SACDで聴くドヴォコン

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ドヴォコンという略し方は好きではないのだが、あまりにも長くなってしまうので致し方なしに使う。

ドヴォルザークには、ヴァイオリンと、ピアノそしてチェロ協奏曲があるが、ドヴォコンとはほとんどが、チェロ協奏曲を指している。

このことはつまり、ドヴォルザークのチェロ協奏曲が、きわめて有名であることを物語るものだと言える。

ただしヴァイオリンもピアノ協奏曲も決して駄作ではないことは、言うまでもない。

本日はそのドヴォコンを今まで長い間LP、そしてマーキュリーのリヴィングプレゼンス-35mmのCDで聞いてきた。

1962年の録音であるが、LP発売当時から、優秀録音盤としての評価が高かったものだから、今どきのデジタル録音とそん色のないものである。

CDショップでこのSACD盤が、大幅割引の対象となっていたことを知って、さらなる「良い音」を求めて入手したのだった。

結論から言うと、「なんでこの録音をわざわざSACD化したのだろうか」という疑問が出るようなもの。

確かに細かい音の伸びとかしなやかさは出ているとおむけど、大いなる欠陥は、音がちじこまってしまったように聞こえること。

音楽に力が感じられないのである。

LPや初期CDで聴くと、ドラティのバックも、シュタルケルのチェロも、大きな音楽を作り上げているのに、SACD盤では音が柔らく美しいのだが、ドヴォコンではなく、シュタルケルのチェロが、まるでヴァイオリンのように聞こえてしまう。

オイストラッフの弾くヴァイオリンの音は太いから、ちょうどSACD音盤で聴くシュタルケルのチェロの音色のようである。

もっとも、シュタルケルは、ヴァイオリンのようにチェロを扱ったといわれるほどだから、逆に言えば、SACD盤は、そのことをよく表しているとは思うのだが、昔から聞いてきたドヴオコンのシュタルケルとは違うシュタルケルがそこにいるのである。

ドラティのバックも、今まで聞いてきた録音では、かなり土臭くて、良く聴くと、決して土臭さがあるとは思えない、シュタルケルのチェロとの相性が良いのか悪いのか、・・・小生はあまり相性が良くない演奏なのではないかと思うのだが・・・SACD盤ではそのことが一層顕著に表れる結果となった。

チェロだけとれば、これ以上は無いと思われる演奏技術なのだが、音楽に推進力が無い。
どこを探してもチェロ特有の弦が擦れてゴリっとするような音が見当たらない。

良く言えば、情緒的な演奏だが、悪く言えば、音のためが希薄で、音楽が美しく優しく流れてしまう。

えーつこのコンビの演奏は、こんな印象だったけ!
そんなことを思わせるリSACDマスターリングであった。

やはりこの演奏録音は、オリジナルで聴くほうがよいのであろう。

このことを例にとれば、恐らくSACD化の・・・あるいはリマスターリングの若手のエンジニアの多くが、ミニコン・シスコン・ウォークマン+イヤホン育ちの環境下で育ってきたと考えられるから、彼らの耳自体が「聴きやすさ」第1主義的な考えをしているのか、などとの疑いを持ってしまう。

MP3など圧縮それた音楽ファイルで、音楽を聴くことは、良いことばかりのように思える昨今だが、小生のような昔の人間には、そのような圧縮音源で音楽を聴くことが苦痛である。

またPC+アクティヴスピーカーのみで、特にクラシック音楽を聴くことの功罪を、一度真剣に考えておかねばならない、そのように思うこのごろである。

その意味で、かつてNMLストリーミングをPCで聴いていたこともあったが、今はもうやめた。

未知の曲を簡単に聴けるのは良いのだが、BGM的になってしまうことが多い。
ただし、このことは、聴き方の問題だから非常に個人的なことではあるが・・・。

取り分けてマイナーな曲をNMLなどで聴いて、すぐにその感想や評価を書く人を最近多く見かけるようになったが、「この人たちどのような耳をお持ちなのだろうか」と、小生はいつも驚くばかりである。

経験的には、同じ曲を繰り返し何度も聞いてようやくその曲のあらましがわかることが多く、まして初聴きに近いと思われる、ごくごくマイナーな曲なのだから、余計にそう思うのである。

まるで自分を、クラシック音楽超々マニアであるかのように見せるようとするところが見えて、何とも気持ちがよくない。

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by noanoa1970 | 2009-07-02 11:48 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(4)

Commented by HABABI at 2009-07-02 23:16 x
sawyerさん、こんばんは
丁度、この曲を聴きたく思っていたところです。LPでシュタルケルの演奏は持っていますが、この曲に関しては、あまり好みではなく、数回しか聴いていません。フルニエとか、ジュリーニとのロストロポーヴィチの演奏が好みです。
シュタルケルが演奏したバッハの無伴奏チェロ組曲では、SACDで聴くと、弾き始める直前の息を吸い込む音とか、残響音がよく聴こえて来て、チェロの音も生々しく聴こえて来ます。しかし、CDで聴くときには感ずる音の芯が感じ難く、戸惑うこともあります。SACD再生の時は、改めて音量調整をして、それらしく響くポイントを探すようなことをしています。音量を上げて聴いて、いったんSACDの響きに慣れた後に絞って、適当なポイントを見つけるようなことをしています。
Commented by noanoa1970 at 2009-08-10 13:15
HABABI 様
コメントが承認制となっていたのに、見落としておりました。申し訳ありません、本日気がつき、あわてて返信しています。
小生はLP、CD、そして音階のSACDとスタルケルを聞いてきましたが、だんだん大人しくなってきたというのが感想です。勿論音の質だけをとればSACDは良いのですが、ダイナミズムというン観点で見ると、LPで聴いたときとは比較にならないぐらい差がありました。リマスターされたのか、小生にはLP>CD>SACDという評価で、何もSACD化しなくてもいいのでは?という疑問がわきました。シュタルケルのチェロがこんなにも大人しかったのかと、SACDで聴くとそんな風に思ってしまいます。ジュリーニ/ロストロもLPで所有していますが、強打の時に音が歪ませんか?これがなければ申し分ないのですが・・・EMIのよくない録音の一つではないかと思ってしまいます。フルニエ/セルは小生も好みの演奏です。小生はドラティがどうも相性がよくありませんで、ハイドンの交響曲全集も、未だ数曲しか聞いていません。
Commented by HABABI at 2009-08-12 06:54 x
sawyerさん、おはようございます
私もジュリーニ/ロストロはLPで持っています。テンパニも入った強奏部分では音が濁りますが、ひどく歪んでいる感じではありません。この演奏はかなり気に入って聴いています。
ドラティのハイドンも気に行っています。この全集(CD)を聴いて、ドラティという指揮者を見直しました。シュタルケルとのドヴォルザークも、最近はこのようなオケも悪くないな、と思うようになりました。
Commented by HABABI at 2009-08-12 15:31 x
sawyerさん、先に私が書いたジュリーニ/ロストロのLPのことについて、修正します。第1楽章の後半、とても印象的なチェロの高音にむけてのグリッサンドの後、オケが強奏するところは針が飛ぶような感じで歪みます。これは、カッティングの問題なのかな、と思います。音が大きい部分で歪む録音としては、ストコフスキーのシュエラザードが思い出されます。これはCDでも歪みますので、元々のテープでの音量設定が不適当だったのだろうと思います。ジュリーニ達のをいつかCDで聴いみたいと思います。