加川良in長浜

昨日加川良のコンサートに、滋賀県長浜に行ってきた。
彦根出身の加川にとって長浜は、異郷の地ではない。

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曳山会館に併設された、100人収容の小さなホールが、今日の会場だ。
曳山会館とは、5月に開催される、長浜伝統の曳山祭りに市内を引き回される、大きな山車が収納されている会館で、それに関する者がいろいろ展示されているところ。

小生はいつも、この曳山会館にあるトイレを利用することにしている。
ここは観光客には、余り知られてないトイレで、とても清潔だし、手洗い場所には、液体石鹸がおいてあるから、具合がいいのだ。

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今年から地元の伊吹山麓の地粉を使っている、「そば八」で遅いお昼を食べた後、本日の会場でもある、曳山会館にトイレとお茶を飲むために向かったのが、14時30分。

コンサート開始は17時、会場が16時半だから、その後同行した愛犬シバの散歩を兼ねて商店街にある公園に行くつもりをしていたのだった。

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曳山会館のカフェにいこうとすると、その向こうの会場ホールから、設備関係者がPA装置のテストをやっていて、ホールの扉からは照明がもれていたので、事前にホールを見ておこうと、許可を得てホールを覗いてカフェに戻ろうとすると、家内がカフェにいる誰かと話している様子が目に入った。

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近づいて驚いたのは、家内が話をしているその人は、本日の出演者「加川良」その人だったからだ。

小生が近くに行くと、彼はこんにちは・・・と例の声で挨拶をし、どこから来たのかとか出身地のことや、最近滋賀県が好きになったとか、挨拶代わりの軽いおしゃべりをした。

前々から家内は、「加川さんに会ったら、あのことを絶対言うんだ」と、じょうだんまじりに、よく言っていることがある。

それは、息子の結婚式のエンディング、新郎の父の挨拶という慣習行事の際に、小生は挨拶の後、加川の「流行歌」という曲を流すとに決め、息子にそう伝えると、長くなって時間が足りないからと、余り気が進まない様子だったので、「俺の言うことが聞けないのだったら」、・・・などといって半ば強行的に、実行したことがあった。

そのことを加川に伝えたいと、かねてから・・・いわば、小生批判的な要素を込めて言うのだった。

殆ど見込みのないたわごとを・・・と、子バカにしていたのだったが、偶然にもそれを実行できるときが、現実となったのだが、小生は、まさかそのことを加川に言うはずはまいと、信じていたが、その期待は見事裏切られることになったのだった。

息子のの結婚式の新郎の父の挨拶の後、「流行歌」を流したこと。
結婚式披露宴の事前打ち合わせの時、この曲を流すことに渋る息子に、小生が、言うことが聞けないのなら、結婚式をぶち壊す・・・などと息子に言ったこと。

少々大げさだったが、半分まじめな顔をして加川に話すのであった。

加川は、例の調子で、それは息子さん迷惑な話だったでしょうね。
私の歌でご迷惑をおかけしたとは、申し訳ないことでした・・などと、やんわりと受け流してくれて、とてもよい雰囲気に終わった。

コーヒーを飲み、タバコをすいながら、テーブルの上にスケジュール調整らしきノートを広げて、見ている最中にもかかわらず、加川の気さくな応対に感謝の念を覚えつつ、1枚写真を撮らせてもらった。

演奏中の写真は撮れないだろうから、貴重な写真となる旨お礼を言うと、意に反し加川は、いや、他の客に迷惑さえかからなければ、かまいません。
そこは大人ですから・・・と肖像権侵害はないだろうことを示唆するのであった。

それで小生は、今回はフラッシュは焚かないで写真撮影しようと決めたのだった。

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(最後の写真は「流行歌」を歌ったときの映像)


家内がついに話してしまった、我が家の「流行歌」騒動の顛末ハ、加川の演目に影響するのかは期待していなかったが、加川がこの問題作を、一応のエンディング(アンコールは2曲あったが、その前の)の曲として、歌ってくれたことが何より嬉しかった。

加川も60歳となって、心境の変化があったのだろうか、昔は、「冗談やで」といって歌っていたのが、「たわごと、60のたわごと」と随所で言う彼がそこにはあった。

知らない人が見たら、民謡か、古典芸能のコンサートかと見まがうような、平均年齢50の後半バカリが座っている、異様な会場の雰囲気だから、加川もそれを十分意識した演目を考えたようだ。

しかし、昔の歌を演るそのアレンジは、かってのものとは相当異なっていて、しかもそれが決して違和感無く、古いけど新鮮に感じられるところに、加川の真骨頂がある。

影響を受けたと自ら語る「高田渡」亡き後、彼の系統を引き継ぐ数少ない一人となった彼では有るが、高田との決定的違いは、使われる詩そのものが借り物か、オリジナルかである。

高田が借り物の曲と詩を、高田オリジナルという域まで昇華させて歌ってきたのとは異なり、加川は借り物の曲に殆ど自分オリジナルの詩を付け、それを加川独自の歌としてきた。

いつまでも眠ろう
何度でも生きよう

本日最初に歌った曲、恐らくコアな加川ファンでも、余り聞いたことが無い曲だと思うのだが、この曲は、アイルランドのトラッドフォーク : Mo Ghile Mear 「素早き戦士」に詩を付けて、加川流にアレンジしたものだ。加川の作品かどうかは分からないが・・・


加川も、高田も、アメリカントラッドフォーク、モダンフォークの洗礼を受けて育ってきたと思われるが、どうやら(何時からかは分からないが)そのルーツのアイリッシュ、スコティッシュのトラッドフオークに行き着いた(取り上げた)ことを、小生としては、自分がフォークソングに関して音楽的に歩いてきた道と同じものを感じるところがあって、大いに共感を覚えたのだった。

というわけで、

本日は最初の・・・題名さえも分からないが、アイリッシュトラッドフォーク
Mo Ghile Mear :「素早き戦士」に詩を付けた曲、そして最後の「流行歌」。
それだけでも十分満足のコンサート、そして偶然にも加川と話すことが出来たことで、息子の結婚式で流した加川の歌の意味が、ますます増した様に思えるのだった。


追伸
最初に歌った曲、「いつまでも眠ろう・・・」は、ハンバート・ハンバートの「喪に服す時」という曲だと判明したが、原曲はアイリッシュトラッドフォークの「素早き戦士」であることは、間違いないと思う。

この曲は、以前にもブログで取り上げたことのある、小生が好きなチーフタンズのロングブラックベールの中で、スティングがアイルランド語でうったった曲でもある。

youtubeに動画があるのを発見したのでリンクしておく。
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by noanoa1970 | 2008-03-23 11:46 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(6)

Commented by あっこ at 2008-03-23 20:22 x
加川良さん、、、、
もう60歳なんですか。。。。
彼の歌
「こおろぎ」大好きでした。
なんとも悲しい歌だけど、さらっと歌っている彼の声は
死というものが、自然なことだと言ってるように思いました。

ステキなコンサートだったんでしょうね。。。
うらやましい限りです。
Commented by noanoa1970 at 2008-03-23 20:47
あっこさんお元気でしょうか。
「こおろぎ」は、小生も好きです。「夕焼けトンボ」と対になっているかのようです。
Commented by drac-ob at 2008-03-23 21:22 x
いかにも加川良らしい反応というか、対応ですね。どこまでが本気でどこまでが冗談か良く分からないというか、全てを洒落のめしたものの言い方もいかにも加川良だな、と思います。しかし、息子さんの結婚式のエピソードを知られてしまったところは思わず笑ってしまいました。

今年も彼のライブが見たいものです。
Commented by エレガンス at 2008-03-23 22:47 x
楽しみになさっていたコンサート前にご本人と親しくお話する機会があって良かったですね。
彼のように自然体のミュージシャンは意外と少ないように感じます。
建物やホールの雰囲気も素敵ですね。
Commented by noanoa1970 at 2008-03-24 15:02
obさん。加川は大変気さくな人です。しかし冗談の中の本気、本気の中の冗談・・・このスタイルは、何時までも変わりません。15曲ほど休憩ナシで演ったのですが、さすがに最後は疲れたのか、弦を抑える握力が弱まり、それが音に反映してしまいましたが、それもまたヨシでした。アレンジの進化を一文章にまとめたいと思ってますが・・・
Commented by noanoa1970 at 2008-03-24 15:07
エレガンスさん。彼の中には、聞く側と演奏する側という垣根をなるべく作りたくないような気風があるようです。「まじめな顔して聞かないでください」とか、携帯の茶kゥ心音を鳴らした観客に「誰だ、今携帯鳴らしたやつ、手を上げてみい」などといってしまうことが出来るのも、普段の小さなライブハウスの延長上に、彼の居場所がある証拠かも知れません。観客のほうも、素直に手を上げて「すみません」といえる雰囲気はなかなかコンサートであるものではありません。
彼は「いい男」です。