真偽問題は決着したのか

いつもとは少し違う意味で、待っていたCDが突然到着した。
コンヴィチュニーのブルックナー4番にはいままで3種類が発売されていたが、その中の2種類は、全く同一の演奏であるとされ、今回は発売のCDは、オイロディスク社の所有するオチジナルマスターテープからのリマスター復刻だそうだ。

それで音質の改善とともに、このCDが正真正銘のウイーン響との録音で、世の中にゲヴァントハウス管弦楽団との演奏は存在しないことになったという、触れ込みだったから、満を持して発売を待っていたわけだ。

一聴してすぐに、音質の違いは、確認できる。
同じ演奏の、旧東ドイツのETERNAのLPと国内のLPの差のように、大きな音質改善がされていて、このことはCDにおいても同じだと体感した。

音質の差が影響を及ぼす演奏内容の差は、確かにあるように思うところがあり、今回同一演奏と結論を下した格好となった、合計3つのCDを聴くにあたり、特にそのことを念頭に入れたつもりで聴いた。

d0063263_2025644.jpg
聴いたのは、1993年DENONから発売された、同一音源と近年確定しそうな、ゲヴァントハウス、そして同じくウイーン響との演奏録音。
d0063263_20253954.jpg
そして今回発売のオリジナルマスターテープ復刻CD。

視聴結果、小生が感じたことや、CD解説が例のH氏だったから、その解説内容にも触れて思うことなど、忘れぬうちに書きとめておくことにした。

かなり長文となってしまったがお許しいただきたい。

注)区分けの「新旧」とは、旧発売新発売の意味である。

コンヴィチュニーのブルックナー4盤
いわくつきの「ウイーン交響楽団」とのオリジナルマスターテープ復刻CDを聴いた。

いわくとは、小生がブログで何度も書いたように、旧発売の…(LPにおいてもCDでも)それぞれ発売されてきた、ゲヴァントハウス管弦楽団(1960)とウイーン交響楽団(1961)の演奏が、実は全く同一音源(マスターテープは同じではない可能性があると思う)であるという噂があって、今回発売のCDは、完全オリジナルマスターテープによるものだとされる触れ込みだった。

しかしこのオリジナルマスターテープには損傷個所があって、今回はそれを丁寧に補修しての復刻という。

マスターテープとかオリジナルマスターとか原盤などさまざまな用語が飛び交うので、ここでいったんオイロディスクのテープなどが保存されているドイツ ソノプレス社のエンジニアの話をあ経ておくことにする。出所は、オイロディスクヴィンテージコレクションを発売する、コロムビアエンターテインメイントである。ケルテス盤についてのコメントであるが、参考にはなる。

☆ドイツ ソノプレス社技術者のコメント
ケルテスのマスターテープについて
「マスターテープ」という言葉は一般的にはレコード原盤作成に用いられる音源テープということになると思いますが、実は仕様的にははっきりした定義がなく、実際の現場にはいろいろなマスターが存在します。特にLP時代のマスターテープにおいてはレーベルやプロデューサによってさまざまな考えや方針があり、その内容も多種多様です。
すなわち、手切り編集をした真のオリジナルテープをLPカッティング用のマスターとして使用する場合もあれば、オリジナルマスターの劣化の防止という観点や、スプライシングをなくして物理的に安定した走行と保存を得るためにマスターコピーをとってそれを使用する場合、また録音によってはエコー付けや音質の調整をした上ではじめてマスター音源としてオーソライズされる場合、さらにはLPカッティングの用途に限定して最適なイコライジングをしたコピーをカッティングマスターとして使用する場合などがあります。
このため各社のテープ庫には色々な世代のいろいろなマスターテープが保管されている可能性があり、それらの中から真のオリジナルにたどり着けた場合はきわめて幸運なことだといえます。
今回のオイロディスクヴィンテージシリーズの場合はそのようなオリジナルを捜し求めることにかなりの労力が費やされました。たとえばオイロディスクのマスターが保管されているソノプレス社のテープアーカイブには、各種アナログテープ、ディジタルテープ、光ディスクなどすべてを合わせると約40万本のマスターメディアが保管されています。(もちろんオイロディスクはその中のほんの一部です。)
この中から1950-60年代の知られざるテープを探し出すためには、録音デーや過去におけるすべてのリリース番号などのデータのほか、現場での忍耐強い捜索、スタジオでの音の確認、勘と経験のすべてを使う必要があります。
ケルテスのベートーヴェンの場合も捜索の結果テープ庫から何本ものマスターテープが出て来ましたましたが、幸運にもその中に真のオリジナルテープが見つけることができました。
気温、湿度ともに(現在では酸素量も)24時間管理されたテープアーカイブで保存されてきたテープは録音後40年以上経っているとは思えないほどの物理コンディションを保っており、このスプライシングがびゅんびゅん通り過ぎる正真正銘のオリジナルマスターがテレフンケンンM15マスター再生機の上に載せられ、数十年ぶりの明るい光のもとで、オリジナルならではのみずみずしい音を聴かせてくれました。



過去の過ちは、原盤を所有していた東ドイツETERNA社が、西ドイツのオイロディスク社に販売権利を譲渡した際、サブマスターを渡したが、その時一緒にゲヴァントハウス/コンヴィチュニーのブルックナー5番と7番をセットで発売した際、間違えてすべてをゲヴァントハウス管弦楽団との演奏と誤記したことに、その原因があったと、解説で某評論家のH氏は述べている。

そしてブルックナー5番と7番はETERNA原盤そしてブルックナー4番はオイロディスク原盤であると述べている。

なぜオイロディスクがオリジナル原盤を保有しながら、ETERNAコピーマスターを使い、しかも演奏をゲヴァントハウスにしたかその理由はこうだ。

オイロディスク原盤のブルックナー4番は傷みがあったから、別の箱に入れられた。
しかしそれには原盤という表記もウイーン交響楽団との記載もないままだった。

そしてオイロディスクに存在したウイーン交響楽団との原盤の存在は、いつしか忘れ去られることになった。

サブマスターテープが残っていたのだが、発売担当者が、ETERNAからライセンスを得たブルックナー5番、7番と一緒に販売する際に、4番をもゲヴァントハウスとの演奏だと思い込んでそのように表記した。

これが全世界に広まって、今までLPでもCDでも同一演奏を、異なるオケの演奏として発売し続けてきたということだ。
ようするにこの事件は、オイロディスクサイドのミスが招いたという結論になり、倉庫に眠っていたオイロディスクオリジナルマスターテープから修復復刻された、今回発売の正真正銘のウイーン交響楽団とのCDは、「原盤」だけに以前から発売されてきたものより、相当音質が改善されているという。

オリジナルマスターは傷んでいて、しかもコピーマスターとして、箱に入れられて保管されていたのを、今回発見したという。

そしてこのH氏,またもや唐突に・・恐らく販売サイドをかばう目的なのか、ブルックナーディスコグラフィーで有名なLovallo氏の著述における誤記・・・氏の著述でも、コンヴィチュニーのブルックナー4番は3種類あり、中でもゲヴァントハウスとの演奏を1963年としていることに着目し、このような権威の人でも間違える云々を述べて、発売もと、そして多分最大の隠れた狙いは、音楽評論家を擁護することにあると思うが、そのようなことまで書いている。

小生に言わせれば、1963年、つまりコンヴィチュニーはその時すでにこの世に存在しないことは、コンヴィチュニーの生存期間を調べれば、すぐにわかることだから、これはLovallo氏のミスではなく、出版サイドのミスであることは明らかなはず。

小生が求めるものは、音楽評論に携わり、昔からンそして今回コンヴィチュニーの幻のゲヴァンハウスとのブルックナー4番について語るなら、一言でウイーン交響楽団のものと「同一」と、しかもこれらの顛末劇情報の可否を頭だけで受け入れるのではなく、再度聴き比べた結果・・・録音状態だけではなく、演奏スタイルについて、本当に間違いなく同一演奏なのか否かを述べていただきたかった。

少なからずH氏の先人達評論家が、長い間2つの演奏を別物とし、それぞれについて評論してきたのだから、そのことをネグった発言は、納得できるものではない。

悪いのはすべてオイロディスクサイドだと言っているようで、何とも後味が悪い。

自分たちの耳の存在は、そして評論家としてのプライドは一体どこに行ってしまったのだ。

このようなことを思いつつ
改めて3枚のCDを改めて聴くことにした。

「3種類ともに、異なる部分がある」
したがって、小生の耳とオーディオ装置で聞く限り、以前から小生が推測したように、少なくとも、「2種類の演奏をつないで修復」したマスター存在し、それによって制作されたCDのように聞こえて仕方がないのである。

オリジナル原盤が傷んでいたということが事実であれば、コピーマスターは、そのままでは当然傷みがあるままだ。
今のようにデジタルリマスターリング技術の無い、当時の技術から類推すれば、傷の無いマスターを修復によって再現するには、テープの繋ぎしかないのではないか。

勿論、オリジナル原盤が傷む前に、サブマスターが作られ、オイロディスクがそれを使ったということも考えられるが、そうであれば3種類ともに聞こえる音楽が・・・もっともっと似通っていてもよいはずだ。

念のために、演奏時間・・・これも完全なデータとは言えないところがあることは承知の上で・・・CD表記のもので比較してみると、意外なことが明らかになった。

下に掲げた表を見ていただきたい。
これはゲヴァントハウスと新旧のウイーン響における各楽章そしてトータル演奏時間の表である。
(データー源はCD表記によるものであり、実際に計測したデーターではないことをお断りしておく)

明らかなこととしては3楽章4楽章の演奏時間が、+-2秒以下と、誤差の範囲であるにもかかわらず、1楽章、2楽章では相当バラツキがあり、2楽章の新旧ウイーン響との演奏をとっても5秒の差。
旧ウイーン交響楽団とゲヴァントハウスとの差は20秒もある。

5秒から20秒もの演奏時間の差は、音楽上で誤差と言うには、かなり難がある。

小生は・・・このデーターだけでものを言うつもりは毛頭ないのだが、そして音質の違いが演奏に及ぼす影響があることは、十分承知の上で、あえてこの3種類の演奏録音CDから、1楽章と2楽章において、い演奏なのか、同一演奏なのか今は判明しかねるが、継ぎ接ぎしたことを物語るものだと推測するものである。

演奏時間がこれだけ異なるということ、そしてあくまでも小生の個人的聴感によれば、やはり2種類のオリジナルマスターがそℬん材氏、それを継ぎ接ぎして2種類のサブマスターが作られたのではないかという結論となる。

今回発売されたオリジナルマスターからの復刻だが、オリジナルマスターテープのどこに瑕疵があり、どこをどのように修復したのかが語られないから、真実はいまだ見えないが、もしその個所がわかるのであれば、スッキリするのだろう。

それにしてもH氏、「新世界より」の解説で例に出した、コンヴィチュニー/チェコフィルとウイーン響の演奏内容は変わらない…そういったににも関わらず、このブルックナーの解説では、両演奏の違いを臆面もなく述べている。

読者や視聴者をバカにするような発言、そして前に言った事を平気で翻すような文章を書く似非評論家は信用できない。

今回の顛末話で決着がついたかのように、世間は思うだろうが、小生はますます疑いを持っている。

しかしコンヴィチュニーの演奏の素晴らしさは、変わることは無い。



コンヴィチュニーのブルックナー4番「ロマンティーク」の演奏時間比較(CD表記による)

    ①GOL    ②VSO(旧) ③VSO(新)
1楽章  16:22   16:42    16:30
2楽章  14:25   14:05    14:10
3楽章  10:23   10:25    10:25
4楽章  19:38   19:37    19:37
Total   60:48    61:49     60:42
   Coco-75401 Coco-75402 Coco-84623    
[PR]

by noanoa1970 | 2009-06-27 16:39 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)