赤い靴を履いていたレイラ

赤い靴 はいてた 女の子
異人さんに つれられて 行っちゃった
横浜の 埠頭から 船に乗って
異人さんに つれられて 行っちゃった
今では 青い目に なっちゃって
異人さんの お国に いるんだろう
赤い靴 見るたび 考える
異人さんに 逢うたび 考える

大正11年に作られた、野口雨情作詞・本居長世作曲のこの歌は、昔からよく聞かされて育ってきた歌の一つである。

大正浪漫風な挿絵と一緒に雑誌などにも掲載されていたのを見た記憶がある。

少女が何故外国人に連れて行かれたのか?小さなときから不思議に思い、その曲想からしても、何か悲しいものがあることを感じていた。

心当たりはないものかと調べてみると、この話は事実で、外人の宣教師に分け合って幼女にした娘だったが、宣教師が故郷に帰るとき、結核の病に冒された少女は、生まれ故郷から遠く離れた東京の孤児院に預けられ、ついに生みの親と会うことなく死んでいったという。

生みの親達はテッキリ娘が宣教師に連れられ、外国に行ったとばかり思っていたそうである。

外国人に幼女に差し出さなければならなかった事情と、この不幸な少女の気持ちを考えると、野口雨情の詩とは若干違うが、本居長世のメロディと相まってとても悲しい気持ちにさせるものがある。

「赤い靴」のメロディは、ラ・シ・ド・レ・ミのペンタトニックスケールが使われていて、哀愁を帯びた用にこの歌が聞こえることに大きな一役を買っていることに気がついた。

ある「旋法」は、メジャーだがマイナーに聞こえる何か秘密が有るらしきところがあって、「旋法」を使って作られた曲は、ジャンルを超えて多い。

ラ・シ・ド・レ・ミを逆にするとミ・レ・ド・シ・ラとなって、このスケールを口ずさんでいたとき、あることに突然気づいた。

そして、頭に浮かんだのが、エリック・クラプトンのデレイク&ドミノス時代の超有名な「いとしのレイラ」だった。

赤い靴のラシドレミの逆スケールであるミレドシラは、ミレドシラソミラとなって、いとしのレイラのイントロに続くリードギターのメロディと同一である。

この音型でも特徴的な、ミソラドラソラ:「タタタタタタターン」という有名な、いとしのレイラのギターイントロは、ラシドレミというペンタトニックスケールからレを抜いて変わりにソを入れて作られたもので、基本は「旋法」であることは間違いない。

当時この曲が流れたとき、小生はブルース系のロックでも、このような素晴らしい曲があるのに驚いて、クラプトンを再評価したほどであった。

ブルースというほぼ3つのコードで完結する素朴な曲であるから、昔から演奏技術でその単純さをカバーしてきたようなところも感じられるし、その単純さゆえに、古今東西のブルース奏者達がオリジナリティを発揮するのに、切磋琢磨し、天才的なブルース演奏かも多く輩出した歴史があるし、なによりもその素性には黒人の生活がある。

ブルースは幅広いジャンルの音楽になって、脈々と行き続けているのも、ブルースの生まれた背景と素朴単純であるが故のことがあるのだろう。

クラプトンの凄さは、ブルースを基にした音楽の単純で素朴なところを認めつつ、およそロックの歴史では、大胆な・・・万人の予想を遥かに超越した「転調」を駆使し、詩の内容に沿ったダイナミックな心の変化を表現したことにある。

そして重要なことは、転調技術もそうであるが、ペンタトニックスケールを採用したことで、この2つの要素をブルースを基本としたロックにしたことは、彼の才能の大きな特徴だろう。

ロックオリジナルでは、この音楽の基本がブルースであることは、ダイナミックな転調後の歌のところでハッキリするが、後年のアンプラグドでのアコースティックバージョンでは、この曲が正真正銘「ブルース」であることを端から知らされる。

youtubeの動画をリンクしておく。
ペンタトニック、転調の妙味、基本がブルースであることが良く分かると思う。
アコースティックバージョンは、「マークノップラー」との共演・・・素晴らしい!


「いとしのレイラ」ロックバージョン

「いとしのレイラ」アコースティックバージョン

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by noanoa1970 | 2007-10-08 10:36 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by エレガンス at 2007-10-08 23:21 x
ブログを毎回拝見するたびにツボにハマってしまいます。
博学と美意識と音楽が一体となってnoanoa1970さんになっていらっしゃるのですね。
小津映画の随想もとても好きです。
所作の意味を初めて知りました。
そろそろ燗酒が恋しくなる季節ですし、秋の夜長は徒然エッセイで過ごそうかしらと思うのです。
Commented by noanoa1970 at 2007-10-09 08:50
エレガンスさん
「レイラ」の転調は難しいでしょうか?小生、ギターで真似てみようとしましたが、全くダメでした。あの曲はやはりギターで作曲されたということが良く分かります。(ピアノはさらに難しい)
イントロの音を全部抑えると素晴らしい和音になります。驚きでした。
小津映画は見るたびに新鮮ですから、素晴らしいと思います。
「秋刀魚の味」は、季節的にもいいかもしれません。