アナログピアノ録音の極致・・・イヴァン・モラヴェッツのドビュッシー

ピアノの鮮烈な音を聴きたいと思った。
アレコレ考えているうちに、昔オーディオチェック用に購入してあったLPがあったのを思い出し、探してみると、棚の隅に隠れていたのを発見した。
1978年に「フィリップス」から発売されたLPで、「コニサーソサエティ」=「玄人教会」が録音したものを国内向けに発売したもの。

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「イヴァン・モラヴェッツ」がドビュッシーのピアノ曲を5曲演奏したアルバムである。
A面
「花火」「沈める寺」
B面
「アナカプリの丘」「音と香りは夕暮れの大地に漂う」「月の光の降りそそぐテラス」
全部で30分に足らない非常に贅沢なLPである。

d0063263_11154046.jpg使用するピアノは「ボールドウインSD-10]余り耳慣れないピアノで、ほとんどのピアニストは有名な「スタインウエイ」あるいは「ベーゼンドルファー」最近は「YAMAHA」を使う人もいるが、「ボールドウイン」は小生、このLPで聞くのが最初であった。

オーディオチェック用ということで購入したのだが、これが音楽的にもたいそう優れた録音で、余り評価されていない「モラヴェッツ」というピアニストを改めて見直した。

だがやはり特筆すべきはアナログによるピアノの録音の凄さである。今まで数々のピアノの名録音を聞いてきたつもりでいるが、このLPに勝るものはごく少数で、最新のデジタル録音のCDに比べても、ヒスノイズの点では劣っても、ピアノの鮮烈な音の響きは上であることが多い。
文章では表現しづらいが、タッチやペダルを踏む時のその瞬間の空気、音が次に移るときの一瞬の「ため」・・・そんな、「空気感」とでも言うようなものを強く感じるのである。

したがって単にオーディオ的に音がよいという範疇を超え、演奏者の情感というものをも、表現する録音になっているのが分かるのである。デジタル録音のCDでは余りお目にかかれないことである。

ペアダルを踏む時に、思わず出てしまう「フッ」というモラヴェッツの声、音楽とともに歌うような声・・・それだけなら最近の録音でも、かなり昔の録音でも聞けるのだが、この、録音ではその直前の、ピアニストの人間的存在感・・・分かりやすく言えば、その場面でのかすかな息継ぎ、吐息・・・・「人間を感じる」とでも言うべきか・・・のようなものでさえ表現している。

そしてピアノの音といえば、鮮烈・・・高音はあくまでも澄み切り、低音部は豊かに、部屋全体が共鳴するように響き、残響音が10秒以上部屋の音と混ざり合って、瑞々しい音の持続をを長く保持し続ける。
この録音では演奏者側から録ったもの、そして演奏者の反対からの録音がハッキリと聞き取れる。左が高音のトラックと右が高音のトラックがそれぞれの録音場所によって分けられていて、それが聞き分けられるか否かもこの「オーディオチェック用LP]の存在価値を示すもの。
勿論、演奏も相当素晴らしく、ドビュッシーは「ギーゼキング」あるいは「フランソア」の古い演奏も良いが、「モラヴェッツ」のような鮮烈で繊細そしてダイナミック・・・すなわち「人間の存在感」がリアルに感じられる演奏もいいものである。
このLPプロデューサーが、かなりの音楽通だと思われるのは、上のの5曲を選択していることからも分かる。
いずれも「動き」「空気感」「色彩感」「繊細かつダイナミック」な「音の変化」が必要な曲ばかりである。
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by noanoa1970 | 2006-08-06 11:26 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(7)

Commented by cam_mac at 2011-02-14 22:04
このレコードを学生時代に買って持っていましたが紛失してしまいました。ジャケットは黒っぽい海に月の光みたいなものが反射してたような気がします。子供の領分も入っていましたのでオリジナルではないのでしょうね。
確かボールドウィンの当時の最新機種と別の機種とで録音されてたような記憶があります。

おっしゃるようにペダル踏むときの「フッ」という息遣いみたいなものが今も耳に焼き付いています。
このCDとか無いのでしょうかね・・・・・。
Commented by noanoa1970 at 2011-02-15 06:14
cam_macさま
コメントありがとうございます。
このLP、小生はオリジナル盤を知らないのです。
オーディオ調整用のピアノパートを受け持つ意味で、購入しました。オーディオチェックヨウに作られたものでしたが、演奏がよかったので、かなり興奮した覚えがあります。
小生の記憶では、A面とB面ではマイクの位置を変えて録音されていたのではないでしょうか。ピアノは全てボールドウインだったように思いますが・・・
すぐにLPが見つからないので、いずれ調べてみます。
Commented by noanoa1970 at 2011-02-15 06:18
追伸
cam_macさま
貴ブログにリンクさせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by cam_mac at 2011-02-15 21:31
naonao様
リンクありがとうございます。
拙ブログですが、しばらく放ったらかしの状態でしたけど、これを機にぼちぼち再開します。
こちらこそよろしくお願い致しますm(_ _)m
Commented by noanoa1970 at 2011-02-16 20:41
cam_macさま
リンクOKとなったのに、なぜかブログリンク欄には記載されて内容です。
何回やってもすでにリンク済と表示しますので、困りました。直アドレスで訪問することにしました。
しかし、不思議なことです。
Commented by cam_mac at 2011-02-16 21:43
naonao1970さま

スミマセン、ブログの題名が「..........」なのです(^_^;)
Commented by noanoa1970 at 2011-02-17 09:11
cam_macさま
了解です。
エキサイトブログコーナーの一番上に「点線・・・・が」ありました。見逃していました。