クラシック音楽の中の「伝説」

ブルターニュの伝説に「イス」という町の話が有る。
フランスの首都「パリ」の名はこのイス=ISから取られたものとして知られることになる。(しかしこれも一説にしか過ぎないが)

すなわちPARーIS・・・PARIS=パリ・・・美しかったといわれる「イスのような」町になるようにとの願いからであろう。

しかしこの伝説都市「イス」は海の底に沈んでしまったといわれるのである。

その話の大筋は
ブルターニュの古名アルモリカのグランドロン王が、海好きの娘ダユーのために、海よりも低い場所に、堤防で囲った町を作らせた、教会や城が建設された美しい町だったそうです。

しかし娘ダユーは、王でさえ改宗したキリスト教に改宗するのを拒み続けました。

拒み続けた娘の前に、あるとき悪魔(キリスト教から見ると悪魔だが、素性はキリスト教徒の王子か)が王女ダユーの前に美しい青年の姿をして現れ、ダユーが青年に夢中になると、彼は愛の証として町の城壁の水門の鍵を要求した。

ダユーは水門の鍵を持ち出し、悪魔に渡した瞬間、悪魔が水門の鍵をあけると、海水がが町全体にに押し寄せてきて、町は大洪水になりやがて沈んでしまったのでした。

グランドロン王はダユーを馬の後ろに乗せて全速力で逃げ出しますが、海に飲み込まれそうになったとき、天から「お前の後ろにいる娘を突き落とせ」という声がする。
そこで王は神の声らしきものに従うと、海がダユーを飲み込んで引いてゆき、王は脱出することが出来た。

ダユーはその後「セイレン」:(ライン川伝説にもある)となって美しい声で航海人を魅了い、海底に引きずり込む魔女となったと伝えられる。

伝説の元になったのは、五世紀頃ブルターニュ最端部を襲った津波からで、この辺りの海底には古い港の遺構がいくつも沈んでいるという。

海の下で教会の鐘が鳴っているのを聞いた漁師がいるとか、澄んだ海の底に、城塔が立ち並ぶ大きな町が見えたとか、イスで使われた調度品が網で引き上げられた等、イスに関する様々な言い伝えが残っています。

またその近辺の女性が、塩を作るため海水を汲みに行ったところ突然目の前に海中から町が出現し、様々な物品を売る商店が並んでおり、呼び止められて何か買うように言われたが、お金を持ってないから買うことが出来ないと断ると、その商店主は、何か買ってくれたら私たちの町の人は全員救われたのに・・・といいそのとたん町は再び舞い中に没していったという話もあるらしい。

まるで「千と千尋の神隠し」のあの豊富な食べ物であふれた商店のような光景である。

地震による大きな津波の話を、神の怒りの象徴とし、キリスト教に改宗しない天罰のように脚色されたものだということは読み解くことが出来るが、娘を犠牲にした王の罪はどうなるのだろうかと、いささか突っ込みたくもなる。

そのような題材を音楽にした「イスの王様」。
「スペイン交響曲」という名のバイオリン協奏曲で有名な「ラロ」の作品である。
またドビュッシーは「沈める寺」で同じ題材を元に作曲している。

エドゥアール・ブローの台本によるオペラ「イスの王様」は、種族間の争いが底辺にあるが、恐らくは宗教戦争ではないかと思われるところを匂わせるものだ。

改宗を迫られた王とそれを良しとしない娘との反抗の話が、ここでは国王を裏切った王女の話に変えられており、守護神サン・コランタンの立場もキリスト教から見て都合よく変えられてしまっているのは残念だが、音楽的にはなかなか聞かせどころが多い。

ピエールデルヴォーの色鮮やかな演奏で
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Le Roi D'ys: Dervaux / Radio-lyrique.o & Cho, Guiot, J.rhodes, Vanzo, Massard
Rozenn - Andréa Guiot
Margared - Jane Rhodes
Mylio - Alain Vanzo
Karnac - Robert Massard
Le Roi - Jules Bastin
Saint-Corentin - Pierre Thau
Jahel - Michel Llado

Orchestre et Chœurs Radio-Lyrique
Pierre Dervaux
Paris, September 10, 1973

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by noanoa1970 | 2007-11-25 13:51 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)