My rifle, My Pony and Me,

邦名では「ライフルと愛馬」と訳される。
なんと素敵な訳し方だろうか。
クラシック音楽分野、「ヴォーンウイリアムス」の(The Lark Ascending)を「揚げひばり」などと訳すのとは大違いである。

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これは映画「リオ・ブラヴォー」の挿入歌で、1959年のヒット曲となった。
小生は海外のヒットチャート曲を流す、ラジオの「S」および「L」盤アワーという番組でこの曲を知り、当時大学生の叔母の持っていたEPレコードを何回も聴いて、この曲の英語の歌詞を1番だけだが暗記できるまでになったから、この曲には相当の思い入れがある。

映画そのものはリアルタイムでは見ることができなかったのだが、リバイバル上映された1960年代のはじめごろ・・・「アラモ」の後で見ることができた。

「アラモ」は1960年製作、「ジョン・ウエイン」が多額の財産を投じて監督、演出、そして出演した70ミリ映画の元祖的大スペクタクル映画で、小生は中学2年生のときだったか、友達と夕方繁華街の映画館に足を運んだことが有った。

当時中学校のそのクラスでは、なぜか親米派と親ソ連派地にクラスが分かれていて、そのリーダー各にはクラスで1・2を争う成績の持ち主が立っていた。
親ソ連の一人は京大、親米の一人は武蔵工大へと進んだことを覚えているが、京大に進んだ親ソ連派の男は今頃何しているのだろうか。

今思えば、「幼稚園児が地球は丸い」というような、彼らの社会主義と資本主義に発展した議論はよく理解できなかったが、西部劇は大好きだったから、映画もTVも音楽もよく見聞きした。
「リオ・ブラヴォー」は「アラモ」の1年前、1959年の製作で、同じく「ジョン・ウエイン」が保安官役で登場していた。

あらすじは他愛もないもので、西部劇にしては珍しく飄々と、淡々としたストーリー展開。
丸腰の男を殺した男を裁判にかけるために、監獄に入れてある男を、その兄の悪者一家が奪還に来る、保安官を手伝う・・・腕のいい今は飲んだ暮れの男と、足の不自由な老人、そして新たに加わった若い男、そこに半場を渡り歩く女性が絡み、運悪く悪党たちに囚われる身となった保安官助手の飲んだ暮れ男。

お互いが抱える「人質交換」で話はクライマックスとなり、銃撃戦が始まるが、助っ人に来た足の不自由な老人が隠れ、見つけた幌馬車に、ダイナマイトが積んであることを知って、くれー射撃のように投げたダイナマイトを打ち落とし爆発させることで、空き家に閉じこもった悪漢たちを逮捕する。

西部劇というより、「西部警察」を見ているようなのだが、登場する俳優がすごい。
「ジョン・ウエイン」のほかになんと「ディーン・マーチン」そして「リッキー・ネルソン」が登場するのだ。

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この2人が登場すれば当然「歌」が聞こえるのであるが、それが「ライフルと愛馬」というわけだ。
場面は、兄の一味である悪漢たちが、囚われている弟を取り戻しに大勢で今も襲ってきそうな夜。前触れにメキシコ地方の伝統メロディと称される「皆殺しの歌」・・・(これは「アラモ」でも同じものが効果的に使われている)・・・悪漢たちの親分が、酒場のバンドに金を払って演奏しろといって流れる音楽がこの「皆殺しの歌」で、これから起こる惨劇の序曲として挿入されるのだが、その音楽が聞こえなくなってから、保安官詰め所に篭城するかのような4人が、静かにそのときを待つときに、「ディーン・マーチン」によってアカペラで始まり、ついで「リッキー・ネルゾン」がギターで伴奏を、そしてハーモニーをつけ、次に反対にリッキー・ネルソンがリード、ディーンが口笛でハーモニーを付けるもの。
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足の悪い老人は、ハープ=ハーモニカで味のある伴奏をつける。
リッキーの弾くギターは装飾を施した小ぶりなギターであるから、おそらくメキシコ製の「レキントギター」であろう。
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物語の地はメキシコとの国境近い「テキサス」で、ホテルの経営者はメキシコ人である。

歌詞の中にも「アメリロ」とあるし、「リオ・ブラヴォー」も昔はメキシコの領地であったのだろう。
「アラモ」の戦いによってテキサスはメキシコから独立することになる。

ティオムキンは、いつものようにではなく、この映画では大掛かりな音楽を使わなかった。
しかしそこには不気味に、「皆殺しの歌」が変奏曲風に塗りこめられ、物語の悲劇的な結末を予感させるが、そこに救いのごとく、保安官ジョン・ウエインを除く全員で奏されるバラード風の「ライフルと愛馬」そして軽快なカントリー風の「お帰りシンディ」を挿入することによって、見るものを安心させてくれる。

ディーン・マーチンの歌声は低く、よく響き、歌唱力も秀逸。
恋人に、思いをはせながら、夕暮れの荒野をただ一人行く・・・ライフルと馬だけを頼りに
淡々と、しかし切々と歌う声と姿に心打たれる。

「リッキー・ネルソン」はこのとき30前のいわばアイドル的存在。
「ヤングワールド」や「ハロー・メリールー」で有名で、なかなかの歌唱力。この後すぐに名前を「リッキー」から「リック」に変える。
年増に好まれそうな美形の好青年である。

今回DVDで・・・・これがまた格安で、699円とは破格。DVDがCDより安い価格状況など想像だにしなかった・・・・ジックリと見たおかげで、今まで気づかなかった「おぁえりシンディ」という曲が挿入されていることを改めて知ったのだが、「ティオムキン」という人は、ロシア人でありながら
米国人以上にカントリー&ウエスタンそしてブルーグラス音楽を知っていて、「西部劇」のエンターテインメントのファクターを親底知っていた人物であることに改めて気づかされた次第。
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by noanoa1970 | 2006-11-15 10:25 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)