コマーシャルで使われる曲

TVを見ていて思わず「懐かしい」と思ってしまう音楽が最近良く登場する。
棒携帯電話会社のCMでそれが顕著である。
ある携帯電話会社は、最近まで「プロコフィエフ」の組曲版「ロミオとジュリエット」から「モンターギュ家とキャピレット家」の音楽・・・・バレー音楽版では「騎士達の踊り」が使われていて、「予想外」というキャッチコピーとともに目と耳についたものであった。
最近では「予想外犬」が登場し、同じプロコフィエフの「ピーターと狼」のテーマが使用される。
このCM作者は、よほどプロコフィエフがお気に入りなのだろうか。

さて「懐かしい」と小生が言うのはクラシック音楽ジャンルではなく、60年代にリアルタイムに聞いていた曲が2つも登場したことにある。
奇しくも2つともが某携帯電話会社のCMである。

その一つは
新世代チャーリーズエンジェルの、「キャメロン・ディアス」が、子供と一緒に家から出てきて、スクールバスに子供を乗せようとするシーン。
あたりの風景は裕福そうな山の手の瀟洒な町並みの一角。
そのとき聞こえてくるのがなんと「フランク・シナトラ」の長女「ナンシー・シナトラ」が60年代半ばに歌って、深夜のラジオから時々流れるのを「素敵な歌」と思いつつ聞いていた「シュガータウンは恋の町」であった。
イントロのベースの音が特徴的な「にくい貴方」のほうがヒットし、ラジオからはこちらがよくかかってはいたのだが、小生は「シュガータウン・・・」のほうが断然好きであった。

ほぼ同時期だったと記憶するが「ペトラ・クラーク」というイギリスの歌手がヒットさせた「恋のダウンタウン」という曲の・・・・いつもボサノヴァが流れ、好みの映画を上映する映画館があって、忙しさはあるけど、いやなことを忘れさせてくれる明るい陽の当たる光溢れる元気な下町、きっといいことが待っているそんな下町が好き・・・などという下町賛歌を、少しボサノバ・タッチで明るく軽快に歌うメロディアスな音楽と、「ダーンタウン」「ダーンタウン」と歌うそこで転調する洒落た音楽に好感を抱きつつ、「ナンシーシナトラ」のほんの少しブルーノートがかった・・・つまりほんの少し♭気味なトーン・・・この人の特徴だと思うのだが・・・・ナンシーの歌う「シュガータウンは恋の町」とともに、いまだに忘れてない曲のひとつになった。

「ダウンタウン」のほうは、なんとなくその意味をつかむことが可能であったが、「シュガータウン」は、それと大いに反して、その意味がさっぱりわからなかった。
というのも、「シュガータウンは恋の町」という邦題のなせる業で、「ダウンタウン」と同じような「町の賛歌」あるいは「恋人達の町」のような先入観を持っていたからだと思うのだが、中に出てくる「なついてくれる犬はいなかった」とか「友達もいなかった」などという断片が聞こえてきたのだが、どこにも恋の町・・・すなわち「この町が好き」なんていうことは、サッパリ聞こえてこないから、なにやら複雑な中身があるようで、しかし「シュ・シュッ・シュー・・シュ・シュッ・シュー」「シュ・シュ・シュ・シュ・シュッ・シュー」「シュガタウン」というところに、恋の予感めいたトーンを感じているにとどまった。

CMでこの懐かしい曲を聴いた瞬間は「ナンシーシナトラ」のオリジナルではないと思ったのだが、(実はペトラクラークの歌声に聞こえたからしばらく混同していた)が恐らくリマスターによるものであろう。しかしこの歌、前奏の明るい4拍子のリズムで始まる割には、中身の詩はそんなにも明るいものではない。この詩とメロディの落差には驚きである。
CMの・・・キャメロン・ディアスの明るいタッチとこの歌のメロディラインの明るさはマッチしているが、歌詞はといえば少々疑問が残る。(難解な詩だから聞いてもそうやすやすとは、わからないだろうが)
どうも某携帯電話会社のCM政策担当者の中に、背景や意図と真逆の関係の曲を当てて、喜んでいるようなものが見え隠れする。
これも「意外・・・・」というキャッチフレーズのなせる業なのかと、勘ぐってしまう。

さて次の一つは上の曲を使ったCMとは別の棒携帯電話会社のもの。
この曲も60年代半ばにラジオからかなりの頻度で流れてきた。
「ダイアナ・ロスとシュープリームス」が歌う邦題「恋はあせらず」だ。
フィルスペクタータッチのリズムと、ダイアナロスのヴェルベットヴォイス、そしてチョットだけモータウン系のR&B的な要素を残しながら、繰り返しの強調が特徴的で、しかも小生が好きだったのは、曲想を変えるために、転調するための繋ぎのところ・・・「I need to find, find someone to call mine But mama said」の洒落たシンコペーションの歌いまわし・・・これを真似ようとして何回と無く不成功に終わったが、あるときちょっとしたきっかけで成功したときはうれしかったものだった。

また、中に「That keeps me hangin' on』という言葉が出てきて、後にダイアナロス自身は同じフレーズのYou keep me hangin' onという曲を歌うことになるのだが、同時期に「ヴァニラ・ファッジ」というアイスクリームのようなグループが「keeps me hangin' on」という曲を歌ってヒットさせていた「ダダン・ダダン・ダダン・ダダン・・・」「take me free why don't you know」という出だしで始まるソウルフルな曲でこれも好きな曲の一つであった。
「keeps me hangin' on」という言葉の意味がわからなくて、辞書を引いたが該当が無く、随分苦労したことがあった。
どうやら「忘れられない、あるいは脳裏を離れない」というような意味であるらしい。
慣用句・米国のその筋の俗語なのかも知れない。

TVのCM製作者達は年齢的には、恐らく50台人になると第一線から遠ざかっていることだろうから、30台から40台の人が当たることであろう。
彼ら若手の作るCMに使う曲が、60年代に・・・ヒットこそしたが、トップチャートにぐランキングされなかったものを採用したのにはどのような理屈や感性が・・・あるいは商業的、趣味的要素が働くのだろうかと、興味がわくこのごろである。

そしてもう一つ50年代、60年代の音楽が、どのように現代の・・・主に若者に受け入れられているのかにも、興味を抱いているのである。

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by noanoa1970 | 2007-03-28 10:01 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)