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夏に似合う音楽・・・「the wasps (overture)」

夏に似合う音楽・・・「the wasps (overture)」_d0063263_19284211.jpg午前中に「サミュエル・コールリッジ・テーラー」の「バラード」イ短調を聴いていて思い出したのは、去年の年末、TVのレギュラー番組放映が乏しくなってきた頃、人気お笑いコンビの司会によるクイズ番組の特番があり、何がなく見ていると、突然、この曲の冒頭の6つの音が鳴り響くのを聞いてビックリした。
クラシックの、イギリス音楽の、近代音楽の、マイナーである、「テイラー」の曲が、TVのクイズ番組の出題とともに鳴らされるなんぞ、夢にも思わないことであった。

番組制作音楽担当スタッフに好き者がいるのか、とにかくこの曲辺りがTVで、CMで使われたのは経験ないことだった。

CMで使われるクラシック音楽・・・珍しくなくなってきていて、「ボレロ」は定番のようになりつつあるし、「亜麻色の・・」も数本ある。そして今一番耳につきCM内容とピッタリ合っているように思えるのは「携帯電話」の新規参入の・・・野球でもおなじみになった某社のCM音楽である。
「プロコフィエフ」の「ロミ・ジュリ」の行進曲が使用されているとお見受けするのだが、この曲の勇ましそうで、未知のものに向かうようなところが、CM内容と良く合っていて、久々によい出来であると思う。

このほかにも沢山のクラシック音楽が使われているが、CMないようになじむものはほとんどないのが残念であると同時に、「これでいい」という気持ちが両方存在するのがいつものことである。

夏に似合う音楽・・・「the wasps (overture)」_d0063263_19291274.jpgさて話が横道にそれたが、今日は昨日に続き、「夏に似合う・・・」をテーマに選択したのがヴォーン・ウイリアムスの劇音楽「WASPS」序曲
何が似合うかというと「WAPS」=「スズメバチ」という題名だけである・・・
ヴォーン・ウイリアムスはアリストファネスの戯曲を題材として、「WASPS」を作ったという。
なぜ「WASPS」かというと、物語の中の裁判官たちが頑固で人の言うことを一切聞こうとしないことから「すずめばち」のようだと皮肉ったことによるものとされる。「ウイリアムス」はアリストファネスの喜劇をケンブリッジの学生が上演する際、ケンブリッジ大学からの依頼により、付随音楽をつけたという。

小生はかつて奈川村という中山間の村のクラインガルデンで夏を過ごしたことがあったが、有る夏の日の朝、借りていた小屋の、物置のドアを開けると、中から「クロズズメバチ」が飛び出し、眉間を刺したことがあった。蜂は黒いものをめがけて攻撃するということを始めて知ったのはこのときであった。

一瞬頭がクラクラし、痺れる様な強い痛みに襲われて、村の人から聞くといって渡された「蜂油」を縫ったが、2週間その痛みは引かなかった。
しばらく使わないでいた物置の扉の裏に、今まで見たこともないような黒色の大きな蜂=クロスズメバチが大きな巣を作っていたのであった。
危険なので殺虫剤を大量に吹きかけると、クロスズメバチは幼虫もろとも全滅したが、それを知った村人は非常に残念がり、「言ってくれればワシが取り除いてやったに・・・」といい、そしてクロスズメバチの子は凄くうまいご馳走だといった。その巣は直径30cmほどあり、事件が起こったのが8月の暑い日のことであった。

「スズメバチ」=「夏」というのはこの苦々しい体験から来ている。
がしかしヴォーン・ウイリアムスの曲はというと、「蜂」とは余り・・・少し蜂の羽音のようなところが聞こえるが、例によってブリテン諸島の民謡を素材にしたと思える、美しい曲となっていて、あの忌まわしい記憶からは遠いものとなっているのはありがたいことである。

スズメバチは別名「クマンバチ」と呼ばれることがあるというので、リムスキー・コルサコフウの「クマンバチの飛行」はスズメバチなのかと思って調べると、それは「花蜂」の誤訳と分かった。

ヴァーノン・ハンドリーとロンドンフィルの演奏
イギリス音楽の名門chandosのデジタル録音のLPで
「音楽のセレナーデ」そしてディーリアスの「夏の夕べ」も素晴らしい。
ディーリアス、ヴォーン・ウイリアムスはボールトもバルビローリもいいが、ハンドリーも捨てがたい。

ジャケットの絵画もまた素晴らしいではないか。

by noanoa1970 | 2006-08-08 17:24 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(3)

Commented by dr-enkaizan at 2006-08-08 22:18
毎度です、
ヴォーン・ウイリアムスはアリストファネスの戯曲を題材としてより、それの付随音楽としての一環で序曲ほかの音楽をつくっています、それ抜粋した序曲を最初にした組曲がありますこれも民謡風の素材を巧み音楽を構成しており、ユーモアもありますね。
お勧めは第三曲の台所の悪戯ネズミを、裁くため雀蜂の裁判官の前に、鍋や釜そいて様々な台所用品たちが証人として、入廷する行進曲で、鍋釜のガチャガチャを示唆する程度の打楽器の伴奏に、能天気で哀愁あるメロディーがいかにもらしくて面白いですね。
Commented by noanoa1970 at 2006-08-10 08:04
ご教示感謝です。「組曲」探してますが適当な音盤が見つかってません。
アリストファネスの「スズメバチ」・・・皮肉タップリの喜劇ということですから、イギリス民謡風の素材と展開そして劇の内容のマッチングが気になるところでありますが、劇を見ながら音楽を聴くことはナイト思われますので、曲に集中するように心がけましょう。ところで音盤がない!!
アニメでやったら面白いかもしれません。
Commented by dr-enkaizan at 2006-08-11 00:07
そうでした音盤の情報を言及してませんでした・・・大きく二つの方法がありますゆえそれをTBしておきます。