DENON:DL103試聴記
前述のレコードプレーヤー「配置換え」に伴い、フォノカーリッジを新規導入した。
今まではFRのFX-1Lというトランスで、オルトフォンを使用していたが、2つともすでに20年を超えるから、ソロソロ寿命だし、先日不幸なことに、針先の清掃の際、MC30のカンチレバーを折ってしまった。
それでコストパフォーマンスとメンテナンス、1970年以来続く歴史的長寿命製品に敬意を払い、DENON製にすることにした。
ここ3日ほどCDを全く聞かずにレコードばかり聞きなおし、小生がリファレンスとする、「浅川マキ」の紀伊国屋ライブを聞いてみた。
このレコードは、装置を入れ替えるたびに、音の自己採点をするために長い間使ってきた録音の1つで、勿論中身もよいのだが、ライブだけあって再生はかなり難しい部類に入る。
A麺で出しのアコースティックギターのPPP音によるグリッサンド。
曲による浅川の声の変化。
ギター低音部の音の深さと響き。
エレキとアコースティックの掛け合いの音の表情の変化。
こんなところが聞き者であるが、ようやく調整が上手くいったプレーヤーで再生してみると、かつては、「シ」音が強めに・・・少し耳障りだったのが、見事なほどに少なくなっているし、聴衆の拍手が、会場に何人居るのかが分かるようなリアルさで知多割ってきた。
アコースティックギターの音も、会場を転がるコーラのビンの音も(コーラの便だと分かるリアルさがまた、たまらない)タバコをすっている聴衆が居ることを思わせるような(これはだいぶオーバーな表現だが)・・・ライブ独特の、しかも年末の紀伊国屋での様子が今まで以上に伝わってきて、大満足であった。
ヘッドアンプのレンジの広さがいいのだろうか、やはりDENOはヘッドアンプ増幅で正解のような気がするが、ゆくゆくはインピーダンス40Ωのトランス増幅で聞いてみたい気もする。
特筆すべきは、「にぎわい」での歌い方が、それまでの「別れ」「赤い橋」とは違い、微笑みながら(少し口をすぼめたようにして)歌う声に変身していることに初めて気づいたこと。
今ひとつは、B面「ガソリンアレー」の前口上で、マキが観客に今の時間を尋ね「20分過ぎたの?72年はいい年じゃないな・・」というところ。
いままでこのセリフは、
「72年は・・・」とは聞こえなく「来年は・・・」といつも聞こえていたのに、初めて本当は「72年はいい年じゃないな・・・」と言った事が分かった。
ヘッドアンプ+アームの微調整+DL103のシナジー効果が発揮できた、小生には稀なアナログ体験であった。
オーディオファンには舶来もの信仰が古からあり、小生も多分にその洗礼を受けてきたのは事実だが、国産の製品の中にも、見直すべき相当優れ物があることを改めて思い知った所存。
50年たって、やっと開眼できたような気持ちになるこのごろである。
by noanoa1970 | 2008-06-18 10:52 | オーディオ | Comments(8)
要は何を聴くか?でしょうね。
レコード・ライブラリーに高音質、重量仕様で盤面がキレイなら
ともかく、ロックやポップスの盤面の荒れた外盤が多いなら、
圧倒的に丸針が有利ですよね。
なまじ、レンジが広いカートリッジで70年代の懐メロというか
ニューミュージックを聴くと録音のアラが見えて、ちょっと
ガッカリすることがあります。
だから少々レンジが狭かろうが、安い、品質・音質が安定している
DL103は大いに賞賛されるべきカートリッジでしょう。
ちなみに最近のオーディオ雑誌には、海外製カートリッジで
52,000円ほどで安い!と思ったら、中味はDL103。
ボディだけ金属のハウジングで固めたというものでした。
これを使うならDL103を自分で加工・改良した方が利口なのでは?
と思ってしまいました(笑)。
DL103LCⅡを二つ持っています。と言っても、一つは針が折れて無くなっていますが。昔、よく使っていましたが、針交換費用が高いため、今は中古で手頃な値段で入手出来る舶来ものを専ら使っています。今、久しぶりにDL103LCⅡを使ってみましたが、音楽に集中できる、よい音です。
103シリーズは小生の知らない間に、その兄弟ブンが沢山増えてきたようです。ヘッドアンプですか?それともトランスで増幅でしょうか?
Lということで低インピーダンスでしょうからやはりトランスでしょうか?
昨夜ヘッドアンプをアキュフェーズからYAMAHAに変更。
思ったとおり、音が全体に柔らかくなりボーカルに艶が乗り始めました。アバドとグルダのモーツアルト21番のPコンの広域弦が聞くに堪えるようになって一安心です。現在はCD以上の総合力がLPに有ることを、改めて実感しています。
英国パートリッジのトランスを使ってました。
現在は、ベンツマイクロのL0.4を使っていて、こちらは
Ph01というGoldmund 初期のヘッドアンプをStudioの真下に
設置して使ってます。
http://www.shu-ks.com/zakki/benzmicro.html
このカートリッジはインピーダンスが14Ωと中途半端ですが、
設計が比較的新しいのでヘッドアンプの方が合うようですね。
昇圧トランスは設計にもよるのでしょうが、中~低域の
エネルギーが強く、聴き応えがありますね。
ただ、高域方向のレンジはやはり狭く感じますね。
13Ωのようです。古いFRのトランスFRT-4で10Ωの設定にして使っています。アキュフェーズのプリ・メインアンプ内蔵のヘッドアンプでも、良く鳴っていました。オルトフォンのSPU-GEほどではないもの、低音が強調される感じがします。
今日、中古で入手したSHUREのM97xEが届きました。これも良い音です。我が家には、5台のLPプレーヤーと、今ではとても買えないSPU-GEから、数千円のものまで、十数個のカートリッジがあり、そのときの気分で使い分けています。面白いですね。