「ゲーテ」と「ヘルダー」

シューベルトの歌曲「野ばら」の作詞者としても名が知られている「ゲーテ」であるが、この「ゲーテ」という人物、なかなか食わせ者である。

同じシューベルトの「魔王」が実は北欧デンマークに古くから伝わる民話を基にして、「ヘルダー」という人物が採取したものを、「ゲーテ」がチャッカリ採用してしまったということは調べがついたのだが、この「野ばら」も「ヘルダー」がし採取した「ドイツの田舎の民謡」を「ゲーテ」がチャッカリ使用した・・・現代風に言えば、「盗作」に当たるという話がある。

冒頭の箇所がその例で
「シューベルト」あるいは「ウエルナー」が作曲した「ゲーテ」の詩では
Sah ein Knab' ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
War so jung und morgenschön,
Lief er schnell, es nah zu sehn,
Sah's mit vielen Freuden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

「ヘルダー」の原詩では
Es sah ein Knab' ein Roeslein stehen,
「Es」がゲーテでは削除されているだけという。全てを確認したわけではないので、これだけなのだが、「魔王」の話から考えると、やはり「ゲーテ」は「盗作」をしたのだと思わざるを得ない。
しかし盗作された「ヘルダー」は勿論そのことを十分知っていて、むしろ奏されることによるメリットを十分得ていたのではないかと推測する
この例でも分かるように「ゲーテ」と「ヘルダー」は近しい関係にあり、5歳年上の「ヘルダー」の影響をかなり受けたと思われるのである。
「ヘルダー」は。民俗学者的な哲学者であり、内容と形式が一致するものを「美」であるというような美学者でもあった。
「疾風怒濤」運動の立役者でもあり、数ヵの神話や言語に精通して、彼の採取した民話は、音楽の世界でも取り上げられている。
小生はスコットランドのオールドバラッドの「エドヴァルド」、デンマークの民話「オルフ殿」など太古の国の土着の神々とキリスト教の文化の衝突の反映が見えていてとても興味深い。

「ヘルダー」ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1744 ハプスブルク朝
 1744~1803 ドイツの哲学者・文学者、ゲーテの斡旋でワイマールの宮廷牧師となる。カントの理性主義に反対して,理性は根源的なものではなく,その根底に精神と自然と一なるものがあるとし,その直接的産物としての民衆の詩や宗教に着目した。彼はまた神と世界も一であり,さらに感性と悟性も区別すべきものではなく,また美も単なる形式ではなくて内的生命の象徴としての完全性であるとする。
d0063263_1752848.jpgベルリンの科学アカデミーが、当時活発であった言語起源論争の収拾を図るべく、1771年1月1日を提出期限として募集した懸賞論文の課題である。これに応募し見事受賞したのが、当時26才のヘルダー(1744-1803)であった。そしてその受賞論文を刊行したものが本書『言語起源論』である。
 ヘルダーは文学運動「疾風怒濤」において先導的な役割を果たし、若きゲーテの師として少なからぬ影響を与えるなど、ドイツ思想、文学史上に大きな功績を残した。風土や民族など自然的なものと人間との関わりを理論的に考察し、特に言語の問題には力を注いだ。
当時のドイツにおける言語の問題をめぐる哲学あるいは文学思想を深め、活性化させた画期的なテーゼであったことは疑いないであろう。

次回は「ヘルダー」が採取したスコットランドのオールドバラッドの影響で、レーヴェが歌曲を作り、ブラームスが作曲した4つのバラードから1番「エドヴァルド」について書くことにする。
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by noanoa1970 | 2006-02-26 15:23 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)

「魔王」雑感-1

シューベルトの最も有名な歌曲「魔王」が「ゲーテ」の詩に基づいて作曲されたことはどなたも知っておられることでしょう。
そしてその「ゲーテ」が素材とした「オリジナル」は「デンマーク・・・北欧の民話」であるらしいのである。「ゲーテ」は婚礼を前にした漁師の娘と、その婿と娘の父親との音楽劇「漁師の娘」のなかで、娘が漁師を待っているときに口ずさんで歌う「民謡」として「魔王」を、そして娘婿が歌う「水男の歌」を書いたという。・・・つまり「魔王」はゲーテにとっては「民謡」であったのだ。
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シューベルトが「魔王」を作曲して「ゲーテ」に聴いてもらったが、「ゲーテ」はそのときほとんど関心を示さなかったという。

シューベルトが余りにも「魔王」を芸術的名曲に仕上げたため「ゲーテ」の持っていた「魔王」の素朴なイメージとは大きくかけ離れていたのが原因かもしれない。

ゲーテの抱いたイメージとは何であったのだろう。

なお「魔王」雑感に貼り付けた「絵画」は「詩人グエルの世界」より、拝借させていただきました。下記URLです。とても「不思議な、感性を刺激」する絵です。是非ご覧ください。
http://guel.ld.infoseek.co.jp/

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by noanoa1970 | 2005-11-09 10:44 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)