PP&M
小生が所謂「モダンフォーク」に触れたのは、マイク真木率いる「モダン・フォーク・カルテット」でも、黒沢久雄率いる「ブロードサイドフォー」でもなく当時ラジオからいつも流れていたPP&Mであった。
1962年、この頃小生は、名古屋の振興住宅地にある・・・1学年31組というマンモス中学の2年生だった。後に独立することになるのだが、その中学は名古屋でも1・2を争う進学校で、あらゆる名門高校への合格率がトップであったから、そして何しろ生徒の数が多いから、スポーツにおいてもその力を発揮し、大会では必ず上位を独占し、合唱コンクールでもその力を誇った学校であった。
1クラス55人が31組だから1学年だけで、1500人。生徒は学年ごとに帽子の色で色分けされ、テスト結果はランク付けされて、廊下のいたるところの壁に、最上位から最下位までが張り出されるという、ものすごい学校であった。
小生はそんな中、テレビ・ラジオばかり見たり聴いたりして毎日を過ごしていたから、当然のように、落ちこぼれで、職員室に呼ばれて正座させられたことが良くあった。
先生が何を怒っているのかサッパリ分からないまま座らされたこともあり、誰かが何かをしでかすと、殆どすべての教師が、「連帯責任」といって、関係ない生徒を含めた全員にバツを与えることが多くあった。
それでも当時学校は荒れなかったから、まだ何かしらの精神的支柱が、生徒達の胸に存在していたのだろう。
其れは、それぞれの「家庭教育」が、まだ生きていた時代の反映であったのかもしれない。
しかし多くの教師達は、急激な「悪しき戦後民主主義の教育の申し子」とも言うべき人物が多く、その結果育成されてきた人間だから、そして○教組が台頭してきた時代だから、その影響だろうか、民主主義のはき違え教師どもが多かった時代でもある。
小生は学校から帰ると、すぐに近所の秘密の場所にある古代の「窯跡」に、シャベルをもってって、土器の破片を捜し集める毎日を送っていた。「須恵器、土師器」の・・・ほんの少し緑釉の上薬がかかったものなど、食糧の壺と思しき物の底には、こげた籾殻が付着していたり、あるいは、カーブをした大きな破片が出てきたりした。後に其れは「円筒はにわ」・・・「墳墓」のまわりに並べて置かれる「埴輪」の一種で、珍しいので、中学校に展示されることになったから、其れは今でも中学校の展示室にあることだろう。
発掘が終わると家にもと帰り、丁寧に水洗いして保管した。時にはスケッチしてc残すこともあった。夕ご飯が済むと、大抵はラジオの音楽番組、あるいはテレビの西部劇を見て過ごす毎日だったから、学校の成績がいいはずはなく、それでも音楽好きや発掘好きの仲間と一緒に楽しい毎日を送っていた。
当時聞こえていたのは、ビートルズが上陸する前のアメリカのポップス=60年代ポップス・・・今で言う「オールディーズ」、そして「映画音楽」、さらにもう一つ・・・シンプルで、覚えやすく、歌いやすそうで、ハーモニーが程よく、ギターとベースの音が心地よい・・・アメリカのフォークグループ「PP&M」の歌であった。
その頃我が家に、ビクターの「ステレオ」装置がやってきて、家の近所の女の子がPP&MのLPを買ってもらって、其れを一緒に聴いた覚えがある。
レモン・トゥリー」を始め、「天使のハンマー」「パフ」、ボブ・ディランの「風に吹かれて」「くよくよするなよ」といった曲があったように思う。
500マイル、船が入ってくる時、悲しみのジェットプレイン、虹とともに消えた恋、天使のハンマー、悲惨な戦争、朝の雨、愛は面影の中に、など彼らのオリジナルではない曲も多かったのだが、彼らのオリジナルだと思うような曲調に全てが仕上げられていた。
後年ボブディラン、ピート・シーガー、ゴードン・ライトフット、ジョン・デンバーの作品とわかって、オリジナルを辿ることになる。
小生がPP&Mから受けた影響は、かれらbの受けた影響や彼らの与えた影響をたどっていくことへ・・・・そして其れは遠くアパラチア山脈のふもとからアイルランドへと続いていく、小生の音楽旅行のガイダンスとなったのであった。
彼らからジョーンバエズ、ケイトウルフ、多くのカントリー、ブルーグラス、トラッドフォークへとドンドン連続していき、其れは果てしなく続いていく。
近代イギリリス音楽(クラシック)では、フォークとクラシックの出会いが、奥の深さを垣間見せているし、アイルランドのフォークシーンでも、チーフタンズ一つとっても、彼らからのつながりを見ていくと、その裾野は無限大に広がりを見せ、尽きることがない。
PP&Mの音盤はかなり有ったはずだと思って、かつてあたってみたのだが、その時はベスト盤がCD復刻されているだけだったので、昔のLPを聞いていたのだが、有るショップで偶然「非正規盤」のCDが2枚にわたってあったので入手した。
TAIWAN製のCDで、恐らく海賊盤であろうが中身は全てオリジナル。41曲収録されていて、手軽に聞けるからモッパラこの2枚のCDを聴いていることが多い。
by noanoa1970 | 2006-09-14 10:55 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)