小津の晩春・・・隠された伏線の発見

小津安二郎作品映画「晩春」についてのエントリー、「二人のリスト」の中で、「巌本真理提琴独奏会」の場面があり、小生はその中の音楽の一つをフォーレではないかとした。

しばらくしてある方から、その曲はヨアヒム・ラフの「カヴァティーニ」である旨のコメントをいただいた。

MIDIの音源が紹介されていたが、映画の中で流れる音は、相当古めかしくて、MIDI音源の音質も、ヴァイオリン封ではなかったから、比較してもなかなか送断定することが出来なかった。

曲想からは・・・といっても当該曲は一部使われているし、その曲調はフランクのソナタや、あるいはサラサーテ、そしてクライスラー風にも聞こえたし、フランス近代音楽・・そう・・・フォーレのノクターンのようにも聞こえた。

音が悪い昔の映画での音楽は、そのような幻想を抱かせるに十分であった。

小生は、J・ラフのカヴァティーニの確かな音源を求めてはいたが、それはほんの短い期間のことであって、すぐにそのことを忘れていた。

d0063263_10295462.gifしかし本日偶然のように「ラフ」という作曲家の存在を思い出し、例のnaxosライブラリーで検索してみると、VIRTUOSO VIOLIN PIECESというコンピレーションアルバムに、他の作品に混ざってJ. ラフ JOACHIM RAFF (1822-1882)
Cavatina in D major, Op. 8510. Cavatina in D major, Op. 85 があった。

「ラフ」という殆ど知られていないと思われる作曲家のプロフィールは 、ウイキペディアに少し掲載されているが、中で興味を持ったのは、『1849年、ラフはヴァイマルのリストの助手として雇われドイツに移った。リストの少なからぬ作品のオーケストレーションを手がけるなどしてその力量を証明したラフは、『1851年に歌劇「アルフレッド王」を完成させてワイマールで発表する』と書かれた記述であった。

「リスト」の弟子のような存在であるとは・・・・
これで巌本真理が演奏する時の演奏品目(演奏の姿は映像としては無く、音楽だけが流れる)に「J・ラフ」のカヴァティーニを持ってきた理由が判明した。

それというのも、その前場面でのやり取りに、「リスト」の綴りの・・・経済学者の「リスト」と作曲家の「リスト」の確認作業の話が挿入されているからで、この話と演奏会で流れる「J・ラフ」がリストの弟子だったということは、偶然の一致ではないだろう。

それはリストの綴りを確認する二人は大学の教授らしき人物と、その弟子らしき人物だからである。

またまた隠された小津安二郎の「拘り」を発見してしまった。
この事実、古今東西の小津研究者の誰も気づいていないことだと思うと、なぜかとてもうれしくなってくる。

自分独自の「気づきと発見」であるから、少々誇らしく、そして非常に満足度の高いひと時となった。
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by noanoa1970 | 2007-10-31 10:50 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)