は新しい袋に・・・」というものがある。
キリストの言葉であるとされ、ユダヤ教という古い教えでなく、これからはキリスト教という新しい教えに従えという意味が含むともいわれる。
古い袋は、せっかくの新しい酒を入れても、すぐに破れてしまい、役に立たず、もったいないということであろうが、このことわざは、味の面でも理解が可能ではないだろうか。
ワインを入れて使った袋には、古いワインの「降り」が付着する。
その「降り」によって、せっかくの新酒のフレッシュな味が損なわれるから…という理屈も成り立ちそうだ。
昨日は新種「ボジョレーヌーヴォー」が解禁だとかで、いつものことながら、盛んにニュースで、取り上げられていた。
日本人は「世界初」という言葉が好きなようで、世界で誰よりもいち早く、この酒が味わえることを無情の喜びとする人種が多いらしい。
毎年映し出されるカウントダウンと乾杯の映像にはうんざりするが、今年は異変が起こっているようで、それはボジョレーヌーヴォーでは、おそらくはじめてのペペットボトル詰めが発売されたことではなかろうか。
経済環境悪化の折の苦肉の策とも言えそうだが、小生はかねてから「ボージョレヌーヴォー」のコストパフォーマンスには、不信を持っている。
産地側の意図的な宣伝文句…今年のは・・・「50年に1度の自信作」というキャッチであった。
ボジョレーヌーヴォーが1000円以下で入手できる・・・いい話だとは思うが、そもそも今までの値段が高すぎたのではないか。
小生はボージョレヌーヴォーの愛好家でもないし、毎年飲むわけでもないが、いつも値段の付け方には疑問を持っていて、あんなものは当然1000円以下、せいぜい500円が妥当な線だろうと思っていた。
産地側がいかに「今年は葡萄の豊作年」などと宣伝しようが、それが味に反映しないのがボジョレーヌーヴォー。
あのションベン臭い味が好みの諸氏もいるので、無下に否定はできないが、小性の好みからはかなり遠い位置にある飲み物である。
しかしペットボトル、1000円以下といういわば快挙ともいえる販売方法と、ちょうど牡蠣が手に入ったので・・・本音は値段長安いから買うことにしたのだけれど・・・近くの大型ショッピングセンターの目抜き通りに陳列してあるのを発見し、入手してきた。
ボジョレーヌーヴオーと言えば通常「赤」であるが、「白」のヌーヴォーも、この時期発売されるから、シャブリの代わりにはならないが、多分シャンとしたフレッシュな味であろうと推測し、「白」を同時に入手した。
昨夜スクリューキャップの蓋をあけて飲んでみたが、安物のシャブリかに酸味をプラスしたような味で、牡蠣に合わないことはないが、そのままで味わうにはかなりしんどいものであった。
牡蠣の味にまったく変化がなく、牡蠣本来の海の味が殺されてしまう結果となってしまい、評価は著しい「×」。
新しい酒を明治期の古いガラスの器で飲むことにしたが、あいにくその効果はなかったようだ。
大手酒屋チェーンが、自社で詰め替えて発売した1本1500円の安物シャブリに完全に負けてしまう結果となった。
「白」のヌーヴォーは、「赤」より、その特徴が出やすいと思っていたが、「50年に一度の自信作」は「白」には適応されないのだろうか。
このワイン派そのまま料理用に回すこととし、今度は「赤」を試飲してみることに推した。
はたして50年に一度・・・という宣伝文句は正しいのだろうか。
by noanoa1970 | 2009-11-20 10:21 | 「食」についてのエッセイ | Comments(6)
マコン・ヴィラージュということは、シャブリと同じ葡萄シャルドネがベースだと推測出来ますが、白葡萄は即ワインになるのは難しいのかもしれませんね。
通常赤に含まれるタンニンは魚介の生臭さを引き出してしまいますが、ヌーボーは赤でも意外なほど相性が良いようです。
「澱」
小生がワイン愛好家ではないことがバレてしまいましたね。(笑)それでも何かおかしいと思いはしたので一応確認してみたのですが、発見できませんで、ママよとばかりいい加減に書いてしまいました。
いま確認すると、変換候補最下部にちゃんとありました。
全部を確認してないのですが、「白」は50年に一度の・・とは、とても言えない出来だと思いました。「白」は1480したので、同じコストなら日本酒のヌーヴォーのほうがいくらでも美味しく牡蠣に合うものがあるような。奈良の老舗超辛口の「春鹿」は中でも良いと思いました。
確かにイヴェントを楽しむのなら、其れなりに良いと思います。
毎年、当たり年な筈が無い訳ですから、敢えて業者の口車に乗って、今年も飲むぞ、飲兵衛の決意を再確認する儀式として飲むオイラです。980円の赤を空けました。
ハイ、ペットボトル入りですが、何か?
でも、他に安くて美味い酒は他に幾らでもあると認識した次第です。
小生、まだ赤は開けていませんが、もともとヌーヴォーのワインは好きではないので、期待するのが謝りのようです。
味覚は人騙しの頂点ですから、騙されてもわからないところに、盲点があるようです。
元々、赤でやっているはずの祭りですし、便乗商法でイタリアがノヴェッロを出したり、ボジョレー以外でも色々出しているだけなので、本物から逸脱しない方が安全なのかもしれませんね。
ちょうどオイスターが手に入ったこともあって、定番のシャブリばかりが能じゃないと思い、・・・
でも小生が購入したものは、まったく香りも味の奥深さも感じられないシャブリの外孫という感じでした。人によっては牡蠣の風味を殺さないというかもしれませんが、小生の舌には合いません。辛口でスッキリという点ではいいのですが・・・・牡蠣ではなく鰹の塩辛のほうがあうかもしれません。
おっしゃる通り、ヌーボーなら赤も牡蠣にあうかもしれませんので、今度試してみます。