評論または批判することの功罪

今ではもう無くなってしまったクラシックの掲示板「クラシックCDコレクション」そして「クラシック招き猫」には、かなりのコアなクラシックファン達が集まっていた。

小生も、その末席を汚していたのだが、「掲示板」という質のせいなのか、時として思わぬ方向に進んで、それが周囲を巻き込んで言って、膨れ上がり、ことが好きな「音楽」であるにもかかわらず、いつの間にか、その範疇を飛び越え、お互いの人格批判のようになったことが稀にあった。

詳細は語らないが、例えば「演奏会での咳やくしゃみ」、あるいは「拍手」についてのことや、「指定席の演奏会で上位の空席に移動の可否」などの議論展開はその例。

初期のころ多かったのは、「演奏家やその演奏の評価」で、これはいつも議論が紛糾するもとであった。

「カラヤン」はそういう渦中の代表選手でもあった。

掲示板での投稿は、最初は穏やかに進むのだが、ある言葉をきっかけにして、そこから急に火がついたように紛糾する。

それでも仲裁者がいたり、自浄能力が発揮され、最後まで拗れることは本当に少数だったと記憶する。

紛糾中は、・・・ネットの特徴なのだろうが、相手の言葉を、あるいは言葉尻を悪意に解釈し、それがまた反論を呼ぶといったもの。

たいていは、最初の主旨から大きく外れてしまうことが多かった。

本人同士のほかに、巻き込まれた人や、自ら参加した人、いろいろな人がいて、それぞれ真剣に意見を投稿する姿勢は、悪いことではなかったが、こういう掲示板を、まったくの門外漢と思しき・・・煽りを趣味にする輩が、意識的に混乱を画策したりで、とうとう2つの掲示板は、終焉の時を迎えることになった。

このようなことはネット「掲示板」に特有のことだと思っていたら、それはとんでもない思い違いであることを知らされた。

しかも「音」ではなく「味」であったから、少々面食らってしまった。

感性領域の話での感じ方の違い・・・音感の違いはは誰しも認めるのが当たり前なので、掲示板においても、よほどの投稿・・・自己アピールのような投稿は別として、純粋な演奏の感想については、口を挟まないことが礼儀で、しかし「私はこのように思うとか感じる」とかの投稿をすることには、いささかの文句も出ない。

「ピリオドアプローチでないとダメ」とか、「両翼配置以外は認めない」というような、なぜそう思うのかということが書かれてないと、かなり突っ込まれてしまう。
単に好きだというものには、誰も文句は言わなかったものだ。

味覚・・・「料理・酒」においても、聴覚つまり「音楽」の場合と似通ったところがあるはずなのだが、味覚は日常であるが故だろうか、あるいは万人に関心があることだからなのか、そして味覚の言語表現が、音楽以上に困難であるからなのか、一度火がつくと、とことん果てしなく激論が交わされ、ついにお互いの人格批判にもなる。

ある寿司通のブログ・・・東京を中心に高級すし屋に通い詰めている人の、お店と料理紹介・・に書かれている内容の1部を、ある人・・・覆面料理評論家としてその筋では有名な人(先日書いたブログの・・裁判となり、名誉棄損で訴えられた人物)が批判したことによる。

普通なら「美味しい寿司を提供する店」という書き込みには、「私は◎◎の点でそうは思わなかった」・・◎◎の部分は種々雑多あるであろうが・・・

しかしその批判は、そういう範疇を超えており、例えば、いまどきの季節の九条葱を絶賛するとは、味覚がどうかして居る・・など、かなり辛辣かつ相手の感性領域を、真向か荒否定するような発言であった。

「貴方は美味しい思うが、私はそう思わなかった」・・・これで済むのだが、評論家という職業意識なのか、持って生まれた資質なのか、食通と思しきように見えるが、素人相手にプロがここまで自身のブログで書いてしまうものだから、騒ぎが大きくなった。

東京の有名寿司やばかり数々訪問し、1回で数万円を支払える人は、素人にはそうざらにはいないとは思うが、その人のブログを読む限り、あの某大学教授のような自己宣伝も何もない。

読者は恐らく「超素人」寿司愛好家だと認識していると思う。

そんな人に、牙をむくように・・・プロより凄いところに行っている素人の存在が気に食わなかったのかは解らぬが、噛みついた。

最初はお互いのブログの中で議論していたようだが、やがてそれがメールでも続き、その内容を、お互いがブログに公開したものだから、ますます修正が効かなくなった。

掲示板でも見られたように、文章の1言一句をチェックし、それについての長い反論の応酬となっていく。

おりしも件の、覆面評論家の裁判沙汰が話題となり、その経過がブログに本人からも、相手側からも書きこまれた時期だったから、寿司の素人愛好者はそれをネタに反論を繰り返し、泥沼化していった。

お互いのブログの読者からは、ブログ主を弁護したり、正当化するコメントが多数寄せられ、中には相手のブログに悪意のあるコメントをつけたりする者もいる中、そんなネタを2チャンネラーが放っておくはずもなく、今やかなりの投稿数を数える状態となっているようだ。

小生も含め、恐らく傍観者としては、このようなやり取りがブログを媒介として行われることは、多くない経験で、驚いたと思われるが、法律的な「名誉棄損」はお互いにあるように思われ、ブログでの「批判」の論調には、今後ますます注意が必要であることを実感した。

書き始めはそうでもないが、だんだん興奮が加速して、「送信」ボタンを推してしまってからでは手遅れになることがあり、削除しても「キャッシュ」は残るから、小生もいつ何時そのようなことに陥るかも知れない、そんな可能性があることを十分承知しておかねばなるまい。

食通ならば、あって一緒に食事をし、お酒を飲んで語れば、こんな展開になることは、決してないだろうが、ネットでは掲示板がそうであったように、最近ではブログ上でも起こるようになってきた。

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by noanoa1970 | 2009-07-05 15:28 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)