ジョン・デンバー

ジャンルを問わず、彼の歌を好む人は多いと思う。
「オールモス ト ヘヴン ウエストヴァージニア ブルーリッジマウンテン シェナンドウリバー・・」でおなじみの「カントリー・ロード」は、一度や2度は聞いているはずだろう。

「ブルーリッジマウンテン」は「ブルーマウンテン」に有らず・・・偏(変)なこだわりで申し訳ないが、小生にはとても重要なことだ。

どちらも高い山を想像させるのだが、「リッジ」とは山の稜線のこと。
従って、それがブルーに見えるのは、雪解けの季節。

ブルーリッジマウンテンは、陽の当たらない多くの箇所には、雪がまだ残っていて、雪が解けて、青く輝いている稜線を髣髴させるから、青と白のコントラストが鮮明に出る言葉だ。

そのようなところは、ブルーグラス音楽の発祥の地、アパラチア山脈の山々であろう。

ブルーマウンテンには白のイメージが湧いてこない。
茶色のコーヒーのイメージしか・・・・

小生の住居のすぐ近くにある「OK牧場」というカントリー、フォーク、ブルーグラスの・・・毎週土曜日がライブハウスになる店では、必ずこの曲がリクエストされることでも、その人気度とポピュラリティが分かろうというものだ。

実を言うと小生、彼の録音したアルバムは、1枚も所有してないのだが、ある切っ掛けで、彼のある歌のことを思い出し、このエントリーをした。

ピーター、ポール&マリーの「悲しみのジェットプレイン」は、昔から彼らの曲の中でも、とりわけ好きなほうであったが、その作者がジョン・デンバーだと知ったのは、かなり後になってからのこと。

ベトナムに派兵されようとする男を、朝早くタクシーが向江に来て、クラクションを鳴らす。

男は恋人と、もう2度と会うことは出来ないかもしれない朝を迎え、別れを惜しみつつ行きたくはないが、仕方なく迎えのタクシーに乗り込み、招集の基地まで向かうジェット機に乗るために、空港へと向かう。

(彼女の家の中ではなく、家の前で別れを告げるところが、また悲しみを誘うところだ)

再びここに帰れることを信じて・・・・

そして、「Oh, babe, I hate to go.」という箇所のマリーの歌声が、やけに耳に残ったものだ。

時は1969年、ベトナム戦争の真っ最中であったから、一見普通のラブソングとも取れる歌詞が、時代を背景にした特別の意味を持って聞こえたのであった。

さらに、1998年映画「ハルマゲドン」で、この曲が効果的に・・・地球に巨大小惑星が衝突する事が判明し人類は滅びる危機に陥る。掘削のスペシャリストブルース・ウィリスと、その仲間達が立ち向かう映画であるが、彼らがロケットで出発する前、(恐らく生きて帰れないと思っていたであろう)酒を酌み交わしながら、全員で歌うのがこの「悲しみのジェットプレイン」。

大抵のことでは、涙を流すことはない小生だが、このときは涙腺がひどく緩んでしまった。

PP&Mの歌を、そしてその意味を、また決定的だったことは、その映画の1年前1997年に、作者のジョン・デンバーが、自ら操縦する自家用飛行機のトラブルで、事故を起こし帰らぬ人となったことを知っていたからであった。

ハルマゲドンのプロデューサーたちが、そのことを知っていて、映画に「悲しみのジェットプレイン」を挿入したのか否かは分からないが、多分彼への追悼もかねてのことであったと解釈したい。

今何故ジョン・デンバーかという、もう一つの理由は、小生が好んで聴くカントリー、ロック&ブルーグラスのNGDB・・ニッティ・グリッティ・ダートバンドの「永遠の絆VOL.2」のメイキングビデオに、丸めがの田舎の少年のような風体の・・・(かぐや姫の「南こうせつ 」が真似をしていた)イメージしかなかったジョン・デンバーが、とても落ち着きのある、上品そうな 中年となった映像があり、中で今でもリリーズし続けている「stonehaven sunrise album」から初めてシングルカットされたと自ら解説する「And So It Goes」(Paul Overstreet-Don Schltz)を、NGDBをバックにして歌うメイキングシーンを見たからであった。

このとき彼は50歳を超えていたと思うが、あのマイルドな、そしてソフトで温かみのある声はいささかも変わらなく、若いときよりも深みを増しているように聞こえて、歌詞の中の「Ashes to ashes, dust to dust」は、映画「ハルマゲドン」の、人類の破滅をも予感させる内容と共に、心の中突き刺さってきたのだった。

歌詞の中の
「Ashes to ashes, dust to dust」・・・・
「And so it goes with everything but love」を重ね合わせると、そこに有るのは、キリスト教的・・宗教的境地だろうか。

「Ashes to ashes, dust to dust」とは、クリスチャンの方ならご存知かも知れないが、「灰は灰に、塵は塵に」という意味の祈祷文の一文で、キリスト教の葬儀の時の「埋葬の儀式」の一節である。

そしてこの一節の原典は、旧約聖書の創世記第3章「蛇の誘惑(失楽園)」19節の以下の部分であるとされている。
「In the sweat of thy face shalt thou eat bread,till thou return unto the ground; for out of it wast thou taken:for dust thou art, and unto dust shalt thou return.」

アダムとエヴァが、悪魔=サタンとされる「蛇」の差し金によって、禁断の実を食べてしまい、(所謂「人間」となり)、神の逆鱗に触れ、エデンンの園から追放されるというあのシーンであるから、興味がわく。

そして祈祷文は以下のようである

「forasmuch as it hath pleased Almighty God of his great mercy to take unto himself the soul of our dear brother here departed, we therefore commit his body to the ground; earth to earth, ashes to ashes, dust to dust; in sure and certain hope of the Resurrection to eternal life, through our Lord Jesus Christ; who shall change our vile body, that it may be like unto his glorious body, according to the mighty working, whereby he is able to subdue all things to himself」

全能の神大いなる憐れみをもって我らが愛するこの兄弟の霊魂を召し給いしゆえ、今その屍を地に委ね、灰は灰に、塵は塵にかえし終りの日の甦りを後の世の命を主イエスキリストによりて堅く望む。主イエス世を裁判せんがため大いなる威光をもって再び来り給うとき、地と海の中より死人を喚び出し、万物をおのれに従がわせ得るちからをもって、主にありて眠れるもの卑しき身体を換え、その栄光の身体にかたどられしめ給うべし。

ジョン・デンバーは、自然志向派ミュジシャンとしても、わが国で受け入れられたところがあると思うが、やはり西洋人。
50を過ぎると、宗教的見地に再び目覚めるのであろうか。
それとも、日本人とは違い、やはり西欧人の宗教心は、今でも日常生活と切り離せないのだろうか。

ジョン・デンバーとNGDBの「And so it goes」 with everything but love・・・を聞くたびに、「PP&M」、「悲しみのジェットプレイン」、「飛行機事故」、「ハルマゲドン」、そしてよき中年となったジョンデンバーの優しい声と顔が、入り混じってきて、激しく心を揺り動かすのである。

YOUTUBEには、小生のメイキングビデオとは違うライブ映像があったので、それをリンクしておくので聞いていただきたい。
メンバーは「永遠の絆VOL.2」と全く同じ、録音は下記のとおりだが、ライブ映像の出所は不明である。

参加ミュージシャン】ギター/コーラス: Jeff Hanna マンドリン/コーラス: Jimmy Ibbotson アコーディオン/コーラス: Bob Carpenter ドラムス: Jimmie Fadden ギター: Randy Scruggs フィドル: Mark O'Connor ドブロ: Jerry Douglas アップライト・ベース: Roy Huskey, Jr.
1988年12月、Scruggs Sound Studio(テネシー州ナッシュビル)にて録音。エンジニア: Ron Reynolds。


「And so it goes」(Paul Overstreet-Don Schltz)

This song was first released on the stonehaven sunrise album. it is the only album it has been released on.

A mansion on a hill is a lovely sight to see
But like any other house its only temporary
Home is anywhere you choose to put your heart
If theres no love inside, it will soon fall apart


Buildings will crumble, bridges will rust
Mountains will disappear, rivers will dry up
And so it goes with everything but love

You can drive around in a long imousine
If you dont know where youre going, it dont mean a thing
He whod walk a mile just to hold an empty hand
Knows what it means to be a wealthy man

Ashes to ashes, dust to dust
Palaces will crumble, bridges will rust
Mountains will disappear, rivers will dry up
And so it goes with everything but love

Worldly treasures will all pass away
Theres just one thing that was put here to stay

Ashes to ashes, dust to dust
Kingdoms will crumble, bridges will rust
Mountains will disappear, rivers will dry up
And so it goes with everything but love

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by noanoa1970 | 2008-05-29 10:05 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(5)

Commented by こぶちゃん at 2008-05-29 15:55 x
こんにちは。ジョン・デンバー…私も大好きです。
ラジオで流れた「アイム・ソーリー」がきっかけで好きになり、
この曲が入った「風の詩」を買いました。
オリヴィア・ニュートン・ジョンとのデュエット「フライ・アウェイ」
メロディの美しさが光る「ルッキング・フォー・スペース」等々
名曲揃いでした。

でも一番好きな曲は「緑の風のアニー」です。
これは、歌詞をほぼ覚え、英語限定のカラオケ大会で歌います(笑)
ライブでも良く演奏されているようですが、Aメロの途中に出てくる
~Forest~をきれいに伸ばして歌っているシングルカットされた
バージョンが一番好きです。
これ、先ほどYouTubeで見てわかりましたが、彼自ら12弦ギターを
弾き語っていたのですね。
53歳で亡くなるまで穏やかで語りかけるような声質は、まさに不世出
のシンガーソングライターでしたね。
Commented by noanoa1970 at 2008-05-29 16:17
こぶちゃんさんコメント有難うございます。彼の歌は頑張れば、われわれでも歌えるところが、またいいです。
>これ、先ほどYouTubeで見てわかりましたが、彼自ら12弦ギターを弾き語っていたのですね。
小生のリンクとは違うものでしょうか?そうであれば是非教えてください。小生リンクのバージョンでは、ぼやけていて、ハッキリはしないのですが、12弦ギターではないように思えますが・・
メイキングビデオでは、6弦のマーチンかオヴェーションの(記憶が定かでないですが)ようでした。確認しようとしましたが、テープが見つかりませんでした。
これ=「緑の風のアニー」のことと、書いているときに分かりました。失礼しました。
Commented by こぶちゃん at 2008-05-29 18:44 x
これ=緑の風のアニー=Annie's Songです(笑)。

http://jp.youtube.com/watch?v=HkGS263lGsQ

既に発見されたと思いますが、2001年のライブはマンドリンの
前奏、間奏にはフルートの入る豪華アレンジですね。
シンプルに弾き語るバージョンでも同じ12弦使っている
ようですし、以下の「悲しみのジェットプレーン」でも
この12弦使ってますね。

http://jp.youtube.com/watch?v=vLBKOcUbHR0&feature=related
Commented by noanoa1970 at 2008-05-30 09:41
こぶちゃんさん・・・12弦ギターがお好きなようですね。
12弦ギターの音色、小生もとても好きです。バーズのロジャー・マッギン:「ミスタータンブリンマン」、そして、イーグルスのドン・フェルダー:「ホテルカルフォルニア」イントロでの:の12弦は、とても印象に残ります。小生はYAMAHA:LD12というギターを持っていますが、上記の音に刺激されて入手したものです。YOUTUBEを見ますと、ジョンデンバーは、GuildのGAD-JF30-12というモデルを使用していることが、ピックガードの特徴から分かります。
Commented by den johnver at 2008-10-03 17:25 x
瑣末な話で恐縮ですが、ブルーリッジマウンテンは意味としても正しいですが実在のアパラチア山脈の名前でもあります。
シェナンドリバーもあわせると安達太良山に阿武隈川って感じかと。
ギターは結構色々(Guild→Yamaha→Taylor)と変わっていますが、Guild時代のJohnはF50の特注品(サイドバックハカランダ)の6弦と12弦でWピックガードにしてるのを多用しているようです。
ちなみにウエストバージニア州民の間では、「地元を田舎扱いしやがって」(案外都会です、ウエストバージニア)と結構評判悪かったりします。