フィデリオを見る

d0063263_14214831.jpg
数日前大須のショップでLDを漁っていて見つけた。
目に入った「フィデリオ」という帯タイトルだけで入手した。

最近ではLDは貴重品というか絶滅危惧種というか、いやもうとっくに絶滅してしまっているのだが、小生は今もなおLDの愛好者である。

特にオペラはDVD化されているものも多いが、大半は日本語字幕のないものばかりだから、そういう意味でもそしてこれが一番の魅力なのだが、何しろ安価なことだ。

もちろん中古で在庫数は少ないから、選択の範囲は狭まるが、未だ見てないものがあれば入手するようにしている。

演奏者も大抵は当時の第一級の人たちが多く、外れることはない。

「フィデリオ」はなんと500円で新品同様のものが入手できたから、演奏者など注意するべくもなく即座に入手し、家に帰ってよく見るとそれは素晴らしい演奏者たちのものであることが分かった。

以下の配役と演奏である
ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲
 レオノーレ:ギネス・ジョーンズ(ソプラノ)
 フロレスタン:ジェイムズ・キング(テノール)
 ロッコ:ヨーゼフ・グラインドル(バス)
 マルツェリーネ:オリヴェラ・ミリャコヴィッチ(ソプラノ)
 ヤキーノ:ドナルド・グローブ(テノール)
 ドン・ピツァロ:グスタフ・ナイトリンガー(バス)
 ドン・フェルナンド:マルッティ・タルヴェラ(バス)、他
 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団
 カール・ベーム(指揮)
 演出:グスタフ・ルドルフ・ゼルナー
 映像監督:エルンスト・ヴィルト
 1970年、ユニテル制作

LONDON:UnitelからのLDオペラシリーズのベームの演奏は、「エレクトラ」もそうであったが、多分演奏が先にあって、後でそれに映像を加えたものだと思われるところがあって少し口パク気味に見えるが、それはさておき演奏自体は素晴らしいもの。

逆にオペラ実写の映像より、映像表現が細部にまで力が行き届いているから、細かいニュアンスがよくわかり、ライブ感覚は無くなるが、こういうものも好感が持てる。

「エレクトラ」では無かった序曲におけるベームの指揮姿も「フィデリオ」では収録されている。

独唱陣はそうそうたるメンバーで、これだけの優れ者たちを集めた演奏はそうざらにはないし、それぞれが熱の入った、そして素晴らしい歌唱を披露している。

ほとんど完璧・・・このようなオペラはめったにないと思われるほどであることに、オペラの内容はさておいて感動した。

ベートーヴェンの唯一のオペラである「フイデリオ」は、「レオノーレ」という名前をつけたほうが良いと思うほど、牢獄にとらえられた夫を救出するために、男装をしてまで牢屋番の手伝いをしにきた女性が、愛と勇気をもって夫を救出するという、女性の武勇伝であり、ベートーベンが得意とする「苦悩を乗り越えた歓喜、そして自由」がテーマである。

小生は以前からこのオペラを、オペラではなくたとえば第9交響曲のような、壮大な交響曲的に聞いてきたことがあったが、今回映像とともに見て、まんざらその感じが間違ってはいなかったことを改めて認識するにいたった。

オペラにしなくても、ベートーヴェンならば、同じようなテーマと内容をもった合唱と独唱付きのオラトリオ風の交響曲にしても、十分だったと思うのは失礼であると思うが、いかがであろうか。

「自由の歓喜」が、この場合は政治犯として牢獄にとらえられた人物を救うこと、そして同じく地方の役人によって不当に弾圧され牢獄送りとなった囚人たちも救われることによって得られるのだが、オペラのストーリーによってベートーベンの意図したであろう大きな自由への賛歌が矮小化されてしまったのではないかと思ってしまうところが見えた。

印象に残った所としては、ピツァロの命令で、レオノーレと看守長ロッコが、牢獄にとらえられたフロレスタンの墓穴を掘るところ。

死を前にして何か飲み物を、というフロレスタンに、妻のレオノーレが、ロッコに頼み込、ワインと懐から2日前のパンだと言って差し出し与えるとろ。

「パンとワイン」というものが象徴するものは、やはりキリスト教の神だから、このシーンだけで、フロレスタンが救出されること間違いなしと、見る人(キリスト教徒なら特に)はわかるはずだ。

ナイフをもってフロレスタンを殺害にきたピツァロの前に立ちふさがるレオノーレ、絶体絶命のピンチをいかに乗り切るか、どのようにしてこの難局を乗り切れるだろうかとハラハラしてみたが、レオノーレは懐から拳銃を取り出した。

そういえばこの時代には、すでに大砲やピストルがあったカラおかしくはないのだが、小生には思いもつかぬことだったことを申し添えておく。

[PR]

by noanoa1970 | 2009-01-12 14:18 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)