昔のロス伯爵家の人々の行進曲 「Marche des anciens comtes de Ross 」

最前のエントリー「スコットランドとフィンランドの」邂逅にての、ドビュッシーの「民謡によるスコットランド行進曲」引用のスコティッシュ・トラディショナルとは・・という疑問が消えなかったので、今をときめく超大手コミュサイトに、質問をしてみた。「ドビュッシー」を愛好する諸氏が5000人以上集っている凄いものなので、どなたかが回答をくれると、期待して、3日が立つが、いまだ何の音沙汰も無い。
昔の「猫」のほうがましなのかと、改めて「猫」の偉大さを思い知ったしだいであった。

小生なりに調べた結果、わかったことがあるので、忘れないうちに整理して書いておくことにする。

≪ロザンタールの肖像≫今回はカラーで、
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・スコットランド風行進曲は、ドビュッシーの受けた最初の委嘱作品で、若き日の20代最後の1891年に作られたもの。

・ブリテン島のメルディス・リート将軍の依頼によって作曲、当時のドビュッシーの環境は、パリのロンドン街で、ピアノとベッドだけの貧しい屋根裏部屋に住んでいた。

・1891年のある日、一人の英国人がドビュッシーを訪れ、このイギリス人がリート将軍であった。

・将軍は無名の作曲家に、自分の家系を記念する曲を依頼し、 1891年、ドビュッシーは4手のためのピアノ音楽として、《いにしえのロス家の人々の行進曲」を作曲。

・「スコットランド貴族、ロス家の子孫、メルディス・リート将軍に献呈」添え書きがつけられていた。

・また「4手のためのピアノ曲」のスコアには、以下の長い文がエピグラフとして書きこまれていた。・・・・〈スコットランドのロッシャー地方のロス氏族の長、ロス伯爵家のロス氏の出自は、大昔の時代に遡り、この長はバグパイプを鳴らす戦闘集団のなかにあった。彼らはこの行進曲を、戦さの時、勝利の祝宴の時や結婚式などに、王の面前で演奏した。そして、この行進曲は、実際の行進の合唱隊によっても歌われたもの。

・「4手のためのピアノ曲」は、1891年にエピグラフをつけてシュダン社から出版、1903年フロモン社から再出版する時に「民謡を主題としたスコットランド風行進曲」に改題された。

・さらに1908年頃、ピアノ曲からオーケストラ曲への編曲をドビュッシー自らおこない、オーケストラ版は、ドビュッシーの晩年、1913年4月19日、シャンゼリゼ劇場の「ヌーボー・コンセール」で「D.E.アンゲルブレシュト」によって初演された。

・この初演に同席したドビュッシーは、「アンゲルブレシュト」の演奏と自身の管弦楽編曲に大変納得したといわれる。

大まかに以上の事柄が判明したので、さらに「民謡」のルーツを探ろうと、試みてみたが、今のところ該当音源の発見には至らない。

「ロス伯爵」については、少ないながら以下の記述を発見。

『1487年に、キャサリンは、スコットランド王ジェイムズ三世の次男ジェイムズ・ステュアート(ロス伯、後にロス公)と婚約した。ヘンリー七世即位の2年後のことだ。
このときキャサリン8歳、ロス伯ジェイムズ11歳。
この婚約は、キャサリンの義兄ヘンリー七世とジェイムズ三世との協定によるもので、同時に、ジェイムズ三世の長男ジェイムズ(後のジェイムズ四世)と、キャサリンの姉妹の一人を結婚させるという約束もなされた。』

・・・つまりスコットランド王族のジェイムス3世の次男が「ロス伯爵」・・・ロス家の発祥で、「キャサリン」と結婚した人物であるが、スコットランドおよび、イングランドの歴史上の人物には、同じ名前がたくさん登場するから、頭が混乱してよくわからない。

ただいえるのは、ドビュッシーに作曲を依頼したイギリス人、「スコットランド貴族でロス家の子孫、メルディス・リート将軍」の先祖は15世紀のスコットランドの貴族であるという事実であった。

しかし依然として、ドビュッシーが引用したスコットランド民謡のオリジナルが判明しない。
引用メロディは、かなり小生の耳に馴染んだものなので、そのうちひょんなところで発見できるかもしれないので、それまで楽しみにしておくことにした。


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by noanoa1970 | 2007-04-30 19:15 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(3)

Commented by dr-enkaizan at 2007-04-30 22:54
毎度です たしかに猫の論客は恐るべきものでしてよね、このスコットランドの古謡はいまでは架空説としてドビュツシーが報酬上の仕事の口実につけた物語という節もありますが、その後の反応お待ちしております。

なお嘗て昔はストロング小林少年様が立てた映像のジーグスレッドのモトネタさ凄まじかったことを思い出しました、ゆえ当ブログにも手配書だしときます。
Commented by sawyer at 2007-05-01 08:43 x
dr-enkaizanさん。毎度お世話になります。
「もう森には行かない」も、ドビュッシーがたびたび引用した仏童謡ですが、「London Bridge is falling down 」との類似性も見えそうです。ケルト諸国でもヨーロッパにおいても「森」は異空間の世界、ゲルマン民族やケルト民族の神々がキリスト教によって、駆逐された残像の反映とも読むことが出来そうです。フランソワーズ・アルディに「森には行かない」の優れものがあります。「スコットランド行進曲」のオリジナル判明しましたら、是非ご一報お願いいたします。
Commented by noanoa1970 at 2007-05-01 09:15
Sieg=Giguesなのか?それともアイルランドの民俗楽器の一つ「バウラン」(タンバリンに似たもの)の演奏法・・・リズム=「ジーク」のことなのか。いずれにしても面白そうな気配・・・