賞味期限が無い・・・
先日入手したCDは・・・本当に珍しいことなのだが、すべてが「あたり」だった。
コンヴィチュニーの「新世界より」
ムラヴィンスキーの「未完成」
ピエール・デルヴォーのメンデルスゾーン「イタリア」
レオポルド・ルートビッヒの「悲愴」
そしてヨゼフ・クリップスの「ベートーヴェン交響曲全集」
何れもが相当高いレベルの、満足度の高い演奏録音で、今までいろいろな演奏家で聴いてきた、これら通俗名曲における新発見も数々あった。
中でもクリップスのベートーヴェンは、数ある演奏の中で、「全集」というカテゴリーにおいては、恐らくTOPランクに入れてよいのだろうと思われる。
長いことお蔵入りとなっていた音源を、しかも超安価で復刻発売してくれたことに感謝である。
入手時には聴いていたものでも、時が過ぎるとほとんど聞かなくなってしまう音盤が多い「全集」。
ベートーヴェンそのものに飽きたわけではない。
その証拠に、それぞれの番手を、異なる演奏家で聴く場合が多い。
同じ演奏家で9曲全部聴きとおせる、数少ない演奏として、小生はやはりコンヴィチュニー/ゲヴァントハウス管弦楽団のものを筆頭に挙げたい。
どうしてこんな古めかしい録音・・・とおっしゃる方が沢山いるだろうことは、百も承知出し、ここでどうしてそうなのかを、くどくど述べようとは思わない。
ただ言葉少なく言えば、「賞味期限の無い演奏」・・・とだけ言っておこう。
クリップスの「全集」もこれに近い、・・・いや、さらに「賞味期限」ばかりか、「消費期限」までも無い演奏ではないか。
クリップスのベートーヴェンの滑らかさの音楽的要因とは一体何か。
つなぎやイントネーションが、リズムが、テンポがナチュラル。
生粋の京都人が話す京言葉のようで、すごく心地が良い。
生粋のウイーン子が演奏するワルツの如し。
一挙一等即すべてが理にかなっていて、しかもそれが心体からにじみ出るもの、恣意的なところは皆無。
あまたある「全集」の演奏録音の中、演奏史に残すべきものであると、強く思うことしばし。
強いて言えば、全集の中でのピカ1は「田園」だろう。
by noanoa1970 | 2009-06-27 11:30 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)