最近のJAZZ喫茶の音量は・・・

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昨日湯ノ山温泉に行った帰り、とあるJAZZ喫茶兼ライブハウスに立ち寄ることにした。
小生が生活している町にはJAZZを聞かせてくれるお店が一軒もないが、隣町には、少ないながらも数件在って、この店は脱サラをした人が趣味で始めたというお店だ。

ウイークデイの午後3時辺りのことでもあったせいか、われわれの他には客は誰も居なかったから店の主人とお話することができた。

店に入ったときには、ソニーロリンズの「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」がかかっていた。

オーディオシステムを拝見すると、スピーカーはJBLのエベレストDD55000という巨大なもの。
1980年代半ば、JBLがフラッグシップモデルとして発売したもので、ペアでで高級外車が買える位の価格設定の高級モデルである。

ここまでのスピーカーを使っているJAZZ喫茶は結構珍しいだろうと思う。
ハーツフィールドや、パラゴンに匹敵するモデルだから、一般には余り使われることはないし、まして趣味でJAZZを聞く人の中でも、器(部屋)から気にしなければ使えないからだ。

しかしながら、JAZZ喫茶にしては、そして超恕級システムの割には、音量はかなり小さく、小生が家で聞くJAZZの音量よりも随分低く設定してあった。

室内空間が広く天井も高く、2階席までしつらえた見る限りにライブな空間からは、システムの割には軽い爽やかな音が聞こえていた。

聞いていると、途中でなにかエラーのような音が出る箇所があり、途中で他のソースに変えたようだった。

変える前のものは、はじめはCDソースなのかと思ったが、どこかデジタル臭がないような感じだったので、店主にLPかCDかを尋ねると、最初にかけたのはアナログで、次にCDに変更したという。

そしてその理由とは、最初にかけたアナログレコードは、なんとELP社のレーザーターンテーブル・・・すなわち光学式アナログ読み取りのプレーヤーでかけたのだが、レコードのソリが激しく、読み取りエラーをしだしたので、CDに変更したのだということだった。

この店では従来のアナログレコードプレーヤーでなく、カートリッジや針に相当するところが、光学式の読み取り装置でなるプレーヤーを使用していたのだった。

小生はこのプレーヤーを20年ほど前、学生サークルDRACのOB会で業者が持込みデモしたのを拝聴したことがあった。

ソリのあるもの、傷があるもの、LP・SPを問わず、又半分に割れたSPでも難なく再生するという触れ込みに驚いたが、当時1台100万を越える価格設定で、とても購入可能なものではなかった。

凄い装置が現れたと思っているうちに、世の中はCD時代となり、アナロググLPファンに多い古手のJAZZ愛好家達も、仕方なく同じソースをCDで買いなおす羽目になった。

今わずかに残っているアナログLPファンは、LPの本当の潜在能力を知る数少ない方たちばかりであろう。
LPに録音されているすばらしい情報を良い状態で引き出すには、相当の努力と資金が必要だ。

かつてJAZZ喫茶は、そのようなものの原点的存在でもあった。

ところが最近ではどうしたことだろう、一部を除くと・・・昔から続いていて、今なお存在しているお店でさえ、最近のお店は言うまでもなく(勿論例外はあるが)小生が訪問したほとんどのお店はCDに依存し、オーディオ装置も昔のように、目で見ても凄いと思えるものを使用しているところは少なくなってきたし、音量は小さく絞られていて、かつてのようにオシャベリを拒むような店は数少なくなってきた。

昔のように、JAZZ喫茶は、最早夢の音響空間ではなく、BGM的にJAZZが聞こえてくるお店になってしまったようだ。

まるで手打ち蕎麦屋がBGMにJAZZをかけるのと似たようになった。(これはこれで素敵なことだが)

湯ノ山温泉に程近いこの店も同じで、折角の装置の音の力が全く発揮できてないのは、大いなる消化不良だ。

音量の問題は微妙なところが在って、いわばそれは店主の専権事項、場合によっては書ける曲も然りであるから、小生は何とかこの装置の基本の音色を確認すべく、話がレーザーターンテーブルに及んだときに、かつて経験した話を持ち出すことにした。

「レーザーターンテーブルの音は、どちらかというとハイ寄りの傾向があるようですが、聞いておられてソのあたりはいかがでしょうか?」という質問をすると、「特にそのようなことはないように思う」との返事とともに、「何かLPを掛けてみましょうか」と、小生の誘導尋問に乗った形となったので、それなら待ってましたとばかり・・・ここで具体的にレコードタイトルを指定すると、万が一不幸にしてそのレコードがない場合、亭主に恥をかかせてしまうのを懸念して、(この店の店主はそのような雰囲気の人ではなかったが)、ピアノの曲を何かアナロフで・・・とだけリクエストした。

何が聞こえてくるだろうと思っていると、それはオスカーピーターソントリオの「・・・リクエスト」。

このあたりの丁々発止が、店主と客との隠された戦いでもあった時代が、昔は確かにあった。

きっとこの店主は、音の比較をするのなら、誰でも所有し何度も聞いているだろうはずだと、推測できるものとして、このLPをチョイスしたのだろう・・・そう思い、店主の気持ちが伝わってくるのを感じたのであった。

音量は相変わらず絞っていて、システムの力を見据えることはかなわなかったが、レーザーターンテーブルの・・・カートリッジと針の接触型にないプレーヤーから聞こえるスクラッチノイズレスの音はCDと近しいが、ピアノの音色と響きは、全く異なる再現性で、ピアノの音が非常にやわらかく聞こえるのには少々おどろいた。

やはりデジタルは、「音」の再現ではアナログには勝てないのかもしれないと思うこととなった。

しかもこのプレーヤーでは、レコードの偏心や傷が無視できるし、ワウフラッターも殆ど無視できるから、ピアノの再生には強みを発揮する。

たった一つの難点はレコードのソリの問題で、余りひどいと読み取りエラーを起こす。
しかもレコード盤のソリは、昔から修正が困難、かなり厄介なことなので、結論は痛し痒しと言ったところだろうか。

ちなみに小生は、ソリがあるレコードの再生不良を懸念して「吸着式」のレコードプレーヤーを使用しているが、吸引するために出るポンプノスルからの音が少々気になり、この音が再生に影響するのでは、などと疑うときもあるから、ソリの少ない物は吸着しないで使うことがある。

そんなことがあって、家に帰って来たのだが、どうも音量の小さな巨大システムで聞いた音が消化不良を起こしていたので、改めて聞いたのが「ビルエヴァンス」のアルバム「TORIO64」。

4曲目にはこの季節ピッタリの「SANTA KLAUS」が収録されていることに気がついた。

「サンタが町にやってくる」を、かなりいじった演奏で、チョット聞いただけではすぐにそれと分からない。
が、これはいい!

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by noanoa1970 | 2007-12-17 09:09 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)