知られざる作曲家

以前小生は、「小津安二郎」の映画「晩春」の1シーンを「二人のリスト」というタイトルで書いたことがある。

それは、大学教授とその弟子が、鎌倉の教授の家で、研究論文の草稿をしているシーンでのこと。
学者のフリードリッヒ・リスト(Friedrich List)と作曲家のフランツ・リスト(Franz Liszt)を少し混同した弟子が、教授から「Zが入るのが作曲家だ」とたしなめられるシーンのことを、印象的だったので、ブログに書いたものだ。

同じブログ記事に、弟子が教授の娘を誘って演奏会に行く約束をしたのだが、娘が約束を果すことが出来なかった「巌本真里バイオリン独奏会」のシーンd0063263_11255356.jpgでの演奏品目と同時にバックで流される、聴きとりにくいが美しいヴァイオリンのメロディを、小生は「フォーレ」の曲ではないかと思っていたのだが、ある方から、この曲は「ラフのカヴァティーナ」だと教えられ、そのころ入会していたNAXOSの音楽配信サイトを検索し、確認してみたところ、編曲の違いはあれど、まさしくその音楽は「ラフ」:のものであった。

それで少し興味を持って「ラフ」について当ってみたのだが、2006年当時には「ラフ」に関する情報らしきものがほとんどなく、CDもNAXOSにコンピレーションアルバムがあるのみで、収録曲も「カバティーナ」のみという状態であった。

それ以来「ラフ」という作曲家のことは脳裏から離れていたのであったが、先日ウイキペディアを検索すると、さすがにきちんとしたプロフィールや今まで知られていなかったラフの作品の数kらずが記されているではないか。

小生は「ラフ」を、小品の作曲家だとばかり思っていたが、それはとんでもない間違いで、なんと交響曲を11曲も書いているし、バイオリン、チェロ、ピアノの協奏曲を5曲も書いている、知られざる大作曲家であるということがわかったのであった。

ラフの作品が聴けるのは、今後の楽しみの1つでもある。

CDは41品目と少ないが、かつて調べたときには考えられないほどの充実ぶりだった。

何があったのかは知る由もないが、今まであまり見向きされなかったものに光があたろうとしていることは、どうやら間違いないようで、3月に発売となる予定のフランツ・コンヴィチュニーがゲヴァントハウス管弦楽団を率いて1961年来日し、ベートーヴェン交響曲全曲を演奏した時の一つ、日d0063263_1213352.jpg比谷公会堂での幻の「第9」が約50年ぶりに初音盤化されるのも、一時の売らんが為のものにとどまらない(需要はそれほど多くないと推測可能だから)、時代の流れや、知られざるものの新たな発掘というだけにとどまらないものがあるように思えてくるが、それがなんであるのかはよくわからない。

ともあれ「選択肢」が増えることは悪くはない。
かつてのように、音盤化されるものが、すでにいくつかのフィルターによって、チョイス・・逆にいえば振り落とされる中にあって、クラシックのブランド化の真っただ中からなかなか抜けきることができなかった長い時代があったし、今でも多分にその傾向はあるが、「芸術評論家」がいまや存続できないのと同次元で、忌まわしきフィルターが、だんだん取り払われれていくのは非常に望ましいことである。

しかしこうなると、享受する側の質が問われるのも事実。
自分の「価値観」というものが強く求められるのであろう。

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by noanoa1970 | 2009-02-24 11:35 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)