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散歩中耳にした若い主婦たちの会話から・・・

愛犬シバと自分自身のため、
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小生は毎日の朝夕の散歩を欠かしたことが無い。
シバが我が家に来て、かれこれ7年になるが、いまや日課となってしまっている。

当の犬本人は、「散歩に行くよ」:と声をかけると、ご主人様の前に来て、散歩用の綱を付けやすい、ドンピシャの位置で待機するようになった。

散歩のコースは大まかに2通りあり、朝は付近にある里山近くを回り住宅地を抜けて帰るコース、夕方は住宅地の中にある遊歩道を抜け、公園を回って帰るコースだ。

シバは面白いことに、朝夕のコースを認識しているようで、玄関を出ると朝は左方面に、夕方は右方面に向かおうとする。

何度か朝夕のコースを逆にしたことがあったが、そのときでも夕方は、朝とは逆の方向に行こうとするのである。

どうやら同じコースを行くことを「良し」とはしていないようで、犬には犬の思いがあることが分かって、なんだか嬉しい気分になるときがある。

で、今朝はいつもどおりのコースで、里山から住宅の中を通っての帰り際、道路の反対に、幼稚園の子供をバスに乗せた後だろうか、数人の若き主婦が立ち話をしている。

シバは用を足すために、そこらじゅうの立ち木により、滞留するから、そしてどうしても2里以上の立ち話は往々にして大きな毛となるようであるから、彼女達の話す声が聞くとは無しに耳に入ってくる。

話題はどうやらパンを作ろうと思って無塩バターを探したのだが、どこにもないので、仕方なく、無塩マーダリンを買ってきて作ったということのようである。

スーパーからバターがなくなったという話は、ニュースでも取り上げていて、小生も大手スーパーの食品売り場を見たことがあるが、やはりバターは、缶入りの高級品が少し置いてあるだけで、四角いカミの容器のものは一切入荷して無い様であった。

なるほど無塩バターの代わりに、無塩マーガリン・・・なかなかやるものだ等と感心していると、話は発展し、バター不足のことに及ばないで、有塩バターで作ってもチャント美味しいパンが出来る・・・などという話になった。

主婦A「塩の量だけの問題だから、少し塩分を減らしておけばいいのよ」
主婦B「なんだ、そんなことでいいの」
主婦C「それなら、ワザワザ無理をして無塩バターを探さなくてもいいわね」
主婦A「そうよ、塩加減さえ注意すればいいのよ」
主婦A「無塩バターのときと、全く変わらないものが出来るわよ」

道路の反対にいても、よく聞こえるような声高に、彼女たちは会話してた。
彼女達の子供は、お母さんが手作りしたパンを食べられて、幸せでいいな・・・創刊汁と共に、彼女達一体、パンに無塩バターを使う本当の理由をご存じないのだろうか、彼女達の作ったパン、かなり硬いんじゃなかろうかナドと、いらぬ心配をしてしまった。

パン作りを基本どおりに覚えた方ならご存知だろうが、パンを作りの工程は
小麦粉に水を加えて練る作業から始まる。

そのとき食塩を入れるのだが、それはイースト菌の過醗酵を抑える目的と、
小麦粉からグルテンを効果的に引き出す為のもの。
さらに無塩バターを加えてさらに練り込み、醗酵に進む。

このとき有塩バターを使うと、2つ問題が出る、その1つは塩加減が重なり塩分調整が難しくなるということ。
さらに過食塩は、醗酵が進みにくく、とても硬いパンになりやすいから、より発酵をしやすいようにイースト菌にわざわざ砂糖を加えるわけなのだ。

だから、無塩バターを使うのが基本中の基本であるのだが、残念なことにこの主婦A、塩加減にばかり目がいっていて、肝心の発酵にまで、知恵が回らなかったようである。

同じことを小生も試したことがあるが、やはり発酵が芳しくなく、キチンと発酵が進まないから、パンが少し固く仕上がり、重くなってしまう。

でも、まあ家庭で作ることで、しかも最近の若い主婦にしては、子供のためにパンを焼くということだけでも、立派であると、小生はほめてあげたい気持ちになった。

そのうち子供が「お母さんこのパン少し固い・・・」などというようになれば、そこで気づくのかもしれない。

しかし今では無塩有塩にかかわらず、バターがないのだから、バターの香りたつ美味しいパン。
どう頑張っても作れない状況だ。

農政の失敗という評価がされるが、これは何も牛乳だけに限らない。
牛乳を大量に廃棄したニュースは、まだ生々しく残像としてあるくらいなのに、今度はバターのみならず、牛乳までもが不足するというから、減反政策の見通しの甘さといい、牛乳といい農政の欠陥はどうしようもない。

いったん「減」したものを復帰させるには、相当の力量と年月がかかることぐらい、素人でもすぐに考えられることなのに・・・

人口増加あるいは高齢長寿化と食料機器による国家存亡の危機は、地球温暖化等の悪害より深刻で卑近な問題をはらんでいる。

にもかかわらず、なんら対策が取れないのでは、つまるところ映画「ソイレント・グリーン」が、実感として現実性を帯びてきたこのごろである。

by noanoa1970 | 2008-06-25 11:43 | 「食」についてのエッセイ | Comments(0)