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ブリコラージュ&クロームメッキの映画「珈琲時光」・・・2

侯孝賢が小津へのオマージュを強く持っていたと思われる根拠としては、小津映画のテクニックの模倣とも思える以下のようなところがあるのは事実であろう。
小生なりにここで一度整理しておくことにする。

・畳に座った人物たちを安定した構図のなかで捉える最適のポジションがこの低い位置からのカメラ・アングル「ロー・ポジション」 ・・・陽子が帰省した実家の場面
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・構図を重要視するため、「カメラを固定しあくまで標準レンズ」を使用。
・・・これはあらゆるシーンで見られる大きな特徴である。
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・ショット間の繋ぎはほとんどカットによるものあり、オーバーラップ、フェード・イン、アウトといったテクニックを使わない「カット繋ぎ」。

・シーン間やシーケンス間に必ず風景のショット、場所を説明するようなショットがはさみこまれている「カーテン・ショット」の多様・・・・場所や駅名がわかるものを必ず表示している。
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・人物同士の視線が一致しない構図優先の画面を作り上げる「正面向き・逆向き・横向きのショット」 ・・・登場人物の会話は、すべてが視線を合わせることがない
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・ワンシーンがワンカットの長回しで撮られているような時間の流れ・・・「連続した時間の流れ」・・・電車を乗り継いでの移動のシーン、歩くシーン
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・同じ画面に同じ様な形をした物や人物が並ぶ構図が登場する「シンメトリー構図」・・・高崎の実家の場面など。・・・・しかし小津ほど細部にまでこだわりはなjく雑然としたところが多い。
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・何事もなく静かに過ぎていく「連綿と続く日常生活の時間」がまるでアダージョのように流れる。 ・・・小津映画と同じようにこのことが主題なのかもしれないのだが。

侯孝賢の「珈琲時光」には、ほぼ間違いなく上記の小津敵特徴が窺える。
しかしくどいようであるが、侯がそのテクニックを、自然さに紛れ込ませた不自然さを断片的に、コラージュのように紛れ込ませたところで、結果は意図した真逆 になってしまった。

ただあくまでも、この作品を小津のオマージュ作品という目で見るから、あえてそのようなことを言わざるを得ないのだが、 もし本作品を「小津安二郎」のオマージュという呪縛から開放して観ることが出来たら、違う何かが見えはしないだろうかと、・・・・・・

そこで、改めて本作品を観ることにした。

by noanoa1970 | 2007-02-18 10:00 | 動画・ムーヴィー・映画 | Comments(0)