ベートーヴェンの秘曲を聞く・・・2

トライチュケのジングシュピール「凱旋門」の終曲「成就せり」WoO97 という作品がある。

この曲などはベートーヴェンの数ある秘曲とされるものの中でも、最も知られていないものだろうと思う。

小生も例の秘曲全集の中の「オリーブ山のキリスト」・・昔は「橄欖山のキリスト」といっていたから、オールドクラシックファンは、こちらのほうが馴染みだと思う。

また、聖書から取られたこのオラトリオの内容からすると、オリーブ山では、その如何にも厳粛で重たい雰囲気が伝わらないから「おりーぶやま」より、やはり「かんらんざん」のほうが、内容にあった呼称だと思っていた。

しかし橄欖とオリーブは全く別種の植物で、その形状が似通っていたから、昔の人が間違ってオリーブを橄欖としてしまったらしいことが分かった。

そんなこともあって、何時からかオリーブ山という呼称となったのだろう。

ベートーヴェンが残した唯一のオラトリオ「オリーブ山のキリスト」が秘曲とされるのには、大いなる抵抗もあるが、ベートーヴェンにしては、余りにもオーソドックス、革新性が殆ど無いというところから、余り評価されてこなかったのかも知れない。

しかしベートーヴェンは、尊敬する音楽家のTOPに、ハイドン、モーツァルトではなく、実はヘンデルであったという説があり、このオラトリオは、ヘンデルから相当参考にした痕跡が聞き取れる。

その時代においては、オラトリオという音楽形式は、その分かりやすさからなのか、一世を風靡したというから、聖書から題材をとって書かれた内容と、古典的音楽表現のこの曲は、かなり演奏機会もあり、聴衆に評価されたであろうことは容易に推理できる。

そんな秘曲とはいえない秘曲を、ヘルムート・コッホ/ベルリン放送交響楽団、ベルリン放送大合唱団の演奏で堪能した。

昔某音楽評論家が、東独のオケを相して「お金が無く良い楽器が買えない状況下にあったから、いずれのオケも、音が地味である」等と、とんでもない嘘を平気でついていて、小生はもう少しで信じるところであった。

ベルリン放送交響楽団にしても、ゲヴァントハウスにしても、一昔前の東独のオケは、西欧や米国のオケに顕著な例と違い、弦のビブラートを、かなり控えめにする演奏スタイルが多かったから、響きが全体的に、地味になるのをこの某評論家は、楽器の経済的要因のせいにしてしまったのだ。

話を戻すと

その「オリーブ山のキリスト」と々音盤に収録されていたのが、冒頭に上げた「凱旋門」の終曲「成就せり」WoO97だ。
ジークフリート・ヴォーゲル(Bs)、ベルリン・ドイツ国立歌劇場合唱団
アーサー・アペルト/シュターツカペレ・ベルリン

特にブログで記述すべき特徴あるものではないが、曲の最後に聞こえてきたのは、あのドイツ連邦共和国国歌、そしてハイドンが弦楽四重奏の中で引用した、そして賛美歌にもなっているあの美しき気高い音楽の最終パートのメロディだったのだ。

ジングシュピーゲルというと、なにやらややこしいのだが「歌芝居」田から、歌劇の前身のようなものと理解すればよいと思う。

モーツァルトの「魔笛」もジングシュピーゲルで、ジングスピーゲルの特徴は、セリフや、レスタチーボが挿入されることであろう。

所謂オペラが、貴族を中心とした上流社会のものであったのに対し、ジングシュピーゲルは、内容が理解されやすいという点から、庶民の娯楽の要素が強かったものと思われるところがある。

トライチュケは、ゲオルグ・フリードリヒ・トライチュケ(1776∼1842)のことで、ベートーヴェンが歌劇フィデリオの台本の改定を依頼していた人物とされる。

「凱旋門」がどのような内容であったかは定かではないが、終曲の「成就せり」等から類推すると、一次はベートーヴェンも尊敬した英雄「ナポレオン」の戦争からの帰還をかいたものかもしれない。

しかし何故ここにあの有名な国歌「ドイツの歌」=ハイドンの弦楽四重奏「皇帝」第2楽章の主題=賛美歌194番「さかえにみちたる」を引用したのだろうか。

ハイドンの皇帝→皇帝ナポレオンという流れなのか、興味は尽きないが、詳細は分からない。

ハイドンもベートーヴェンも、このメロディを引用していたという事実は、この秘曲全集で知るところとなり、新しい発見が出来た。
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by noanoa1970 | 2008-04-05 12:14 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)