ブリテン諸島の近代音楽

「序奏とアレグロ」という表題の音楽は、すぐに思いつくものだけでも3つある。
山田耕筰の曲と類似した旋律があり、「赤とんぼ騒動」でもおなじみの、先のブロフでも取り上げた、「シューマン」のピアノ協奏曲。
そして「ラヴェル」の美しいハープが活躍する曲、そして今日取り上げる「エルガー」の曲が、思いつくだけでもある。

小生だけかもしれないが、いずれの曲も「序奏とアレグロ」などという音楽用語の表題にしておくにはもったいない気がするものばかりで、特に「エルガー」のそれは、ブリテン諸島・・・スコットランド地方の伝統歌をその中の主題に使用した少々難解なところがあるが、美しい曲である。

エルガーの作品には「表題つき」のものが多く、小生はその表題も気に入ることが多いのだが、あえてこの曲に「文学的表題」をつけなかった「エルガー」の思いは何であったのかを想像することは、この(美しくも、急にはなじみづらいこの曲を聴くたびに、頭に描いてしまうことでも有る。

「スコットランドの民謡をモチーフにした新しき歌」と言ってもおかしくは無いように、この曲には「伝統と現代」の要素がちりばめられていて、それがめまぐるしく変化成長し、そうかと思うと、「昔」に戻る。
バロック音楽のコンチェルトグロッソ風なところがあるかと思うと、レスピーキの「古代舞曲とアリア
・・・」゙やバーバーの「アダージョ」風なところを感じることができる。
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しかしそれらはすぐにブリテンの伝統歌らしき旋律線と、それにつけられた和声によって打ち消され、「牧歌」が聞こえる。
それで・・・聞くほうが安心してその「牧歌」に身をうゆだねようとする、その瞬間に「牧歌」は再び素早いリズムとともに、遠くに追いやられ、遠くから懐かしむように伝統歌らしき主題が奏されるがその主題の処理は昔のそれではなく、リズムも速度も前と異なっていて、早足で駆け抜けていくようだ。

「エルガー」はこの曲で、失われていきつつある「昔の夢」と、意識して持とうとした「近未来への夢」を託し、表現しようとしたのであろうか。
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弦楽合奏の中に弦楽四重奏をハイライトさせるという手法は、「過去と現在、昔と近未来」の対比の意味を持つのであろうか。

アンドリュー・デイビスとBBC交響楽団
エイドリアン・リーバーとカペラ・イストロポリターナ・・・NAXOS
NAXOS盤は大健闘、パートの音が明晰な録音のよさも特筆。デイビス盤は、やや緻密さにかけるのが残念であったが、さすがに変化するリズム処理の腕はすごいものがある。。
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by noanoa1970 | 2006-10-15 10:54 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(1)

Commented at 2006-10-15 13:23 x
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