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ブリティッシュロックの歌姫

学生時代FM大阪の深夜番組で、もう誰だったかは忘れてしまったが、女性のパーソナリティが2人、いかにも眠そうな声で、彼女たちの好きなアルバムを紹介する番組があった。

下鴨の下宿でその番組を聞いたのを覚えているから、あれは1967年のことだ。

そこで彼女たちが取り上げたのは、今まで聞いたことのないような得体のしれない音楽であった。

「フェアポートコンヴェンショウン」そして「ペンタングル」という名前のイギリスのバンドであった。

最初の曲がかかった時はラジオのスウイッチを切ってしまおうとも思ったが、しばらく聴いているうちに小生は、そこでかかる多くの音楽に、知らず知らず引き込まれて行った。

アルバムタイトルは忘れたが、そこでは何と2つのバンドのアルバムが全曲にわたり流れたのであった。

フォークともロックとも、プログレッシブとも、サイケデリックとも形容のしようがないような、しかしどこかで耳になじむその音楽と、中で歌っている女性ボーカルの素朴でかわいらしい、しかしどこか風変わりで神秘さを思わせるような歌い方とその声は、番組が終わってからも耳に残るのであった。

それから数年後、松ヶ崎のアパートで今度はあの時と同じような、女性ボーカルの、しかし音楽的にはさらに変わった音楽に遭遇することとなった。

トラッド、JAZZ,ロック、クラシック、R&B、プログレなどさまざまなジャンルの音楽が入り混じり、まるでJAZZがバイオリンを取り入れたように、ロックがクラシック音楽を取り入れたように、ピンクフロイドがシンセサイザーを駆使したように、4ビートあり8ビートもあるその音楽は、さまざまな音楽のジャンルを飛び越し、しかも奇をてらうことがない良質のものとして耳にはいりこんだ。

女性ボーカルが活躍するそのバンドの名前を「カーブドエアー」といった。

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フェアポートコンヴェンションの「サンディ・デニー」


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ペンタングルの「ジャッキー・マクシー」


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カーブドエアーの「ソーニャクリスティーナ」

この時代の特徴なのだろうか、3人とも髪が長い。
マリアンフェイスフルも同じような髪形をしていたし、日本でもデヴュー当時のカルメンマキがそうであった。

「長い髪の少女」という歌があるぐらい、このころはこのような髪形が一世を風靡したが、どうも世の男性は、(小生もその一人であるが)髪の長い女性には特別なものを感じるらしい。

彼女たち3人のいるそれぞれのグループが、新しい音楽経験をさせてくれることとなり、ブリテン諸島のトラッド、イギリスクラシック音楽、などとアメリカのブルーグラス、カントリー、ヒルビリー、そして日本の本来の意味でのフォークソングとの関連性について興味を持つ原点となったのである。

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本日はそんな思い出のアルバムから「カーブドエアー」の「ファンタスマゴリア」を聴いてみる。

「ファンタスマゴリア」というのは、走馬灯への幻想、あるいは幻想が走馬灯のように駆け巡る・・・そんな意味のことのようである。  

「ファンタスマゴリア -ある幻想的な風景-」
 / カーヴド・エア  1972年発売
MARIE ANTOINETTE
MELINDA (MORE OR LESS)
NOT QUITE THE SAME
CHEETAH
ULTRA-VIVALDI
FANTASMAGORIA
WHOSE CHOULDER ARE YOU LOOKING OVER ANYWAY ?
OVER AND ABOVE
ONCE A GHOST, ALWAYS A GHOST


Sonja Kristina (vo,ag)
Darryl Way (violin,vo,p)
Francis Monkman (g,key,syn)
Mike Wedgwood (b,g,vo)
Florian Pilkington-Miksa (dr)

ソーニャのボーカルは幻想的で、タイトルとドンピシャ。
ダリルウエイが見事なバイオリン裁きを見せる。
多分クラシックから入った人であろう。かなりしっかりした演奏をしている。
モンクマンのキーボードも基礎がしっかりできているようで速弾きでも全く破綻がないのが見事。
   

by noanoa1970 | 2008-10-23 10:36 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)