飛べフェニックス

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何かの拍子にフト思い出した高校生時代に見た映画。
石油会社の双発双胴の貨客機がサハラ砂漠に不時着、救援を頼めない状況で、乗組員一人の提案で、破損してない片方のエンジンと主翼水平翼をつないで、単発気に改造、生き残った7人が翼に乗って何とか砂漠を脱出する・・・というアドヴェンチャー映画であると同時に、極限常態下の個人と集団・・・その人間関係を描いたもの。
1965年のアメリカ映画である。
製作・監督は
ロバート・アルドリッチ
出演は
ジェームズ・スチュワート
リチャード・アッテンボロー
ハーディ・クリューガー
アーネスト・ボーグナイン
ジョージ・ケネディ 他
という豪華メンバー、個性豊かな「性格俳優」が目白押しである。「アッテンボロー」と「クリューガー」以外は西部劇でもおなじみで、「クリューガー」は「シベールの日曜日」で戦争後遺症の男を見事に演じた人であり、「アッテンボロー」は「ガンジー」や「ジュラシックパークの博士」で登場しているからご存知の方も多いだろう。

この中の登場人物は「アメリカ人」の機長でパイロット、「イギリス人」の陸軍将校、「ドイツ人」の若い技術者、「フランス人」の医師と国際色豊かで、それぞれの性格がお国柄を反映しているのも面白いがしかしそれだけでなく、個人の資質を完全に描ききっているのも見逃せないところ。
こういう映画には必ず「女性」がカンフル剤のように登場することが多いのだが、この映画には「女性」が一切登場しない。

それぞれがそれぞれのアイデンティティに固執しようとするのだが、迫り来る「死」の影は「個の論理」等の及ぶものではない。それまで好き勝手な自己主張に基づく行動で、何人かが死に至り、水や食糧が残りわずかになり・・危機に迫られたとき、漸く・・しかし半信半疑で、ある思い付きを実行することになる。
それが常識では不可能とされる「飛行機の改造」。

初めて全員でその仕事にかかるのだが、本当の恐怖は実は・・・小生はここが一番恐ろしかったとともに、「ドイツ魂」なるものを思わず感じたのだが・・・
それは「ハーディ・クリューガー」扮する若いドイツの技術者が、実は航空機の設計者で、彼が考えた飛行機の改造案で取り組むことになったのだが、案を考えた若い技術者が実は、モデル飛行機の設計技術者と、途中で判明するところである。
このシーンを当時小生は「モデル飛行機の設計技術者」→「プラモデルの設計技術師」と解釈したものだから余計に恐ろしかった。

そのことを知った数人は、このことが全員にばれると大変だから、伏せておこうということになるのだが、ドイツの若い技術者が「モデル飛行機」の設計と「本物」の飛行機の設計は全く同じ・・と何度説明しても信用しない。ほとんどの人間がきっとそうであろうと思う。
しかしここまできたらやるしかない。そうしなければ全員が死ぬことになるのだ。

カツ見込みのほとんど無いに等しい不安が100%の賭けだが、そうするしか道は無い。・・・・死を覚悟すれば人間は強くなれるのだろうか。
ドイツ人の若い技術者だけが生き生きと仕事をこなしていた印象である。
砂の上の離陸に苦労しながら何とか離陸し命拾いをする映画で、これを見た当時は本当に感動したものである。
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この「フェニックス号」の原型モデルは「フェアチャイルドC82パケット」で、アメリカ空軍の軍用輸送機である。荷物の積み下ろしが容易な双ビームで尾翼を支えたの輸送機である。1944年9月に初飛行した。
2100馬力のプラット&ホイットニーR-2800-34エンジン双発で、42人のフル装備の空挺部隊を輸送できた。792機の発注をうけたが、第二次世界大戦の終了によって1948年までに220機が生産されただけに終わった。


全長:23.10 m
全巾:32.10 m
全高:8.00 m
自重:12045 kg
最大離陸重量:19050 kg
エンジン:Pratt & Whitney R-2800-85 2100HP×2
最大速度:381 km/h
航続距離:1600 km
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by noanoa1970 | 2006-03-29 09:02 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)