Mr. Bass Man

MR. BASS MAN

(Baa, ba-ba, baa, ba-ba, baa, ba-ba, baa)
(Baa, ba-ba, baa, ba-ba)
(Bom, bom, bom ..)

リードが歌っているときはこういう風にやるんだよ・・・などベース奏者と主人公が掛け合うところが大変面白く、ベースなのにJohnny Cymbal:シンバルが歌ってヒットしたことを覚えている。
中学生時代、1960年代初めの頃だった。

わが国ではTV番組ザ・ヒットパレードで、九重佑三子が歌って、 ヴィーヴァヴァヴァヴァーヴォボンボンボンと、バンドリーダー兼指揮者のスマイリー小原が、苦虫を踏み潰したような顔と低い声で掛け合いをやっていた。

しかし、本日の話題はJAZZのMR. BASS MAN。

今日は昨日降った雨も上がり、天気は回復、朝の散歩も爽快だ。
MJQを聞くかウイントンケリーを聞くか迷ったが、結局取り出した「Softly,as in a morning sunrise」はエリック・ドルフィーの「WHERE?」から。

ちなみに、MJQで聞くと邦訳の朝日のような「爽やか」な演奏だが、ドルフィー盤ではSoftlyは、「爽やか」ではなく、もう少しくすんだ雰囲気となり、オスカー・ハーマンシュタイン2世の歌詞に近いものとなるように感じる。

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このアルバムでは2人のベースマンが登場する。
一人はロンカーターで、一人はジョージ・デュヴィヴィエだ。
他にマルウォルドロン、チャーリー・パーシップが参加している。

LPのA面のRALLY,BASS DUET,そしてSoftly as in a morning sunriseでは2人のベースを同時に聞くことができるから、比較するのも面白そうだ。
RALLYのボウイングはロンカーターだろうし、BASS DUETでリードを取っているのも恐らくロンカーター、リズムを刻むのがジョージ・デュヴィヴィエだと思う。

その理由は彼の音程の取り方で、少し♯気味に音程を取るところがロンカーターであることを思わせるからだ。

この傾向はSoftly as in a morning sunriseや他のアルバム録音でも見られるから、どうもロンカーターの特徴でもあるようだ。

最初はロンのボウイング(アルコ)、次にジョージのボウイング(アルコ)となるように思われるが、明らかに音程の正確さの違いが出ているようだ。

ロンのボウイングアドリブが、船酔いで気持ちが悪くなるほど揺れるのに対し、ジョージのボウイングアドリブではそのようなことは無い。

しかしロンのベースにはそこかしこに物凄い仕掛けが潜んでいて、その一つがフラジオレット奏法(ハーモニクス奏法とも言う)をコッソリと目立たないようにだが、入れているところや、ギターのウェス・モンゴメリーの代表的奏法でもあるオクターブ奏法をさりげなく入れているところなど、比較して聞くと面白いものが見えてくる。

高度なテクニックを評価するか、それににともなう多少の音程のずれをマイナス評価してしまうか、難しいところがあるが、音程の取りにくいベース・・・クラシックのコントラバスの第一人者、ゲーリー・カーでさえ音程は完全とはいえないから、ここは音程の絶対的確かさを取るより、やはりリズム感を評価してあげたいところだが、ボウイングとなると・・・・音程のズレはより顕著に出てしまうから困ってしまう。


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そこで取り出したのはポールチェンバースのBASS ON TOP
BASS ON TOP

Kenny Burrell(g) Hank Jones(p) Paul Chambers(b) Art Taylor(ds)
Paul Chambers/Blue Note/1957

1.Yesterdays
2.You'd be nice to come home to
3.Chasin' the bird
4.Dear old Stockholm
5.The Theme
6.Confessin'

最初のYesterdaysからチェンバースのボウイング(アルコ)が聴けるから比較対照するにはもってこいのアルバムである。
またおなじみのYou'd be nice to come home toも入っているから、リーダーとしてのアレンジの特徴もわかろうというものだ。

このLPは久しく聴いてなかったが、イヤー驚いた。
チェンバースってこんなにも凄いベーシストだったのか。
ピチカットでのリズムもいいが、特筆すべきは、ボウイングの技術、これははピカ一ではないだろうか。

クラシックのコントラバスの第一人者、ゲーリー・カー顔負けの音楽性があることに気がついた。

演奏技術の陶冶だけでなく、松脂を多く使うことで弓の摩擦を増やし、さらに駒の近くを弾くことで大きく明快なコントラバスの音を得ることに成功したというゲーリーカーのコントラバスに対し、どのような技術鍛錬によってチェンバースがベースをメロディ楽器としても、高いレベルで演奏することを可能にさせたのだろうと、実に恐れ入った次第だった。

JAZZにおけるベースは、リズムセクションとしても、そしてバロック音楽の通奏低音のような立場としても大変重要な位置を占めるように思われるから、ベースの役割は他の華々しい楽器にまして重要な位置を占めるのだろう。

三人三様のベースを聞いて、その重要性を改めて認識した土曜日の朝であった。

JAZZベーシストの腕前を確認するならば、ピチカットのアドリブは勿論だが、ボウイング(アルコ)を聞くと化けの皮が剥がれやすいのではないだろうか・・・・

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by noanoa1970 | 2007-10-20 10:25 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(3)

Commented by akemin at 2007-10-20 18:10 x
記事堪能させていただきました。
なに隠そう(かくすっほどでも・・・かぁ)
私JAZZリスナー駆け出しではありますが
これほどまでにJAZZに浸った理由はBassなのです。
聞けば聴くほど奏者によって音が違います!
何故違うか・・・を探るべく 動画やライブに参戦すると
できるかぎりBassの傍が私流ですが・・・右手の絃を爪弾く指使いが違います。左手のポジションも奏者によって物凄く違います。したがって使用する音の高さもちがうんですよね!
さらに接近戦でみせていただくのはBassタコです。右の絃を弾く指先にできたタコです。私が今まで見せていただいたこのタコが一番デカイのはロン・カーター氏でした。
Commented by HABABI at 2007-10-21 20:42 x
sawyerさん、こんばんは
Mr. Base man、久し振りに聴きました。中学生の時、オーディオ店でよく流れていました。ザ・ヒットパレードでのことも覚えています。Paul ChambersのこのLPを持っています。アルコ演奏は難しいのでしょうが、音程はともかくよく歌っていますね。マイルスのKind of Blueでの演奏(ピチカート)も素晴らしかったですね。
マルのレフト・アローンも久し振りに聴き、いろいろ思い出しました。単音のモールス信号のような演奏、本当に久し振りです。昔、マルの(来日)演奏会にも行ったんですよ。
Commented by noanoa1970 at 2007-10-22 10:05
このあたり全てご存知の HABABI さん、恐らく同世代ですね。
JAZZもクラシックも、分け隔てなく聴ける・・余りいないので心もとなく思っていたのですが、 HABABI がいましたね。コメントはしてませんが、殆どブログ拝見してますよ。

マル・・モールス信号、さすがウイットに富んだ言い回しでさすがです。