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N響初の「STEREO」レコーディング

岩城宏之さんが先月なくなられ、NHKのTVでもその追悼番組が放映された。
外山雄三さんと本荘玲子さんがゲスト出演されて岩城さんの生前のエピソードを語っていた。
その中で取り上げられた曲として、外山雄三さんの「管弦楽のためのラプソディ」の演奏があった。

実はこの曲は小生がDRAC=同志社大学レコード音楽研究会の「日本音楽G」に入部し、最初のミーティングで聞いた曲であった。その懐かしの曲を途中一部カットされたとはいえ、岩城、N響の映像とともに、お目にかかれるとは思っても見なかったので、思わず興奮してしまった。

千葉馨、海野義夫、吉田雅夫など懐かしい顔を拝見できたこともうれしかったが、なによりも若い岩城宏之のダイナミックな指揮振りを見れたのは思い出と鳴るであろう。
小生にとっての岩城宏之は晩年の岩城ではなく、あの当時のものいであるからだ。

初めて聞いた時はなんだか気恥ずかしいような感じがあったが、今では大好きになったこの曲、1960年代から行われたN響の海外公演のアンコール曲として必ずといっていいほど演奏され、好評だったという。

わが国の伝統音楽のメロディが随所に出てきて、しかも「静と動」織り交ぜた、メリハリのあるそしてダイナミックに終わるこの曲が、海外で受けたであろうことは容易に推測可能である。

さて国内ではどうであったかは知るところではないのだが、恐らくその当時は余りポピュラーではなかったと思われるのである。一部N響の定期会員ならばチャンスはあったのだろうけど、そうでない音楽ファンにおいては、今のように再生音楽が発達していなく、またラジオや(FMなどもなかった時であった)TVで余り放送されなかったから、存在すら知ないひとが多かったと思われるのである。

かくいう小生も1967年に初めて聞くこととなった。
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このレコードの録音は昭和35年つまり1960年にN響最初の「STEREO」録音としてキングレコードが録音発売したものである。「orijinal works by japanese composers」と題された、多分シリーズとしてのプロデュースであっただろうと思われる。

当時「キング」は、邦人作品にかなり力を入れていたようで、この初期盤はなんとカートンボックスに入って発売された。N響初の「STEREO」レコーディング_d0063263_14504815.jpg表紙にはN響の海外公演のコンサートホール風景写真があり、録音自体も決して悪くない。そのころの初期ステレオ録音のように左右にいっぱい広がるような不自然なところもなく、「吉田雅夫」のフルートのキーパッドの音も鮮明に捕らえていて、海外の録音と比べて勝るとも、決してc劣らない。

この初期盤は当時のDRAC日本音楽Gリーダー2年先輩F氏の私物で、彼は卒業する時にはかなりのレコードを置いていったのであるが、このレコードだけは置いていかなかったので、後1969年に購入したのが再発売されたレコード。N響初の「STEREO」レコーディング_d0063263_14515444.jpgもうあのカートンボックスには入っておらずジャケットはNHKホールでののN響の写真となっていた。

2001年たまたま入った中古レコードショップに発売当時のものがあったので懐かしくてツイ購入した。前の持ち主がどうして手放したのか?この録音はまだCD復刻されてないはずなのにと不思議ではあったが、ずいぶんきれいであったから、プレミアのついた価格を無視して手に入れたのであった。したがって今現在手元には2枚のLPがあることになる。

上の写真が再発盤、下が初期盤、レーベルデザインも違っているし、なによりも、レコードの厚みが違い、初期盤のほうが30%以上重量がある。
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小生はこの中の尾高さんの「フルート協奏曲」が好きだったので、1968年に発売された「森正」
読売交響楽団そして「ランパル」のフルートの録音も入手したが、ランパルの芳醇な音色がこの曲には余りあってないと思うようになり、もっぱらこのレコードの「吉田雅夫」の和笛にも似た音色を好むようになった。
最近CD復刻されたというニュースをキャッチしたので、それも当たってみようと思っている。

しかしずいぶん長い間このレコードがわが国初のN響のステレオ録音だとは知らなかったのでその意味においても、この初期盤を入手した意義は大きいと思う。

N響初の「STEREO」レコーディング_d0063263_14531748.jpgレコードに同封されている解説書は、なぜか裏面が英文で記載されているのも、このレコードをプロデュースした背景らしきものを物語っているようで当時がしのばれる。

by noanoa1970 | 2006-07-04 15:00 | レコードジャケット | Comments(0)