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クーセヴィッキーの展覧会の絵

この曲を小生は長い間・・・1960年代半ばから「ベルナルド・ハイティンク」指揮「アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団の古い録音で聴いてきた。

その後数種類の録音を入手したが、ハイティンク盤になじんでしまったのか、どうしても他の演奏ではシックリ来なかった。

しかしハイティンクの他の演奏・・・例えばシューマンの交響曲にしても、小生には一向にピンとくるものが無かったのであった。

本日聞こえてきた曲は、ムソルグスキーの「展覧会の絵」。

当然のように古い録音であるが、この演奏はすこぶる良い。
音楽に活気があふれ、オーケストラの実力と相まって、ややもするとこの曲は録音が優秀でないと聴き劣りしがちな曲ではあるが、それはとんでもない誤解であったことを知らされた。

プロムナードのトランペットを聴くだけで、この相当の力を持つオケであるとわかり、やや快速のテンポとリタルランドをかける小節末が特徴的で、低弦楽器がうねるようだ。
ほんの少しポルタメントをかけている。

最近の録音は、いずれも金管楽器がハイライトされている録音が多いようだが、この演奏はあらゆる意味で、オーケストラの音響バランスが、絶妙に保たれている。

「小人」でのコントラバスやヴァイオリンの巧み。

「古城」でのサキソフオン、ファゴットの巧み。

「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」でのミュートトランペットは、たいてい音が外れるものだが、ここではピカ1の実力を発揮。


「キエフ大門」は、大見えを切らずに、やや早めのテンポで通していて、鐘の音が実に長い歴史を感じさせるように響く。

ここの終わり方は、アッチェレルランドをかけながら、リタルランドするといった、テンポが目まぐるしく変化している。

昔の指揮者で、このような素晴らしい「展覧会の絵」を聴かせる・・・フリッツライナーぐらいしか思い当たらないが、それにしてはテンポをかなり揺り動かすから、恐らく違うのだろう。

金管楽器からは、どうもヨーロッパの伝統的オケではないような気がする。

はたして誰なのだろう・・・

種明
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クーセヴィッキー指揮のボストン交響楽団でした。
ラヴェルに編曲を依頼したのが、このクーセヴィッキーだったようで、この指揮者はさまざまな編曲や現代音楽の取り組みを盛んにおこなった人でもあった。
今やすっかり忘れ去られつつあるように思うが、その功績も、音楽解釈も合わせ、素晴らしいと思う。彼の作曲したコントラバス協奏曲のライブが、読響のサイトにあるから、これからそれを見聞きしてみるつもりだ。

by noanoa1970 | 2009-07-24 10:40 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)