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お気に入りの器

京都に長く住んだ今は無き義父の残したもの。
後から友箱をしつらえたと見え、箱書きは無いが、作品がピッタリ収まるように作られている。
何気ない、白い上薬がかけられたシンプルな、磁器の鉢あるいは花瓶らしきものである。
義父が亡くなった後、後を整理していたら出てきたものであった。
直径約22センチ、高さが15センチほどのもの。
見つけたときは、あまり目立たなかったが、手にとって眺めると、なかなかのものであることがわかった。
ふちに少し欠けたところはあるが、その器の素朴さと、優雅さ・・・相反するようなものが混在しているような気がしたのと、何の装飾もないシンプルさが気に入った。
見れば見るほど品位が感じられる。
危うく見逃すところだったが、高台を見て仰天することとなった。
それはかつて見た陶芸家の作品にあった、「近藤悠三」の「悠」の銘があったからである。
それは呉須で書かれている、そしてまったく同じものを昔美術館で見た覚えがあったからだ。
近藤悠三は義父とほぼ同年代で、同じ頃京都で修行していたことや、京都市立美術大学時代、あるいは義父も、「帝展」に絵を出品していたから、そのあたりで交流があったやも知れず、作品を手に入れたのだろう。
この作品は近藤が得意とした「染付け」では無いのが残念だが、「習作」と仮定すれば、後にはこの白い磁器のキャンバスに少し西洋風の絵付けをし、「染付け」を開眼する前の、若い頃の作品であるのかもしれない。
シンプル、素朴、透明、モダン性を感じさせ、しかも存在感があるこの作品は、「アールデコ」様式の諸作品にも通じるように見受けられるのである。
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by noanoa1970 | 2006-12-06 14:49 | 骨董で遊ぶ | Comments(2)

Commented by さんご at 2006-12-07 10:21 x
器は好きだけど、詳しくないのですが。
なんともいえない味わいですね。
花瓶にしてはこぶりで口が広く鉢にしては背がありそう。
赤い金魚が似合いそうって言ったら怒られるかしら?
Commented by sawyer at 2006-12-07 12:54 x
そうです。この器の有効な使い道、いまだ見出しておりません。何かGOODアイディアないでしょうか?