モンポウとビル・エヴァンス

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以前から気になっていた録音を聞いた。
「モンポウ」自作自演のピアノ音楽集だ。情報では、フランス印象派の作品と、スペイン、カタロニアの民謡の要素が高度な平行和音と対旋律を駆使した和声の中で、自然体にミクスされ、えもいわれぬ・・・美しさと、静寂、そして透明な響きの音楽という評価である。

事実、ドビュッシー、ラヴェル、サティ、プーランクなどのドフランス近代ピアノ作品のような要素も、スクリアビン的な神秘性も感じられる。
驚いたのは明らかに「セリー」と思しき音が聞こえてきたことだが、時代を考えれば当たり前のことだろう。
彼の作る和声は不思議な響きを持っていて、明らかに「不協和音」ではあるのだが、何がそうさせるのだろう。1音違うと耳には馴染まない音となってしまうところを、結果、心地よいく透明で、静謐で美しい音が響く。

モンポウ自演のピアノの音は、透明感はあるが、マスターテープの瑕疵によものか、音ゆれがあり、音の最後が微妙に、「陽炎」のように揺れる。
それが逆効果となって、イベリア半島の風景を演出するかのように聞こえることとなる。

最初の「Cuaderno Nr. 1&2」から2枚目「Cancons I Danses」 を経て
「Impresiones intimas」から4枚目の有名な「Variations Sun Un Th me De Chopin 」を含む「Pr ludes」と聞き進むうち、小生はある音楽を想起していた。
それは
JAZZピアノの「モード」奏法の第一人者で、人気が高く、数々のすばらしいアルバムを作ってきたJAZZ界のプリンスと呼ばれる「ビル・エバンス」その人であった。
モンポウを聞き進みながら、この「音」は昔から耳に馴染んできた音・・・・とは思って、それをフランス印象派の音楽に探したが、まったくのそれではないことが、他の何かを探すことにつながったのであった。

何度か繰り返し聞きすすむ2枚目Cancons I Dansesにいたったとき、突然のように「JAZZ」の音が聞こえてきたのだった。
最初は「バップ」の・・・「セロニアス・モンク」あるいは「バド・パウエル」と思うところもあって、彼らのアルバムを聞いて確認したのだが、どうもそうではない。
そこでたどり着いたのが「ビル・エバンス」・・・の中でもこの「自己との対話」というアルバムだった。モンポウの音楽のテンポを早くして、即興的なリフを多く入れると、とてもよく似ている。

エバンス:1929年8月16日 - 1980年9月15日
モンポウ:1893年4月16日 - 1987年6月30日
活躍の時代はほぼ同じだから、お互いが影響しあった可能性が無いとはいえない。
一般的には、「エバンス」はフランス印象派から影響を受けたといわれることが多いのだが、音楽そのものから、小生は、ひょっとしたら「モンポウ」を大いに参考にしたのではないかと考えたい。

エバンスがヨーロッパの西の果てイベリア半島の音楽家にインスパイヤーされ、「モンポウ」は「エバンス」のJAZZを、フランスはパリの、どこかのライブハウスで聞いていた・・・・そのような「ロマン」を想起してしまうほど、両者の音楽には共通性を感じてしまう。
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by noanoa1970 | 2006-12-23 09:50 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(4)

Commented by HABABI at 2006-12-23 20:47 x
モンポウのこのCDを聴いていると、ビル・エヴァンスのピアノと共に、チック・コリアの20年以上の前のピアノ・ソロアルバムを思い出します。モンポウのピアノはとても上手ですね。
Commented by noanoa1970 at 2006-12-24 10:47
チック・コリア・・・なるほどおっしゃるとおりです。実はキースジャレットも想起していましたが、チックコリアは例のアルバムしか聴いてなかったもので・・・・機会を見つけてソロアルバムに手を出してみようかな。「リターン ツー・・・・」ではあまりわからなかったのですが、和声法似ているのか興味がわきます。
Commented by HABABI at 2006-12-24 18:29 x
チック・コリアは1971年に"PIANO IMPROVISATIONS"を、1978年に"DELPHI"を、そして1983年に"Children's Songs"というソロ・アルバムを出しています。キース・ジャレットも好きですが、彼の場合、シンプルなメロディーとちょっと粘着質で神秘的な部分が混在しますが、チック・コリアの場合は、もっとクールな感じがあります。和声のことはよく分かりませんので、機会がありましたら教えて頂けますと幸いです。ちなみに、ビル・エヴァンスとチック・コリアはコンサートで聴くことが出来ました。キース・ジャレットは一時期、のめり込むようにCDを繰り返し聴いていたことがありました。
Commented by わお at 2016-09-06 19:39 x
こんにちは。
初めてコメさせて頂きます。
全く同感です。
単に和声上でテンションコードを用いれば,それらしい格好に聞こえるというのではなく,響かせ方に,作曲家,演奏家自身の美学,生き様が聞こえるような気がします。
私は,ショパンの主題による変奏曲第8変奏に,エヴァンスの響きを感じました。