夏に似合う音楽・・・ヒンヤリ感有るマージナルミュージック
1972年DRACではJAZZグループで、これをJAZZと呼んでよいのか・・という議論が巻き起こったというアルバム。ウェザー・リポート(1971年)と双璧のJAZZアルバムで、モダンジャズ一辺倒だった小生が新しいJAZZの分野に目を向けるようになった1枚でもある。
「フリー・ジャズによる「音楽」の解体の後に再び「音楽」を構築しようというポスト・モダン・ミュージックの試み」などと(「○○ジャーナル」データベースより)で書かれていたが、
このレポートはこのアルバムが発売された当時のものではないと思われるから恣意的でありすぎて面白くない。
フュージョンなどというわけの分かったようで、その実意味のない言葉でくくろうとする不届きモノが多いのも困ったものである。「フューズオン」は「アンプラグド」の対向の言葉なのだろうか?
それにしても品のない言葉だ。
1972年11月6日オスロ,タレント・スタジオにて録音されたECMの名録音である。
「発表されたチック・コリア&ゲイリー・バートンの初めてのデュエット・アルバム。静かな熱気を孕んで展開されるクールなエモーショナル・ミュージック。チックのピアノとゲイリーのヴァイブが緩やかに移りゆく自然の風景を見事に描いている」
・・・・これも(「○○ジャーナル」データベースより)の批評記事である。一体どこから「緩やかに移りゆく自然の風景を見事に描いている」・・・などという言葉が生まれてきたのか。
ヴァイヴの音とピアノの音というだだけでは何も分からないし誰でも画そのような意味のないことを言おうと思えばいえてしまう。
寸評とはいえ、このようないい加減な言い回しに、決してだまされることのないようにしなければいけない・・・とつい言いたくなる。
お金を取って寸評を書く「評論家」あるいはそれに準じる職業音楽ジャーナリストや関係者は、この記事を読む読者のために、もっと真剣に音楽を聴いてから、評しなければならない。
この音楽からそんなことしかいえないのかと、あきれてしまうが、それはさておきピアノとヴィヴラフォンの組み合わせは、ミルト・ジャクソン&オスカー・ピーターソン・トリオの オスカー・ピーターソン&ミルト・ジャクソ/ 「リユニオン・ブルース」でも、MJQ(ジョンルイス)のでも不思議な親和性を程よく出していることは確認できる。しかしこの「クリスタル・サイレンス」では「デュオ」だから純粋にピアノとヴィヴラフォンの音が混じりっけなく交わることになる。
誰が思いついたのかは定かではないが、「デュオ」とはとても大胆な試みで、それぞれの楽器の持つ音響特性と、それらを最大限生かした録音技術、録音場所、勿論マイクセッティングなど全てにわたり冒険であったことだろう。厳密なことを言えば録音環境の空気でさえも多分重要な要素を占めるにいたると思われるのである。
この録音がECMの手によってなされたことは、単に契約したレコード会社などという以上に、彼らのこだわりが感じられるところ。彼ら自身の希望であったのかもしれない。
結果、この録音は非常によい出来。それぞれの『打楽器』の(ピアノは鍵盤楽器だという話は置いておいて)共鳴度が強く出る2つの楽器のよさを損なわないばかりか、プラス「3」になるかのような・・・空気感をも表現する名録音と言ってもいいだろう。演奏も両者のナチュラルなアドリヴと、親しみやすいメロディのヴァリエーションに好感が持てる。
一番面白い発見は、2つの異種の楽器が織り成す「共鳴」が「モアレ」・・・・平安時代の「御簾」や「絹織物」が複数重ねあわされた時に出来る縞模様のように、新しい次元の音を作っているということである。
クラシックオンリーの人種にも是非聞かせたいアバムの一つである。
7.The Restful Mind
ジャズギターの名手「ラリーコリエル」とネイチャーサウンドグループの「オレゴン」が「ラヴェル」の「なき皇女のためのパヴァーヌ」(コリエルのソロ)を演奏した「The Restful Mind」1975年録音のアルバム。
ラヴェルの「皇女の・・・」はジャズでもよく取り上げられるが、コリエルのギターサウンドは、普段余り聴きなれない古びたトーンを出していて、アドリヴのよさとともに、転調やリズムの変化など独特の味を出している。とりわけ「ハーモニクス奏法」の見事なテクニックには目を見張るものがありクラシックの古楽器で聴いているかのような錯覚に見舞われる。
最近ではギターで「パヴァーヌ」を演奏するのがはやっているのか「オシオコウタロー」がやはり見事な演奏を、古くは「ローリンド・アルメイダ」が演奏したものがある。
しかし演奏スキルとギタートーンの変化の妙では、より深く神秘的ですらある「コリエル」の録音に勝るものは少ないだろう。ラルフ・タウナー、コリンウォルコット、グレン・ムーアのオレゴンのメンバーが参加する。
いまでこそ『癒し系』などという音楽ジャンルがあるくらいなのだが、ウインダム・ヒルはその元祖で、ジャケットの写真もLPのレーベルも「自然」を強く意識したコンセプトアルバムを多く出した。この「パッセージ」というアルバムは、バイオリン、チェロ、ピアノにイングリッシュホウンという珍しい組み合わせ。「ポール・ウインター」や「オレゴン」そして「ケルトミュージック」や、クラシックの「ラヴェル、ドビュッシー」にも通じるような音楽性を出し、「居心地のよい」音楽を作っている。
JOHN WATTS THE ICEBERG MODEL このLPはジャケットとタイトルネームが夏らしいのでアップした。ジョン・ワッツの詳細はWEBで検索しても見つからない。1980年代中期のアバムだと思うのだが、なぜ手元にあるのかも分からない。青空に白い雲のようなものに見立てた太い線によって、良く見ると「顔」のようなものが書かれている。
by noanoa1970 | 2006-08-14 13:59 | JAZZ・ROCK・FORK | Comments(0)