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the circle・・・絆・輪・つながり

夏の暑い日に聴く音楽というと、人それぞれだが、「クラシック音楽」では適当なものを探すのは難しい。暑苦しくない音楽は多いけど聴いていて涼しさを感じるものは非常に少ないと思う。
ハープ音楽やラヴェルやスクリャービンのピアノ曲等、それらしきものはあるにはあるのだが、どうしても手が伸びない。

何を聞こうかアレコレ迷って見ていると、「チェット・アトキンス」が「マーク・ノップラー」と共演した「NECK AND NECK」、という軽めなポップカントリーのアルバムに気がつき、聴いてみることにした。「夢で合いましょう」など聴いていたら、このアルバムを購入したきっかけとなった有るセッションアルバムを思い出し次にチェンジしてみた。
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それが1980年代後半に「MTVの「アンプラグド」としてかなりの人気だった「THE SUPER SESSION」そのーⅤである。
チェット・アトキンスとマーク・ノップラーを中心に、アトキンスがプロデュースした・・・仲間というか弟子というか・・・をゲストに招いてのライブを撮影したLD・・・レーザーディスクである。
チェット・アトキンスはナッシュビルで活躍したギタリストであり、数々のカントリーポップスのプロデュースを手がけ、多くの音楽家たちを育ててきた人でも有る。

彼の編み出したピアノとギターによる「新カントリー音楽語法」はナッシュビル音楽の特徴の一つともいえそうだ。彼の世話になったミュジシャンは数多いが「エルビス・プレスリー」など大物も多い。

そんなアトキンスがかなり年を取ってから・・・64・5歳当たりのセッションで、ダイアストレイツの「マーク・ノップラー」「エミルー・ハリス」
「ウェイロン・ジェニングス」「ウイリーネルソン」元祖バイバイラブの「エバリー・ビラザーズ」夏の定番ドゥービー・ブラザーズで活躍した「マイケル・マクドナルド」とともに行ったセッションである。
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余談だが小生は
セッションアルバムが大好きで、「ウッドストックコンサート」「バングラデシュのコンサート」ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」「ボブディラン30周年コンサート」「チーフタンズのロング・ブラック・ベール、アナザー・カントリーをはじめとするアルバム」そのほかJAZZのセッションまでもが本当に好きで何回見聞きしても決して飽きないのである。

クラシック音楽には絶対にない面白さがそこにはある。
クラシック音楽でもこのような試みをもっとダイナミックにやればよいと思うのだが、悲しいかなそれらしきものをやった例を小生は知らない。
唯一ベルリンの壁が崩壊した直後にバーンスタインがドイツの東西オケの混合オケでベートーヴェンの第9を演奏したことぐらいだろうか。「友よ」を「自由よ」に変えて演奏していたことが記憶に新しい。

ともあれ、このセッションは映像なので、CDで聴くのとは次元の異なる情報を与えてくれる。
ものすごく印象的だったのは、チェット・アトキンスが歌う「アイ・キャント・セイ・グッドバイ」

この歌はチェットがなくなった父親をしのんで歌うもの。自分があの時の父親の年齢に・・・あるいはそれ以上になった今、父親の思い出と、尊敬の念そして愛情がわきあがってのことであろう。

日本語訳がないので自信はないが自分流に・・・

小さい時、父の物がしまってあるクローゼットにコッソリと入り、父親の・・・軍隊帽子をコッソリと被ったものだ。
その頃の父親は威厳があり、やさしくて、母にも自分にもタップリの愛情を注いででくれた。
クリスマスには大きなツリーを切ってきてくれたし、僕のためにあらゆる愛情を示してくれた。
今もクリスマスツリーは飾られ、町の灯や月の光は、昔と変わりなく光って、みなを照らすが、僕の「光」だったお父さんはもういない。(戦争でなくなったのであろうと思われる)

少し大きくなって陸軍の放出品を売る店に立ち寄ってみると、そこには昔父が被っていたt物と同じ帽子が会った。懐かしくなり、僕はその帽子を被って、かつてお父さんがそうしたように、その歩き方を真似てみた。

どんなに時が過ぎ去ろうとしたって
どんなにつらいことがあったって
そいてどんなに泣き明かすことがあっても
僕は父さんに「さよなら」は言わないよ・・・・僕は何時だってお父さんを思い出すさ・・・

途中で帽子を被り淡々と歌うチェット・アトキンスをカメラは捕らえ、やがてカメラが観客を捕らえると、何人かの観客の中で、目に涙をためた中年の女性が、泣き出しそうになるのをこらえている姿が映る。

それを見るとこいつも涙腺が緩む。・・・・映像でなければ決して分からないことである。
「チェット・アトキンス」は、2001年6月に77歳でこの世を去ってしまい、もうあのフィンガーピッキングを生で聴くことが出来ない。。

「I Still Can't Say Goodbye」は別名"Daddy's Hat"とも言われるようだ。

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"Daddy's Hat"

Every week we get requests for fans looking for a video or audio
Chet performs with Hat.
recording of a song Chet did called "Daddy's Hat".
The song is actually called "I Still Can't Say Goodbye". Chet performed the song on several TV programs and it continues to be one of his most popular songs. The song is available on a video called "Chet Atkins Rare Performances 1976-95" and on the original CD, entitled "Chet Atkins, cgp".

by noanoa1970 | 2006-08-05 10:19 | JAZZ・ROCK・FORK | Comments(3)

Commented by DRAC-OB at 2006-08-05 18:19
大変興味深く読ませて頂きました。クラシック以外の音楽に対する目配りも流石先輩ですね。チェット・アトキンス奏法がロックンロールに与えた影響などはsugarmountain君あたりがテーマにすると面白そうだなと考えました。ダイアストレイツのデビューは衝撃でしたね。セッションアルバムといえばアル・クーパーの元祖スーパーセッションが聞きたくなりました。私もおちゃらけたネタじゃなく、まじめに音楽を書こうと心に決めましたが、これが長続きしないんです。粗忽な性格は直らない…
Commented by noanoa1970 at 2006-08-05 21:21
マーク・ノップラーのルーツは恐らくイングランド・・・アングロサクソンでなく「ケルト系」なのではなかろうかと思うことがあります。チーフタンズとの アルバム「ザ・ロング・ブラック・ヴェール」で、彼が歌う「リリー・オブ・ザ・ウェスト」を聴くと・・・「ロッド・ステュアート」もそうなのですが・・・「ケルトの血」のようなものを強く感じることがあります。
実を言うと「ダイアストレーツ」はドブロギターのジャケットのものしか聴いたことがないのですが、ノップラーはチェット・アトキンスとのアルバムで知り、なかなか味のある人だと思っていました。
ロックやJAZZは人間のつながりがクラシック以上に強く感じられて、面白いし、師弟関係や影響の有無を含めた自分なりの系統図を作るのも面白いかもしれません。
Commented by ぴあの at 2007-06-16 22:33 x
TB,ありがとうございました。ジャンルを超えた音楽の知識の深さに感銘しています♪チェット・アトキンスは知りませんでした。このセッションアルバム、是非聴いてみたいです。昨日、Neil Sedakaの
「雨に微笑みを」をアップしました。noanoaさんならご存知の曲だと思います。宜しかったら、遊びにいらして下さいね(*^^)v