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これは驚き

先日書き記した「ヨハネス・クリュソストモス」のΙωάννηςはギリシャ正教会で用いられているコイネー表記の現代ギリシア語読みをカナ転写するとヨアニスないしはイオアンニスという発音となるという。

さらに、この「イオアニインス」をロシア正教会では、名の中世ギリシア語発音「イオアンニス」が教会スラヴ語に転写され、「金の口」の部分を教会スラヴ語に直訳したイオアン・ズラトウースト(Иоанн Златоуст)で呼ばれるとされる。

つまり、名の「イオアン」は中世ギリシア語の発音「イオアンニス」が教会スラヴ語を経てロシア語風に再建された読み(イオアン)に由来するということらしい。

この事実を知ることとなって驚いたことは、スラヴ語に直訳したイオアン・ズラトウースト(Иоанн Златоуст)で呼ばれるとある、「ズラトウースト」の部分。

ひょっとして「ズラトウースト」は、あの「ツァラトゥストラ」とか「ザラストロ」「サラストロ」と呼ばれ、R・シュトラウスの交響詩やモーツァルトのオペラになったあの人物で、ゾロアスター教の始祖と呼ばれる人と同じではないのだろうか。

急ぎ調べたが、時代はかなり違うからそれとは別人であることとなったが、ゾロアスターは、一人ではなかったという説もあり、時代はかなり後世にまたがるようだっともいわれるようだから、「ヨハネス・クリュソストモス」もゾロアスター教の影響を何らかの形で受け、「イオアン」=「ヨハネス」という名をつけたのかもしれない。

何らかの形とは、ゾロアスター教の歴史的普遍性にかかわるが、ヨーロッパ、中近東、インド、中国、果てまたに日本にまでその巨大宗教の力が及んだとも言われるから、ユダヤ興、ローマカトリック、西方教会、東方教会、ロシア正教の教えの中に、何らかの影を落としていることは間違いないようだ。

しかしスラブ読み・発音がゾロアスターと近いということは、ウクライナやキエフなど南ロシアは、西洋というより中近東文化の人種であろう、したがってもちろん人種の混じりはあるが、オリジナルは中近東や付近の遊牧民がその出自だという推測が成り立つのかもしれない。

名説教で知られるキリスト教の聖職者の名がゾロアスターと同じルーツとは知らなかった。

何を語ったかはわからないが、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」を聞いてみたが、いつ聴いてもやはりこの音楽、映画のシーン「猿とオベリスク」が脳裏に浮かんでしまう。

映画を思い出さないような演奏はないものかと、アレコレ聞いてみたが答えは同じだった。

これはまさにキューブリックの功罪だ。

by noanoa1970 | 2008-12-01 17:52 | 歴史 | Comments(0)