浅川、マキ1974

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バックミュジシャンの山下洋輔、坂田明といえば思い出すのは1980年代半ば、その頃小生はトヨタ系の会社が多い、豊田、刈谷、岡崎、豊橋、そして鉄鋼大手のある知多地区を管轄する営業所に配属された。営業所は岡崎という古い街にあり、小生も岡崎に住むことにした。
この街は、かつて「徳川家康」がいた城があり、街を流れる乙川では、夏にはスケールの大きい花火大会が催され、小生のマンションから、それがパノラマのように見えたから、ビールを片手に見物が出来た。

営業所には東京から転勤してきた神戸出身、関学出のIがいて、音楽好きということで、連れ立ってしょっちゅう飲みに行った。

営業所の裏手には、JAZZ界では有名な、医者兼ミュジシャンたちの育ての親でも有る「内田 修」氏の住まいが有って、時々楽器らしきものを抱えた・・・如何にもミュジシャン然とした人たちが、入れ替わり入って行くのが目撃できた。

営業所から小生の住むところまでの間には、JAZZ喫茶&レストラン「セント・ルイス」という店があって、普段はJAZZのレコードがかかっていて、聴きながらワンショットやるにはちょうどの雰囲気の良い店で、最初の住居が気に入らなかったTは、小生と同じマンションの上の階に越してきたから、帰りに立ちよって、ひと時を過ごす多くなった。

その「セント・ルイス」は、時々JAZZのライヴを企画して、中に冒頭の・・・・この浅川マキで出演している2人のライヴがあって、勇んで聞きに行ったことがあった。
しかし、そのライヴでは、ほとんど聴きなれてない、FREEJAZZが多く、坂田などは、冗談半分でもあるまいが、「馬」とか「牛」のマネをSAXで吹きまくり、モダンJAZZ から抜け出せないわれわれを挑発するようなライヴだったので、ちっとも酒がうまくなかった。

「セント・ルイス」オーナーの吉見氏は、内田先生の勧めがあって、JAZZ喫茶&レストランをやるようになって、特に親しくしたのは「日野元彦」(ds)であったと後年述べている。
1975年に前の店を立ち上げたのが、22歳の学生だったそうだから、小生より少し若い年齢である。学生時代からJAZZが好きだったそうだ。
しかしその彼も、今は50台半ばである。

小生は、「セント・ルイス」ではバドワイザーかウイスキーソーダを注文し、何かおつまみ・・・というと、彼は「チーズの焼いたもの」はいかがですか」といって、ゴーダチーズをフライパンで焼いてパリパリになったものを提供してくれた。
小生が京都で、日本でも初に近いピザの店、「NOANOA」をやっていた人間であるとは、夢にも思わなかったことだろう。

内田先生の存在は、岡崎を「JAZZの町」へと変える力を持っていて、大勢のミュジシャンが集まってくるから、ライヴをやる場所も徐々に増え、JAZZ喫茶も、京都に比べれば少ないが、名古屋に匹敵するほどの勢いがあった。

海にも近く、そして山にも割りと近いから、朝市には、山海の珍味が並び、古い町並みが文化の香りに包まれる・・・・そんな町が「岡崎」である。
近年NHKで八丁味噌とJAZZの朝ドラをやっているようだが、ここにも、そのような背景がある。ちなみに八丁とは、岡崎城から北へ八丁の地区で作られた「豆味噌」の総称である。

このアルバムでの二人は、オーソドックスな演奏をしていて、彼らがキワモノのミュジオシャンではないことが、そしてちゃんとした音楽的素養を、身に着けていることが、ハッキリ分かるような演奏をする。
だから、浅川も安心して音楽に身を任すことが出来、彼らの音楽のバックに支えられて、
ノビノビとスイングするような歌が聞こえてくる。

浅川は、ここで「ラングストン・ヒューズ」の詩に「山下洋輔」が曲をつけたものを3曲、そして師匠でもある「寺山修司」の詩に、彼女自身が曲をつけたものを1曲取り上げた。
山下洋輔・森山威男・坂田明・稲葉国光というJAZZカルテットによるスインギーな、バックもよいし、坂田のクラリネットが聴けるのも面白い。

[MAKI VI]
(1974.12.20神田共立講堂ライヴ含む)
1.わたしの金曜日 (浅川マキ/山下洋輔)
2.港町 (Langston Hughes 斉藤忠利(訳)/山下洋輔)
3.ジン・ハウス・ブルース (浅川マキ/Henry Troy-Fletcher Henderson)
4.キャバレー (Langston Hughes 斉藤忠利(訳)/山下洋輔)
5.あんな女ははじめてのブルース (Langston Hughes 斉藤忠利(訳)/山下洋輔)
6.今夜はおしまい (浅川マキ/浅川マキ)
7.戸を叩くのは、誰 (寺山修司/浅川マキ)
8.ボロと古鉄 (浅川マキ/Oscar Brown Jr.-N.Cautis)

浅川マキ(vo)、山下洋輔(p)、坂田 明(as)、稲垣国光(b)、森山威男(ds)
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by noanoa1970 | 2006-09-25 08:10 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(1)

Commented by drac-ob at 2006-09-25 16:51 x
そうか、岡崎と言えば「純情きらり」では無く、ドクタージャズの根城ですね。彼にお世話にならなかったジャズメンはいないと言われるくらいですから、相当いろんな面子が出入りしたと思います。
フリージャズは慣れないときついですよね。私も山下洋輔は本から入ったので最初のトリオの演奏を聞いたときは訳が分かりませんでした。友人で熱狂的なファンがいたので、どこが良いのか問い詰めた所、本人も良く解っておらず、安心したような気が抜けたような思い出があります。八丁味噌そういう語源でしたか。口八丁手八丁とは関係ないのですね。