フランツ・コンヴィチュニー来日公演の第9が・・・

昨日12日は小生の誕生日であった。

しかし、4年前から同じ日は義母の命日にもなったので、お墓参りに木曽に向かった。

木曽は小生方の墓があるところだが、分骨して義母のお骨も納めてある。

よって両方の先祖にお参りができるのだ。

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不謹慎にも小生は、お参りのことも、自分の誕生日のことも頭には無く、昨日届くはずのCDのことで頭がいっぱいであった。

それは小生が最も好んで聴いている演奏家、1961年春ライプチッヒゲヴァントハウス管弦楽団を率いて来日しベートーヴェンシリーズ公演を開催し、これからだという翌年1962年に61歳の若さで亡くなってしまった「フランツ・コンヴィチュニー」の幻の音源がCD化され、3月10日発売となる見込みで、予約しておいたものが、おそらくは12日に届くであろうと踏んでいたからだった。

この録音はNHKがかつて「立体音楽堂」というラジオ番組で放送するために録音したもので、NHK第1、第2でそれぞれ左CH,右CHを放送し、視聴者は2代のラジオがあれば、ステレオで音楽が聴けるというものであった。

小生はかねてからコンヴィチュニーの来日公演のCD化を願っていたが、半世紀たとうとしているにもかかわらず、LPにも、ましてCDにもならずに今までいたのだった。

それで入手可能な彼の録音はほとんど集めて聴いていたのだったが、ステレオ録音は非常に少なく、また録音状態が芳しくないものも多く、彼の演奏の本質が見えにくいものばかり。

ただその中でもこれだけでコンヴィチュニーを語る人はたくさんいる「ベートーヴェン交響曲全集、序曲集」はステレオ録音であったし、いまだに音盤は市場に出ているせいもあって、評価は高い。

小生も良く聴く音盤であるが、良い状態のステレオ録音で、もっとほかの演奏を聴いてみたい気持ちが募るばかりであった。

しかしそのような音盤は、チェコフィイルとのシューベルト「グレート」あるいはバンベルク交響楽団との「新世界」、あとはブルックナーの4番5番ぐらいしかない。

ゲヴァントハウスとのブラームスの1番は、まずまずの録音だが、疑似ステレオのようである。

そのような数少ない音源の中で、半ばあきらめていたものがようやく半世紀ぶりに登場することになった。

日本公演のライブで、しかもステレオ録音ということだから、一層期待が膨らみ、予約しtこの方発売開始から到着をどんなに首を長くして待ったことか。

誕生日に間に合う予定だったが、配送の関係で先程到着、今聞き終えたばかりである。

コメントしたいことはたくさんあるが、まだ1回しか聞いてないから、特筆すべきことだけをあげておくことにする。

実は小生はコンヴィチュニーとゲヴァントハウスの組み合わせでのオーケストラ配置を、全集の録音で聴くものとは違い、かつて中学2年生の時に参加することができた日本公演名古屋市公会堂での公演のかすかな記憶、ライブでは両翼配置=古典的配置・・・つまり第1バイオリンと第2バイオリンを両翼に配置していたような記憶があって、そのことを確認しようとしてきたのだった、

今までの録音ではモノラル録音が多く、またステレオ録音でも状態が芳しくないことや、ましてあの「ベートーヴェン全集」では、近代配置=第1バイオリンの隣が第2バイオリンという配置であったから、記憶違い・・・中学2年生の時だし半世紀にもなろうとしているしから、やはり近代配置でやる人なのかとも思ったが、ライブ演奏見聞きした後TVでNHK交響楽団を見て何か違うという感じがし、確証はなかったが、それがオーケストラの配置の違いにによるものではないかという気がして、このことが気になっていたのだった。

それで、来日時のゲヴァントハウス管弦楽団の配置に触れる記述は何一つないままに、今まで来てしまったが、このうれしいニュース、ステレオ録音で音質もかなり良いという情報だったから、かつての記憶が正しいか否かが検証できるとばかり、早速聞いてみたのであった。

はたして結果は・・・

ドンピシャ、まさしく両翼配置、バイオリオン群は左右に分かれ、チェロバスは真中奥に配置されているように聞こえてきた。

やはりコンヴィチュニーは記憶と予測通り、今ではそんなに珍しくなくなったが、あの当時ではどういうわけだろうか、(有名な指揮者のオケでは)採用することはめったにいなかった「両翼配置」=「古典的配置」を採用した演奏をしていることが初めて確実となったのだ。

4楽章バリトンのレシタティーボでの「テーネ」はF-Fと歌わせており、これは「全集盤」とは異なり、ライプチッヒ放送響とのライブと同じ手法である。

演奏の詳細については、追って書こうと思うが、非常に雄大な演奏で、19Cの演奏スタイルを踏襲しながらも、コンヴィチュニーの特徴でもある、音楽の区切りの部分では、テンポを落とすところが随所にみられる。

弦の音色がとても美しく今までのどのようなゲヴァントハウスからは聞こえないような音で素晴らしく、録音のせいだけは無いと思うのだが、かなり強調したティンパニーの連続強打には目を見張らせられる。

合唱陣は秀逸で、あの時代によくぞあれだけのコーラスが可能であったと感慨を新たにさせる。
よほど鍛錬を積んだのだろう。

独唱はテナーのトーンがイタリアオペラ的で小生の好みではなかったが、それを除けば本当によく検討していて、黙っていれば日本人とは決して思わないだろう程レベルが高い。

演奏時間は約72分で、小生は一気に集中して聞いてしまった。

めったに泪線などは緩まない小生だが、不覚にも3楽章と終楽章では涙がにじんで仕方がなかった。

半世紀前の思い出と、その演奏がCD化され、素晴らしい音で再現されたことは、小生の宝物の大きな1つになるであろう。

ほかにも注文したCDが届いているが、今日はこのCD以外を聴くことなどができようか。

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by noanoa1970 | 2009-03-13 14:04 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(10)

Commented by こぶちゃん at 2009-03-13 15:18 x
お久しぶりです。
私もLP時代朧ろげな記憶ですが、コンヴィチュニーのベートーヴェンは好きでした。
メンデルスゾーンをOB指揮者として持つライプツィヒ・ゲヴァントハウスの伝統と言うか重厚な響きを最も引き出していた指揮者だったのでは無いでしょうか?

どこかに書いたかもしれませんが、マリス・ヤンソンスの父、アルヴィド・ヤンソンスがベルリン放送交響楽団を振った第9の演奏もすごい名演です。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2655840

コンヴィチュニーよりも10歳以上若いから録音も73年と少し新しいですが、レニングラード・フィルをムラヴィンスキーから受け継いだ人物の指揮は二流のオケを見事に鳴らします。
重厚で落ち着いた演奏ながら、知的なアプローチ。
私がベートーヴェンの誤筆と思ってやまない4楽章のテナー・ソロを破綻なく、ゆっくりとしたテンポでスマートに処理した手法は流石としかいいようがありません。
Commented by noanoa1970 at 2009-03-13 19:02
コメントありがとうございます。
コンヴィチュニーは万人向けの指揮者ではないゆえに、コメントの期待は全くしておりませんでした。
小生はこれで3種類のコンヴィチュニーの第9を聞くことができましたが、本CDはおそらく一番出来が良いのではないかと思っています。やはりコンヴィチュニーは、ライブの人であることを痛感しました。良いものを発売してくれた「アルタス」に感謝です。
Commented by HABABI at 2009-03-14 08:53 x
こんばんは
このCD、私のところには11日に届きました。と言っても、不在だったため、実際に手にしたのは12日の夜です。
この指揮者のユニークな解釈が至るところで聴かれました。テンポの落とし方と、その時のリズムの刻み、等々。全体としてはゆったりしたテンポです。第4楽章で、楽しみにしていたバリトンの中山悌一氏の歌声を聴くことも出来ました。また、テノールが、よくあの遅いテンポで歌えたものと感心しました。
録音は、音量を絞り気味で聴くと、ティンパニの音など、ひどく安っぽく聴こえ、オケ全体が遠くで小じんまりした感じで聴こえて来ます。しかし、ちょっと音量をあげると、低音の延びた音も再現され、部屋の中が演奏からもたらされる熱いもので充満します。案外、良い録音なのかもしれません。届くのを待っていた甲斐がありました。
Commented by noanoa1970 at 2009-03-14 09:55
>しかし、ちょっと音量をあげると、低音の延びた音も再現され、部屋の中が演奏からもたらされる熱いもので充満します。案外、良い録音なのかもしれません。

おっしゃるっとりなのです。録音レベルが低いので通常のヴォリューム位置ではこの録音は本領を発揮しません。さすがにテープが古く音量を上げるとポツポツ言うところが散見されますが、対して気にはなりません。またこの時代の日本人の聴衆は楽章の切れ目などや演奏時の席をこらえている様子が伝わってくるようで、今の演奏会では考えられない静粛さが見事です。両翼配置のコンヴィチュニーとゲヴァントハウスお分かりになられたでしょうか?歴史的にも大変意味がある録音であると、小生は思います。スケジュールが詰まったベートーヴェンチクルスだったにもかかわらず、あれだけの演奏が可能なんて、やはり凄いことなのでしょう。
Commented by HABABI at 2009-03-15 05:03 x
おはようございます。
スコアを持っておらず、また、間接音の多い録音なので、ヘッドフォンを使って確認してみました。確かに向かって右側にもヴァイオリン群がいます。第2楽章の最初の方で弦の各声部が順番に加わって来るところなど、面白いものがありました。
第3楽章や第4楽章で顕著ですが、旋律を奏でるときにグイッと強調される部分が出て来たりします。それがとても確信に満ちたやり方なのですが、この指揮者から発せられるものだろうと思います。聴いていて、一瞬、カザルスのチェロ演奏を思い出しました。曲に対する演奏家の深い理解が現れているように思いました。
Commented by noanoa1970 at 2009-03-15 09:24
お分かりになられましたか。かつてこの組み合わせの演奏はノンビブラートという評価はありましたが、両翼配置であるとするものは皆無でした。これで新しい物証が出たと、小生は内心喜んでいます。また録音のせいでしょうか、この演奏ではビブラートをほどほどに効かせているようにも思います。あの時代の両翼配置の第9は、モントウ/ロンドンもやっています。後にクーベリックが踏襲しております。最近ではピリオド演奏の流行とともに、ポピュラーとなった感があります。
Commented by Macky at 2010-07-06 09:04 x
私もこのCDは素晴らしいと思います。
声楽部分については当時の日本音楽界の限界がハッキリと表れていると思います。特にテノールは子供のような蚊細い声でいただけません。
しかしそのような状態の日本へ来日してこのような素晴らしいベートーヴェンを演奏したコンヴィチュニーは本当に素晴らしいと思います。
また、貴方様の文中に出てくるブラームスSym1のレコード録音は私にとって幼少時よりの愛聴盤です。
貴方様がお持ちのレコードは何なのかが不明ですが、国内盤のLPにはたしかに擬似ステレオのような物もあったようです。
しかしこのレコードのオリジナルは本物のステレオ録音です。
私の持っているオイロディスク・レーベルのLPもステレオですし、初CD化された1988年に東ドイツから発売されたCDではLPよりずっと高音質でコンヴィチュニーの名演を堪能できます。
私は1988年にこのCDを入手してからはCDを宝物のようにして聴いています。
Commented by noanoa1970 at 2010-07-07 08:13
Mackyさん
コメントありがとうございます。
コンヴィチュニーの音源が細々ではありますが、こうして登場することは、誠ににうれしい限りです。
ブラ1はCDでも入手していて、まだ確認はしていませんが、拍手入りの・・・ライブと、拍手なしのものを所有していますが、どうも演奏が異なるように思います。エテルナ・・・オイロディスクの音盤では完全ステレオとのことですから、きっとそうなのでしょう。モノラルにしろステレオにしろコンヴィチュニーの音楽の価値が変わるわけではありませんから、いいことにしましょう。最近ではコヴェントガーデンでの「指輪」から「ワルキューレ」が発売となりましたし、SKDとの「新世界」が発売となりました。モノラルですが、バンベルクとのものと1味違った「新世界」が堪能できます。「指輪」も、小生は「ラインのおうごん」を海賊盤で所有しておりますから、いずれ全曲発売となる可能性があると思います。今後は、日本公演の残りと、ソ連によって押収された音源の復刻が望まれます。
Commented by Macky at 2010-07-08 07:08 x
noanoa1970さま
早速のご返答ありがとうございました。
貴方様はずいぶん色々な音源を入手されているのですね。
コンヴィチュニー指揮のブラームスSym1にライブ録音の物があるとは知りませんでした。できればレーベル・番号などをご教示いただけないでしょうか。
私が持っている東ドイツ盤のブラームスSym1のCDはオイロディスク・レーベルのLPで発売されていたものと同じ録音です。スタジオ録音のステレオ録音です。日本では1960年代にキングから発売されていた録音と同じもののはずです。
コンヴィチュニーのワーグナーも素晴らしいですよね。
「指輪」の録音があるとは知りませんでした。
今後は色々とチェックしていきたいと思います。





Commented by noanoa1970 at 2010-07-09 06:23
Macky さん
お尋ねのCDは以下の通りです。
Hos11コンヴィチュニー:ブラームス1番 60’Li
ゲヴァントハウス管 米盤CD-R。
1960、4月4日、ライヴ。
ただしこのCDーRが正規盤と同じ音源なのかは目下不明です。小生には違う演奏に聞こえますが。ブル4の例もありますから、その当時の東西のドイツ音楽界の関係はかなり複雑なので、真相はわかりません。

尚小生が正規CDで所有のものは、Ars Vivendi MRC023 で、大フーガ変ロ長調 とカップリングされたもので、これは多分オイロディスク盤と同じ音源と思われます。