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DENON:DL103試聴記

前述のレコードプレーヤー「配置換え」に伴い、フォノカーリッジを新規導入した。
今まではFRのFX-1Lというトランスで、オルトフォンを使用していたが、2つともすでに20年を超えるから、ソロソロ寿命だし、先日不幸なことに、針先の清掃の際、MC30のカンチレバーを折ってしまった。

それでコストパフォーマンスとメンテナンス、1970年以来続く歴史的長寿命製品に敬意を払い、DENON製にすることにした。

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使用のアームは一点支持のオイルダンプ方式のAC3000MCだから、調整がかなり難しく、特殊な形状の針では上手く性能が発揮できない恐れを考慮し、いまだに伝統的な丸針を使っている103にしたのだった。

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購入直後、新潟のK先輩から103Rがいいとの電話があったが、オルトフォンの3分の1の価格で購入できるから、必用なら、もう1本追加すれば済む事とした。

DENON:DL103試聴記_d0063263_10515294.jpgここ3日ほどCDを全く聞かずにレコードばかり聞きなおし、小生がリファレンスとする、「浅川マキ」の紀伊国屋ライブを聞いてみた。

このレコードは、装置を入れ替えるたびに、音の自己採点をするために長い間使ってきた録音の1つで、勿論中身もよいのだが、ライブだけあって再生はかなり難しい部類に入る。

A麺で出しのアコースティックギターのPPP音によるグリッサンド。
曲による浅川の声の変化。
ギター低音部の音の深さと響き。
エレキとアコースティックの掛け合いの音の表情の変化。

こんなところが聞き者であるが、ようやく調整が上手くいったプレーヤーで再生してみると、かつては、「シ」音が強めに・・・少し耳障りだったのが、見事なほどに少なくなっているし、聴衆の拍手が、会場に何人居るのかが分かるようなリアルさで知多割ってきた。

アコースティックギターの音も、会場を転がるコーラのビンの音も(コーラの便だと分かるリアルさがまた、たまらない)タバコをすっている聴衆が居ることを思わせるような(これはだいぶオーバーな表現だが)・・・ライブ独特の、しかも年末の紀伊国屋での様子が今まで以上に伝わってきて、大満足であった。

ヘッドアンプのレンジの広さがいいのだろうか、やはりDENOはヘッドアンプ増幅で正解のような気がするが、ゆくゆくはインピーダンス40Ωのトランス増幅で聞いてみたい気もする。

特筆すべきは、「にぎわい」での歌い方が、それまでの「別れ」「赤い橋」とは違い、微笑みながら(少し口をすぼめたようにして)歌う声に変身していることに初めて気づいたこと。

今ひとつは、B面「ガソリンアレー」の前口上で、マキが観客に今の時間を尋ね「20分過ぎたの?72年はいい年じゃないな・・」というところ。
いままでこのセリフは、
「72年は・・・」とは聞こえなく「来年は・・・」といつも聞こえていたのに、初めて本当は「72年はいい年じゃないな・・・」と言った事が分かった。

ヘッドアンプ+アームの微調整+DL103のシナジー効果が発揮できた、小生には稀なアナログ体験であった。

オーディオファンには舶来もの信仰が古からあり、小生も多分にその洗礼を受けてきたのは事実だが、国産の製品の中にも、見直すべき相当優れ物があることを改めて思い知った所存。

50年たって、やっと開眼できたような気持ちになるこのごろである。

by noanoa1970 | 2008-06-18 10:52 | オーディオ | Comments(8)

Commented by こぶちゃん at 2008-06-18 17:32 x
カートリッジは高ければ良いというものではありませんよね。
要は何を聴くか?でしょうね。

レコード・ライブラリーに高音質、重量仕様で盤面がキレイなら
ともかく、ロックやポップスの盤面の荒れた外盤が多いなら、
圧倒的に丸針が有利ですよね。
なまじ、レンジが広いカートリッジで70年代の懐メロというか
ニューミュージックを聴くと録音のアラが見えて、ちょっと
ガッカリすることがあります。
だから少々レンジが狭かろうが、安い、品質・音質が安定している
DL103は大いに賞賛されるべきカートリッジでしょう。

ちなみに最近のオーディオ雑誌には、海外製カートリッジで
52,000円ほどで安い!と思ったら、中味はDL103。
ボディだけ金属のハウジングで固めたというものでした。
これを使うならDL103を自分で加工・改良した方が利口なのでは?
と思ってしまいました(笑)。
Commented by HABABI at 2008-06-18 23:06 x
こんばんは
DL103LCⅡを二つ持っています。と言っても、一つは針が折れて無くなっていますが。昔、よく使っていましたが、針交換費用が高いため、今は中古で手頃な値段で入手出来る舶来ものを専ら使っています。今、久しぶりにDL103LCⅡを使ってみましたが、音楽に集中できる、よい音です。
Commented by noanoa1970 at 2008-06-19 08:45
>こぶちゃんさん
低インピーダンスはトランス。DENONのような40Ωあるものはヘッドアンプがふさわしいのかもしれません。理由はよく分かりませんが、オルトフォンよりレンジが広く感じられます。

Commented by noanoa1970 at 2008-06-19 08:53
>HABABIさん
103シリーズは小生の知らない間に、その兄弟ブンが沢山増えてきたようです。ヘッドアンプですか?それともトランスで増幅でしょうか?
Lということで低インピーダンスでしょうからやはりトランスでしょうか?
昨夜ヘッドアンプをアキュフェーズからYAMAHAに変更。
思ったとおり、音が全体に柔らかくなりボーカルに艶が乗り始めました。アバドとグルダのモーツアルト21番のPコンの広域弦が聞くに堪えるようになって一安心です。現在はCD以上の総合力がLPに有ることを、改めて実感しています。
Commented by こぶちゃん at 2008-06-19 12:11 x
すごく昔、オルトフォンのSPU-AやMC30を持っていた時は
英国パートリッジのトランスを使ってました。
現在は、ベンツマイクロのL0.4を使っていて、こちらは
Ph01というGoldmund 初期のヘッドアンプをStudioの真下に
設置して使ってます。
http://www.shu-ks.com/zakki/benzmicro.html

このカートリッジはインピーダンスが14Ωと中途半端ですが、
設計が比較的新しいのでヘッドアンプの方が合うようですね。

昇圧トランスは設計にもよるのでしょうが、中~低域の
エネルギーが強く、聴き応えがありますね。
ただ、高域方向のレンジはやはり狭く感じますね。
Commented by HABABI at 2008-06-19 23:26 x
こんばんは
13Ωのようです。古いFRのトランスFRT-4で10Ωの設定にして使っています。アキュフェーズのプリ・メインアンプ内蔵のヘッドアンプでも、良く鳴っていました。オルトフォンのSPU-GEほどではないもの、低音が強調される感じがします。
今日、中古で入手したSHUREのM97xEが届きました。これも良い音です。我が家には、5台のLPプレーヤーと、今ではとても買えないSPU-GEから、数千円のものまで、十数個のカートリッジがあり、そのときの気分で使い分けています。面白いですね。
Commented by noanoa1970 at 2008-06-20 09:25
中古の場合、針の磨耗などの心配があると思うのですが、信用できるショップが、もしあるのでしたらご教示を!
Commented by HABABI at 2008-06-21 00:21 x
ヤフーのオークションで買っていますが、交換針を買うことになるだろうと覚悟を決めた上で、紹介文、写真、出品者の過去の評価から、”思い切って”買っています。一度、片側が断線していたカートリッジがあったのですが、連絡したら、返金してくれました。