クリスマスに聞く音楽

かねてから小生はチーフタンズの「ベルス オブ ダブリン」そして同じく「アン アイリッシュ イブニング」そしてもうひとつ、エクトル・ザズーの「ライツ イン ザダーク」を聞くことにしている。

いずれもケルトに伝わる、古い宗教儀式やキャロルなどの音楽である。

今年は何か新鮮なものを追加してみようと思い立ち、取り出したのが、10年ほど前に入手したまま余り聞かないで隠れていた「ANUNA」。
本来ならばアイルランド語表記でANUNAの「U」の上に点がつくのだがキーボードでは入力できないが、アヌーナと発音するらしい。

彼らは男女役十人ずつの混声合唱団で、主にアイルランド、スコットランド・・・ケルトに伝わる宗教音楽や世俗音楽などを演奏する集団。

「リバーダンス」で有名となったのか、何度も日本に来ている。

d0063263_14493553.jpg

真剣に聞いてみようとしたのは、今回が最初のことで、余りにも聞かなさ過ぎたため正直言って、「クラナド」というグループと音楽的混乱をしていたほどであった。

しかしこの録音は、・・・・例えるならば、中学生時代のこと、偶然見つけた古代の窯跡から円筒埴輪のほぼ完全なものを発見したのに似た、そんな大発見の喜びと類似していた。

収録曲の殆どは古代アイルランド、スコットランドに伝わる伝承曲、そして宗教曲と、世俗曲で、彼らの殆どビブラートをかけない歌唱法は、クラシック音楽の世界で最近流行っているピリオド奏法にも似たところがあり、また少年少女合唱団のような響きを持っていて、古(いにしえ)の音楽を演奏するのにとてもふさわしく、左脳の中ほどに沁み入って来てなかなか出て行かないものを持っている。

また一つ12月のこの季節にふさわしい音楽を発見した。

少し興奮したのが、収録されている曲中に有る「The Blue Bird」。
そのものすばり「青い鳥」である。

どこかで聞いたことのある曲だったので、もしやと思い確認してみると、それはやはりブリテン諸島の近代音楽の作曲家CHARLES VILLIERS STANFORD (1852-1924)
パートソング Op. 119 - 第3番「 青い鳥」であった。

以下の説明にあるとおり、食前には神への感謝の祈り、そして食後の一家団欒には、家族そろって歌を唱う・・・合唱する習慣が出来たのでしょう。

≪パートソングの意味≫
 「パートソング」を音楽辞典などで調べてみますと、「最上声部に主旋律を置いたホモフォニー様式による多声部(無伴奏)合唱曲」というような解説が載っています。
 イギリスの世俗合唱音楽は、中産階級の人々が夕食後に家庭団欒の場で歌い楽しむもの、という伝統がマドリガルの時代から続いており、近代になって開花したパートソングという合唱形態は、その要望にもマッチするものでした。
英国文学史上に燦然と輝く数々の詩人の名作が歌詞として用いられており、これらを朗読するだけでも、その味わい深い世界に入り込んでいくことができます。

パートソングはディーリアスもグレインジャーも、ホルストも、ブリテンも、エルガーも・・・殆どのブリテン諸島出身の近代音楽の作曲家が作品を書いています。
産業革命後、中産階級化が進む彼らの年代にその歌唱法が開花し発展してきたことを思わせます。

スタンフォードというとブリテン諸島の近代音楽中興の祖で、上に上げた樋地たち野中には教えを受けたスタンフォードの弟子が沢山います。

ブリテン諸島の古い民謡を素材にした曲を沢山書いていますし、中でも小生は彼の「レクイエム」に惹かれること大です。


ANUNAがスタンフォードの曲を取り上げて見事に・・・ボーイソプラノにて歌われることもある・・世俗音楽でありながら宗教性を強く感じさせてくれるこの「青い鳥」を見事に歌ってくれています。

この「青い鳥」1曲が聞けるだけでも十分価値がある録音ですが、全16曲全てが高い満足度を与えてくれます。

合唱、宗教曲、ケルト音楽が好きな人は勿論、そして上質な音楽に身を浸して見たい人は、必聴の録音だと思います。(実は余り教えたくなく、独り占めしたいところです)
[PR]

by noanoa1970 | 2007-12-10 14:49 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)