たった3音の展開・・・恐るべし

菊地雅章 というピアニストをご存知だろうか。
雅章=まさぶみと読むこのJAZZピアニストは、70年代に開花した。
その曲が「ダンシング・ミスト」で、当時のJAZZ音楽シーンではかなり話題となった。

小生が「ライブ」録音のディスクを所有することになったのも、「ダンシング・ミスト」を聞きたかったからであった。

「Dancing Mist」
菊地雅章 イン コンサート / 1970.11
1.Dancing Mist
2.Yellow Carcass In The Blue
菊地雅章(elp)、峰厚介(ss)、菊地雅洋(harpsicord, org)、
池田芳夫(b)、村上寛、岸田恵二(ds)

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ギターでも有名な、フェンダー社製の「フェンダーローズ」というエレクトロニック・スーツ・ピアノを使った、いかにも気分が乗ってくる16ビートのサンバのようなリズムに支えられて、上昇するピアノとそれにかぶせるような下降するssxの音階、それらは5音階ペンタトニックの5拍子でできている。
そして同時にこれはイントロを形成する重要な音でもある。

主モチーフはたった「3つの音」からできている単純なもの、にもかかわらず、かなり自由なイマジネーションによる、しかし約束された(アドリブ)展開と、何度も帰結するモチーフの妙に、まるで「予定調和」のごとく、正統派JAZZファン以外の人たちの心までをも、グイッとつかんで離さないものがあった。

今ではお目にかかれることが少なくなってしまった、非シンセの音や、ハモンドオルガンの音色に、そしてssxの持つ和楽器との共通性や、ここでのドラム演奏の・・・テンツク・テンツク・テンテンツクというリズム音型や、初音にアタックを置いたドラミングは、お祭りのお囃子のようでもあり、所謂JAZZドラム奏法の合間合間に入れ込んだ演奏法は、感覚的に日本人の心の琴線に触れるものがあったに違いない。

ディスクではA面にこの「ダンシング・ミスト」1曲のみが収録されている。
クラシック音楽の循環形式にも似て、モチーフが紆余曲折しながらも、幾度も・・・数えようとしたのだが、つい音楽に引き込まれてしまって、正確な数ではないが、恐らく7.8回は繰り返し何度も戻る。

イントロと展開移行音は、5音でできているし、モチーフは単純な3つの音、その展開だから、誰でも一度聞いただけで、モチーフとその第1展開が記憶に残る。
そんな「ダンシング・ミスト」であるが、変拍子のごく自然な活用と、転調とアドリブ展開の巧みも指摘せねばならないだろう。
その展開はファンキーとされているJAZZっぽい・・・ハービーハンコックのようでもあり、初期ウエザーリポートのようでもある。

マイルスのクロスオーヴァーJAZZ「ビッチェズ・ブリュー」の亜流のような評価をするの見かけることがあるが、マイルスの子飼い、ウエザーリポートの1年前に、すでにわが国のJAZZメンがこのような音楽を作っていた事実は、キチンと認めなくてはならないし、後に、尺八の山本邦山 との「銀界」を出すことの萌芽・・・「和とJAZZ」がすでに「ダンシング・ミスト」において見られるようだ。

今日は朝一番で、「ダンシング・ミスト」を一気に聴き上げた。
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by noanoa1970 | 2007-06-24 10:25 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)