空想音楽小説・・・幻のオーケストラその2

空想音楽小説・・・幻のオーケストラその1からの続き

落語のように、「笑いの壷と落ち」を、すんなり分かってもらうために、そして字幕投影のリスクを回避するための両方の狙いで、
「日本語」のオペラにはできないか?と聞いてみると、

「歌い手が原語でやりたいと言う」とか、「原語のほうが音楽的」だとか・・・急にプロ並のことを言うので、
そもそも、このプログラムを取り上げた狙いは?お客さんに何を判ってもらい言いたい?
など質問するが、答えは返らない。

誰がこれをやろうといったの?と聞くと、答えにくそうに「みんなで・・・」という。
相談に来た人は近所の人で、息子をその合奏団に入れており、たまたま最近チェンバロを弾く役目で合奏団に入ったと言う、普段はピアノを教えている人だ。

これ以上聞いても仕方がないから、「字幕」の問題点と、そこから見えてくる数々の問題点を整理して、
数日後に全体会議があって、細かい打ち合わせをして、いろいろなことを決定するらしいと言うから、ドキュメントにして渡した。

それは概ね、公演の段取り・決め事を決定するときのリスクマネージメントに関することと、確認事項をまとめた物。
そしてたたき台として活用するためにと、私の「案」をいくつか上げておいた。

私が現役時代に身に着けた「事業計画」プランナーの力が少し役立った。
その手法をモディファイしてのことである。
そしてこれは、7年前ある音楽団体の「事務局長」として、少しの期間ではあったが活動する中で、アマチュアの音楽集団が共通して持っているであろう問題点、活動の根幹のコンセプト欠如などを予測してのものだった。

数日後、その人から連絡があり、今度主人を連れてくるから・・・という。
その男とは前から顔はあわせることがあったが、挨拶程度にしか過ぎないし、何故ご主人が?といぶかしく思ったが、来ると言うものを無碍に断るわけにも行かなかったので、取り敢えず来ていただくこととした。

話の主旨はそれからでも遅くはないと思ったからだ。

まだ50代の始めごろだろうか・・・聞けばそのご主人・・・近郊の大手自動車関連メーカーに勤務し、ご息子がすでに入団してい(た)合奏団に、主催者からどうしてもと言われ、ヴィオラを弾いているのだ言う。

小生のドキュメントを見たのだろう、多分数少ない男性会員で、しかも大手の会社のサラリーマンだから、「リスクマネージメント」の欠如や会議での決め事などに常々危惧を抱いていたらしい節は、彼の話から読み取れた。

「本来であれば私がもっと力を入れないといけないが、近く海外赴任するから、今度の公演に参加できないし、中途半端になってはまずいと思い悩んでいた」というのだった。

ご子息も、奥さんも世話になっている団体だから、何とかしたいという気持ちが強かったと見える。

どうも小生に字幕以外の何事かを依頼に来た様子が伺えたので、
合奏団の現状、主催者の考え方、10数年やってきた成果、何故オケを作ろうとしないのか、個人商店組織を、たとえばNPOなどにして、目的と責任を持つようにしないのか、など思うところをぶつけてみた。

返ってくる答えは大抵「人、物、金」がない・・ということは分かった上でのことだったが、世間であるいは大きな会社の組織でもまれてきたであろうから、彼なりに、鋭い状況把握をしていることだろうと、踏んだのだ。

「リスクマネージメント」ができてないという彼は一方それに加えて

・主催者には将来オケを作りたいという願望がある。
・巡回コンサートなど一生懸命やっており、ボランティア精神がある。
・団員の演奏レベルが、彼がいると激変する・・・云々

彼が言っていることは、演奏レベルの激変以外は、すでに見ていた当該合奏団のHPに書いてあることと同じだから、別に驚きもしなかったが、10数年も現状のままでの存在なのはおかしいと思い、何故オケを作れないのかと聞いてみた。

多くの団員は現状で満足しきっていて、楽しく(何が楽しいと言うことなのか分からないが)みんなで、ワイワイ合奏ができればよい
つまり彼は、主催の考え方と団員の考え方のギャップが大きいと言うのだ。
後は誰でもが口にするアマオケの問題点「人」がいないということを言うにとどまるのだった。

それで、話を戻して、今回オペラを取り上げた理由と、目的は?と聞いてみたところ、やはり明確な答えが返らない。
誰が意思決定したかも明確ではない。
何でもみんなで話し合ってこれまでやってきたから・・・というから私はその言葉に裏がありそうな気配を感じるのだった。

主催で、リーダーで創設者の、しかも現役プロオケの奏者。
腕はともかくそのような男の一言は、アマチュア集団(突っ込んで聞くと20人に満たない数)にとって、メンバーにとっては「神の声」なのだ。
いくら民主的に、みんなで・・・などといっても全てのメンバーは、その声に抗えるはずはないのである。

同属会社の社長・・・〇〇ポークの社長など、特に腕のあるといわれる・・職人経営者にはこのパターンが多い。

みんなとは?決め方はどのように?と質問したところで、子供や奥さんなど人質を取られている団員は、たとえ大会社で「個人と組織」を十分に知っていて、リスクマネージメントの手法を知っていたとしても、けっして・・・口が裂けても言えないの・・・そのような予感のする話し振りであった。

私は彼らの話し振りや、今までの情報を集め整理して次のような仮説を立てるに至ったのである。

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by noanoa1970 | 2007-07-03 08:56 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)