Hobo’s Lullaby

ウッディ・ガスリーの作品の中でも、取り分けて素晴らしい曲の一つ、Hobo’s Lullaby:「さすらい人の子守歌」。

その昔、はしだのりひことシューベルツが、同名の曲を歌っていたが、これはおそらくフランツ・シューベルトの、リュベックの詩による歌曲と、ウッディ・ガスリーのHobo’s Lullabyからヒントを得たものと推測される。

はしだのりひこは、さすらい人の姿を、旅に疲れた若い2人の男女に置き換えてしまったが、根はHOBOにあったことは、ほぼ間違いないだろう。

当時フォークを志した人で、ウッディ・ガスリーの強い影響を受けなかった人はいなかった。

そんなことが想像に難くないほど、さまざまなフォークミュジシャンたちは、ウッディをコピーして、それに日本語の歌詞をつけて歌うことが多かったのだ。

高石ともや、高田渡、古川豪といった人たちはその典型である。

ウッディオリジナルはもちろん素晴らしいのだが、歌が優れているだけに、多くのミュジシャンたちによって歌われるこの歌。

ウッディの息子アーロ・ガスリーのフィンガーピッキングによる、よりスローに仕上げられたものもいい。
そして小生が最も好きなのが、エミルーハリスのかすれた美声のもの。

FOLKWAYS~アメリカの心~というオムニバスアルバムの9曲目に収録されている。

この録音は、1988年フォークウェイズレコードを守るため、ボブディラン、ピート・シーガーなどが、レッドベリーーとウディ・ガスリーの歌をトリビュートしたアルバム。
アルバムの収益は、フォークウェイズレコードコレクションを維持運営するため、スミソニアン協会の資金にあてられたという。

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曲目 アーティスト アルバム
Folkways: A Vision Shared-A Tribute To Woody Guthrie And Leadbelly
25DP-5219
1988.09.28
CBS/SONY RECORDS
1 Sylvie: SWEET HONEY IN THE ROCK
2 Pretty Boy Floyd :BOB DYLAN
3 Do Re Mi :JOHN MELLENCAMP
4 I Ain't Got No Home :BRUCE SPRINGSTEEN
5 Jesus Christ: U2
6 Rock Island Line: LITTLE RICHARD WITH FISHBONE
7 East Texas Red :ARLO GUTHRIE
8 Philadelphia Lawyer :WILLIE NELSON
9 Hobo's Lullaby :EMMYLOU HARRIS
10 The Bourgeois Blues TAJ MAHAL
11 Gray Goose :SWEET HONEY IN THE ROCK
12 Goodnight Irene: BRIAN WILSON
13 Vigilante Man :BRUCE SPRINGSTEEN
14 This Land Is Your Land: PETE SEEGER WITH SWEET HONEY IN THE ROCK, DOC WATSON & THE LITTLE RED SCHOOL HOUSE CHORUS


hobo's lullaby By Goebel Reeves
拙い小生の訳で恐縮だが、書き留めておくことにした。

Go to sleep you weary hobo
Let the towns drift slowly by
Can't you hear the steel rail humming
That's a hobo's lullaby
お休み、HOBO、疲れ切った体を横たえて
町はゆっくり暮れなずんでいく
汽車が鉄道を走る音が聞こえないか
それがお前の子守歌さ

Do not think about tomorrow
Let tomorrow come and go
Tonight you're in a nice warm boxcar
Safe from all the wind and snow
明日のことなんか考えたってしょうがないことさ
明日は明日の風任せ
今夜は暖かい屋根つきの貨物列車で眠れる
どんな天気でも心配ないさ

I know the police cause you trouble
They cause trouble everywhere
But when you die and go to heaven
You won't find no policemen there
厄介なのは、取締の奴らだとわかっている
どこに行っても、奴らは邪魔をする
でも、もし天国に行けたら
そこには奴らはもういないだろう

I know your clothes are torn and ragged
And your hair is turning grey
Lift your head and smile at trouble
You'll find happiness some day
着るものは汚れ、あちこち破れかけ
いつの間にか髪の毛も灰色になってしまった
でも、くじけずに、どんな時でもほほえみを忘れないで
そうすれば、いつか幸せが来るだろう

So go to sleep you weary hobo
Let the towns drift slowly by
Don't you feel the steel rail humming
That's a hobo's lullaby
だから、ゆっくりとお休みHOBOよ
町はゆっくり暮れなずんでいく
汽車が鉄道を走る音が聞こえないか
それがお前の子守歌さ

HOBOの仲間で有名だった、ブルースハープで汽車の汽笛のまねをする達人でもあった、ある黒人の男が長い放浪生活が原因で、肺炎で死んだとき、アメリカ全土からHOBOたちが彼の葬式に集まったという。

そんな逸話が残されるほど、HOBOたちの人間的暖かさは、同じ境遇の人たち同士で分かり合えたことの結果であろう。

NGDBの「アンクルチャーリーと愛犬テディ」に出てくるチャーリーおじいさんもこうしたHOBOの仲間であったのだろうか。
ブルースハープとギターで、「ジェッシージェームス」:を歌っている昔のテープが収録され、続いて、これもまたHOBOの生活のための稼ぎ技、酒場でのタップダンスの名手J・Jウォーカーのオリジナル「ミスターボージャングル」へと曲が変わるのも、何かを意味するものと思う。

NGDBもJJウォーカーも、おそらくHOBOへの郷愁を強く持っていたのではなかろうか

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by noanoa1970 | 2008-08-13 10:57 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by pororompa at 2008-08-14 12:04
この歌もいい歌ですね。岩井宏のしみじみとしたバージョンも好きです。「Vision Shared」は映像版があって、私も持っていたのですが、水害でなくしてしまいました。確か、エミルー・ハリスが、アーロ・ガスリーといっしょに歌いますね。いい感じの映像でした。これ観てエミルーのファンになりました。
NGDBの「チャーリーおじさん」もいいアルバムですね。若い頃にライヴを観ました。これもなくした一つなんですが、買い戻さなくてはと思いました。
Commented by noanoa1970 at 2008-08-14 16:17
岩井宏も歌ってたのですか?昔京都宝が池のそばのホンキートンクで彼がバンジョーを弾いているのを見たことがあります。とても上手なのに驚きました。録音では「紙芝居」しか聞いたことがありませんが、加川良の「下宿屋」の中に、シバと一緒に、高田渡の山科の下宿での風景が綴られていますね。「Vision Shared」の映像版はLDで持ってますが、最近LDはほとんど見る機会がなくなってしまいました。エミルーの、チーフタンズをバックにした録音があったはずだと、探したのですが、未だ見つかってません。「チャーリーおじさん」は買いなおしてでも聞くべき録音でしょう。小生はいまだLPですが・・・・