ブリテン諸島の近代音楽・・・「アイルランド牧歌」

「ピーター・ドッド」という作曲家の名前は今まで一度も聞いたことがない。勿論作品にいたっては耳にしたこともなかった。
彼の詳細については全くといっていいほど分かるものがなく、1930年生まれとだけ表記がある。現在76歳で存命ということだ。

d0063263_13382683.jpg「アイルランド牧歌」という名前の・・・いかにもアイリッシュ好きの心をくすぐるような曲名に惹かれて、聴いてみることにした。

美しいメロディラインが、垢抜けしたブラームスのような和声の上で、哀愁を誘うハーモニーをかもし出す・・・RVWの「グリーンスリーヴス幻想曲」にも似た曲調の耳になじむ音楽であった。

d0063263_13354356.jpg引用されたメロディは、聴き覚えがあったのでアレコレ探したが、同じような曲調が多いアイルランドの古謡だから、なかなか特定できず、手持ちのものを片っ端から聞くうちに、漸くチーフタンズの「BELLS OF DUBLIN」というクリスマス音楽のアルバムで、ゲストの「ナンシー・グリフィス」が歌う、「THE WEXFORD CAROL」・・・「ウエックスフォードのキャロル」と同じと判明した。
アイルランドやブルターニュに伝わる古謡やキャロルは、良く似たものや、耳に慣れ親しんだものが多い。
「牧歌」は・・・夕暮れに神と自然両方に感謝と祈りをささげるような・・・聖と世俗両方の要素があると思われるから、キリスト教が異教徒懐柔策として活用したであろうキャロルは、意図的に聖と世俗両義の要素を兼ね備えたものだったのだろう。

「キャロル」は、だから例えば教会にいけないような人々にも、古謡・民謡の要素を取り入れたことで、広く歌われたのかもしれない。
聖と世俗をつなげる存在としてのキャロルは、異教徒の地においては重要な存在であったと思われるのである。

「ドッド」の音楽は近代音楽的手法など、一切使用しないで、親しみやすく、誰からも好かれるような作風がある。「音楽は誰のためにあるのか」・・・そんな根源的な問いかけに対する答えがここにあるように感じられた。
何度でも・・・リピート指示して繰り返し聞きたい音楽である。

ブリテン諸島の音楽にはそのような心持にさせるものが多い。
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by noanoa1970 | 2006-09-19 13:31 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)