ドビュッシーとホルストあるいはグリーグは・・・

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今朝早く起き、一番に聞いたのが
ベルガマスク組曲(Suite bergamasque)。
ドビュッシーの代表作の一つ、4曲からなり「舞曲」のリズムをドビュッシーの音楽語法で料理したもの。

3曲目はドビュッシーのピアノ音楽の中で、最もポピュラーな「月の光」である。
今日の音盤は「サンソン・フランソワ」の・・・天邪鬼気味な演奏。
もろもろの演奏と比べるまでもなく、多分「フランソワ」は楽譜の解釈が相当違っているように聞こえる。

和音の音も、フレージングも、ほとんどにわたって他のどの演奏にも無い、・・ユニークな音がする。「フランソワ」のショパンにも同じような傾向があり、このドビュッシーでも方法は多少異なる感もあるが、とにかく自分の、時分だけのドビュッシーを聞かせてくれ、またそれが変に媚を売らない・・・孤高のピアニストのようなところと、遊び心と鋭さが両方あり、同時に高貴さと俗なところやウイットを感じさせるピアニズムが破綻無く融合しているから、はじめは奇異に感じるが、聞くにつれて彼のピアノに引き込まれるようになってしまう。

要注意人物ピアニストである。

「月の光」なんか・・・・他の人の・・・聴感上だが、倍の速度で弾いているように聞こえる。

さて「ベルガマスク」の「ベルガモ」は、装飾品ブランドの名前で有名だが、「ウキペディア」によれば、『ベルガモ(Bergamo)は、人口116,510人のイタリア共和国ロンバルディア州ベルガモ県のコムーネの一つで、ベルガモ県の県都である。
ベルガモは旧市街のチッタ・アルタと呼ばれるベルガモ・アルタと、FSの駅がある新市街のチッタ・バッサと呼ばれるベルガモ・バッサとに分けることができる。
ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」はここが舞台。』とある。

それは多分、若きドビュッシーが滞在したと伝えられるイタリア北部ベルガモ地方の歌や踊りなどの印象からだという話からであると思われるが一方で、ベルレーヌの「優雅な宴」にある「マスクとベルガマスク」・・・「マスクは仮面舞踏会そしてベルガマスクは優雅な18Cの宮廷音楽』であるとする2つの説からのようだ。

2つの説のいずれが正解か・・・それは多分今も謎のままであるように思うが、そのこととは少し距離を置いて、ジックリと音楽、そして音に耳を傾けてみよう。

これからお話しすることは、絶対音感がある肩や、楽譜を音楽辞書にするような人には向かないことを、先ずご承知いただきたい。

ベルガマスク組曲を聴いて思ったことをランダムに書き出すと・・・
前奏曲(Prelude) と月の光(Clair de lune)
メヌエット(Menuet) とパスピエ(Passepied)
全4曲中この2つづつがどうも「対の関係」にあるようだ。
それはくくられる楽曲に共通の音型が使われており、リズムと調整を変えてはいるが、よく聴けばわかる。(このあたり、絶対音感の人や楽譜がバイブルのような人だと、帰ってわかりにくいかも・・・)

前奏曲(Prelude) と月の光(Clair de lune) は踊りのリズム百木田音楽語法とは関係が無い名前がついてはいるが、どうもそれは違っていて、古代あるいは相当古い時代の踊りのリズムパターンとアクセントを持っていて、もう一つのくくりであるメヌエット(Menuet) とパスピエ(Passepied)を含め、4つ全てが「踊りのリズムパターン」と思しきことに行き着くのである。

さらに
前奏曲(Prelude) と月の光(Clair de lune) が、17あるいは18Cあたりの貴族的な香りが摩るのに比べ、メヌエット(Menuet) とパスピエ(Passepied)は、もっと古い時代の、しかも・・これは推測だが、貴族や宮殿の舞踏会ではなく、もっと庶民の・・民謡や外国の(この場合非フランス的な)踊りのリズムあるいはメロディパターンを内在したもののように聞こえるのである。

つまり
このベルガマスク組曲には「聖と賎」あるいは「神聖と世俗」とでくくられるペア・・・の楽曲が対比されるかのようにして順番に出てくるのである。

この推理に行き着いたのは、パスピエ(Passepied)で、このパスピエはブルターニュ地方に古くから伝わる舞楽・・・恐らくは庶民の冠婚葬祭時の歌やその踊りのリズムパターンで、8/6あるいは8/3拍子だといわれる。(ドビュッシーは4/4に変更)
このブルターニュ、8/6で想起するものといえば、アイルランドやスコットランドの伝統かや踊りのリズムパターン。

アイルランドの「ジグ」は「ジーグ」となって大バッハも管弦楽組曲の中で使用することとなる。ドビュッシー自身も「ジーク」を作っていることから、「パスピエ」は元来ブルターニュあるいは海を越えたケルト文化権の固有の舞踊リズムパターンではなかったのかと推測したのである。

4/3拍子のメヌエットも・・・フランスが発祥とされるが、それはいかがなものだろうかと、従来の定説に、思わず刃向かいたくなってくるのである。またメヌエットというと貴族や宮廷を想起するところであるが、これとて出自は民俗舞踊である可能性が無いわけではない。

「月の光」を「アリア」とし、あたかも大バッハの組曲の様相を思わせるような記述もあるが、それだけではドビュッシーの「深層」に踏み込んだことにはならない。(と思う)

ドビュッシーは(立派な)プロレタリアート階級の出自。
どのようにあがいても階級意識の強いフランス社交界では卑屈にならざるを得ない存在であったろう。
いかに貴族趣味を持つに至っても、それは貴族趣味であり、生粋の貴族とは隔世の感がることは、ドビュッシー自身が一番よく知っていたはずである。
ドビュッシー底辺には常に「聖と世俗」あるいは「聖と賎」という2つの大きな階級意識があったように思うのである。

そこに「古代ギリシャ・ローマ」に、そして一般には知られてはいないが、「ケルト」へと目を見開き、従来の「クラシック音楽」の枠からはみ出した革命的とさえ思われるほどの曲が書ける原動力でもあった。・・・ように思うことしばし。

さて、・・・前奏曲(Prelude) と月の光(Clair de lune)のフレーズには同一の音型があり、そしてそれはグリーグの、そしてホルストの「ある曲」と非常に類似しているのにお気づきの方・・・いらっしゃるだろうか?




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by noanoa1970 | 2007-06-01 10:52 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by クロード at 2008-10-26 13:26 x
え〜、前奏曲(Prelude) と月の光(Clair de lune)のフレーズには同一の音型があり、そしてそれはグリーグの、そしてホルストのどの曲に似てるんですか?
気になります!
Commented by noanoa1970 at 2008-10-26 18:01
こんにちは
まずはじっくりご自分の耳で聞いてみてください。前奏曲のある曲と月の光のあるフレーズの類似性がわかると、あとは簡単ではないでしょうか。しかしこのことはジックリと何回も聞かないとわからないことかもしれませんし、小生の耳の妄想なのかもしれません。ヒントは「ケルト」でしょうか。